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ひとをあいする【嫌われ松子の一生】
※2006年6月に某所にアップした文章の転載です。
えい、ちくしょう。なんでこいつがステレオ音声なんだい、ええっ。
・・・デモに使えねえじゃねえかよ、なあ、いい映画なのによお。
ということで、「嫌われ松子の一生」を吉祥寺プラザで見てきました。吉祥寺プラザはとてもオールドファッションな映画館。客席数はなんと216席。壁はクリーム色の壁紙張りで、スクリーンも小さくてステージには臙脂色のドレープカーテンが掛かってます。・・・うーん、こいつは期待できねぇ。と思っていたら、かえってこの道具立てが生きてくるような、そんな映画だったとは。
中谷美紀のことは「BeRLiN」(・・・でした、なんか全然違うものと間違ってたので訂正)以来、全面的に信頼してるのです。
一時期、「砂の果実」~「天国より野蛮」あたりはCDまで買ってたんだよなぁ(恥ず)、いやーいいわ、やっぱり。
オイラ的には90年代後半のふぇいばりっとサンなのですよ。
ちなみに90年代前半はシャルロット・ゲンズブール。中谷さんとヒロスエが90年代後半。ああ、何でこう清純そうでどこか精液くさい女ってのが好きなんだろうか・・・いや、言い過ぎた、すまん。
昭和の高度成長期を生真面目に精一杯生きたマグラダのマリアの物語、そんな感じ?。あ、マグダラのマリアと言いましたが、だびんちこーどなる書物とは何の関係も無いから。
前評判から、すっかり笑いにいくつもりで、実際「片平なぎさ」とかには大笑いさせていただいていたのですが、ラストシーンの星空からのフルメンバープレイバックしてジェイコブズ・ラダーって展開にはすっかりやられました(じつはネタバレなんだけど、どうだ全然わかんないだろう!さあ、気になったら観にいきたまへ)。
松子の生き方がねぇ「はっぴいうえんずでい」の相手んちに行っちゃうあたりとか、でっかいぱんつとか、塀に向かってスクワット!とか、なんだかねぇ、ほんとうに不器用な生真面目な生き方が積み重なって、生真面目ゆえにうまくいかなくて、なお不器用になってゆくので、だんだんと切なくなってしまうのですよ。
脇を固めるメンバーもみーんなそろって、器用に生きてるやつがひとりもいない。
泥臭い、あたりまえの幸せをつかもうとして「まげてのばしてせのびして(これ主題歌の歌詞)」な人生。
ミュージカル映画ってのは、実はこんな人生を取り上げるのが本当は正しいジャンルなんじゃないだろうか?
あ、ちなみに松子の上を通り過ぎていった人々の中では、クドカンが意外と良かったです。
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