NHK「ここは今から倫理です」第6話を観ました。
えー「ここは今から倫理です」。雨瀬シオリさんの原作もとても好きな作品なのですが、ドラマ版も原作をうまく使いながらさらに意欲的な作品作りでとても面白く拝見させていただいてます。
周回遅れが取り戻せない第6話は「他人としゃべらない曽我くん」と「受験以外の勉強がしたくない田村くん」のお話でした。
原作で言うと3巻の真ん中あたりでちょうど2話連続のエピソード。蝉しぐれ喧しい夏の終わりのお話です。
時系列だとドラマ版で第4話だった「りくくん失踪事件」の後。間にいち子さんがハブられるモトになる「南さんと社会主義」のハナシを挟んで、第5話の「リストカット事件」がやってきて、そのあとが、ハブられたいち子さんをめぐる「個人主義と全体主義のディベート」。
ドラマ版だと「リストカット事件」の方が先に来たので、さて今回はどんなバランスではじめるのかなあと思ってたのですが、アバンタイトルに第5話ですっとばされてた「事件後に喫煙所でやさぐれるたかやな」をまるまる持ってきたあたり。
しかもタイトルバックが「喫煙所でうずくまるたかやなとアップになる灰皿」。NHKさんステキ、わかってらっしゃる!って感じでした。
さて原作でもドラマでも、各エピソードの中で高柳先生が哲学史上の人物のことばを引用しながら生徒に語りかけるのが定番ですが、今回曽我くんにはショーペンハウエルの、田村くんにはホッファーの言葉が渡されます。
…が、これがあんまり響いてなかったよねえっての、あれはちゃんと原作通りなのですね。むしろこの2エピソードでは「高柳先生が得意とする哲学者のことばを引用した語り掛け」よりも「不器用ながら生徒たちに寄り添おうとするたかやなの姿勢」のほうが、結果として曽我くんや田村くんのこころにきちんと響いているっていうね。
それはそれで世の教育者の皆様におかれましてはなかなか複雑な気分になりそうなお話ではありますが、この2つのエピソードを少し簡略化しつつひとつにまとめて「リストカット事件」の後に持って来たことで、いっそう高柳先生なりの「生徒たちへの接し方」「生徒たちを愛する姿勢」を視聴者が感じ取りやすくなったのではないかと思います。
個人的には、たいしたことはない受験校だった公立高校からうっかり大学で神学部に入って「倫理神学」なんてものを専攻することになったわたしとしては、「受験以外の勉強がしたくない田村くん」のエピソードで田村くんに「勉強って楽しい」という気持ちをぜひ大学で味わってほしいなと思っていて。
もちろん原作ラストの、勉強机に向かいながら「大学に行ったら〝何を″勉強しようか、それがすこし楽しみになった」というモノローグもよかったんだけど、ドラマのラストシーンで田村くんの「曽我くんは大学に行ったら何を勉強したいの」ってセリフとそれに応える曽我くんの笑顔にすごくグッときちゃって。
うん、青春してるなって(キモい
あと。ドラマでは「しゃべらない曽我くん」の担任が、たしか「都幾川くんが大の苦手にしてる」って養護の藤川先生が笑ってた、あの梅沢先生。ちょっとかわいそうなぐらい戯画化された「うざい体育教師」になっていましたね。
ほかにも同僚の先生が「教師はおせっかいが仕事」と言い切る姿勢や、喫煙所で年かさの先生が「とはいえねえ…」と韜晦して見せる様子など、先生方の教師としての熱意や処世術をわかりやすく示すことで、学校というコミュニティの「狭さ」を感じさせる…というところで高柳先生の特異性を強調することになっていて。
そこはちょっとやりすぎちゃうの?教師を類型化しすぎてない?NHKさんって思ったのはワタシがすっかり「世間一般のオッチャン」側に属しているからなんでしょうなあ、はっはっは。
さてさて残り2話となりました。
予告編によれば第7話がどうやらハブられたいち子さんをめぐる「個人主義と全体主義のディベート」。…ってことは原作1巻の2話目、ネットでチョー有名な「飛び降り自殺」のエピソードはナシで、第8話は例の卒業式になるのか。
しかたないけど、たかやな踏んだり蹴ったりで終わるんなあww
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