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ヤッターマン生誕30周年記念作品【ヤッターマン】
※2009年3月に某所にアップした文章の転載です。
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・・・良くも悪くも、というかどっちかといえば悪い方向で。
はい、ネタバレしまーす。アホほど長文デース。それからちょっと嫌なコト言いマース。
観てないヒトでまっさらな状態で観たい方&観たヒトで気分を害したくない方は、回れ右でー。
いや、あのね・・・面白かった、面白かった。声出して笑っちゃった。
となりの20代のカップルさんも面白かったみたいだし、なんていうのか・・・映画館にいるみーんなが面白かったんじゃないかと思うよ。
TVアニメの新作版のほうでも歴代タツノコキャラのカメオ出演に代表されるスタッフワーク的な「おあそび要素」が話題になってましたけど、映画のほうもいいオトナがみんなしてお遊びをしている感満載。
なんといってもSETワークと3DCGワークがゴイス。うわーい実写だよー、うんうん(滝涙
何でここまで凝りますかと、もうねアホかと、バカかと。
渋山ハッチ公前広場の看板!特に、哀川さんと長門さんの「日本の男も美しい」が秀逸で指差して笑っちゃったよゴメンっ!
ドロンボーのアジトやヤッターマン秘密基地の内部ディティール!・・・電動ホイストで移動するヤッターワン頭部とかありえねえ!!
メーター!レバー、ランプっ!コンプレッサァーっ!!近所の鉄工所とか自動車修理工場とかあこがれたよねー!リベッターとか高圧釘打機とか持つと燃えるよねー(止めろ
アジトを破壊して飛び立つドロンボーメカっ!そしてヤッターワンの発進は新宿アルタ前+新橋SL広場、トライダーG7!(作品違うからっ
うおお、まさに地球の裏表ひとっとびだ!なるほど乗組員も乗客もタイヘンだけどっ!
ケンダマジックっ!シビレステッキっ!そーれ、メカの素だーっ!おっしゃぁゾロメカも出るぜっ!
すべてがお約束どおり「偉大なるマンネリ」の全3話展開。
すごいぞ、ヤッターマンはほんとうにあったんだ!(だから作品違うからっ!
観に行くヒト、ゼンゼン止めない。いや、むしろ推奨。
特に70年代の終わりにリアルタイムでヤッターマンを観てた人は観て絶対に損は無いと思う。
ただね、うん、ただねー、毎週末ヤッターマンが放映されていた「あの頃」を経験していない世代のヒトにはちょっと気をつけてね、と言いたいかな。だってさ、コレ「興行作品」としての映画じゃないもん、純粋にファン作品だもん、SF大会とかコミケとかで上映する作品なんだもん。
すごくお金かけたファンイベントなんだもん・・・観客じゃなくて「作ってる側」が、さ。
・・・なんつーのか、そう。あまりにも本気で「ヤッターマンを実写化」しようとしすぎちゃったんじゃないかなーっと思うんですよ・・・おじさんたち。放送当時は観る側だったみんなが「よーしやっちゃうぜーっ!」てアドレナリンどばどば出しながら作った超オマージュ。くっそーオイラだって観る側じゃなくて作る側に回りたかったさっ、いいなあいいなあ。
そのあたりがすっごくよくわかるのがエンドロール。
パンフレットにも2ページに渡ってオールスタッフが掲載されているんだけど、「全国の女子高生の皆さん」を全員クレジットしてすらいないキャスト欄に比べてスタッフ欄が異様に濃い。しかも当然掲載されるべきとか掲載するメリットがある人々は当然として、「照明助手見習」とか「SET造形応援」とかふつう名前が載るわけの無いレベルのスタッフまでバッチリ掲載。・・・「古文書作画」とか「フィギュア造形」とか「ネイリスト(たぶん入浴シーンのアレ)」とか「ノルウェー語指導」とか、とにかく「ボクここでコレやりました」的な書き込まれ方のスタッフさん多数。
話を戻して・・・たぶん上記と同様な理由でね、作中のね、キャラクターごとの温度差がすごいんだよね。温度差っていうか・・・うーんスンクロ率?
ボヤッキーが突出してすごかった。
「生瀬さん演じるボヤッキー」はそこにはいなかった。あれは100%(いや441.93%か)ボヤッキーそのものだった。「全国の女子高生の皆さ~ん」で「ドロンジョ様のためならたとえ火の中水の中」で「ぽちっとなー」で・・・。
あれは正直やりすぎだ。ボヤッキーらしさを濃縮したはいいが還元できてない原液のような感じ。
周囲が付いてこれてないぐらい彼が完璧にボヤッキーだったのは、作品的にはひとつの失敗要因だと思う。
そんな暴走するボヤヤンに比べてトンズラーは今回もっともいいバランスだったと思う。
「ボヤヤン!」のひとことだけでケンコバは上手にトンズラーというキャラクターを料理していた。
というかもともと「怪力で食いしん坊」以外に特徴が少ないトンズラーに安定したポジションを作るために脚本も演出も役者もがんばったんだと思う。トンズラー本来の「いい加減でちゃっかりした」ところはなくて一味をちゃんと支えている、ある意味「映画版のジャイアン」みたいだったけど。
ところで・・・ボヤッキーとトンズラーがイイ台詞を言うときにメガネがブルーに光るのって、すごくいい演出だったよね。
で、このふたりに引きずられたのが三悪筆頭のドロンジョ様。
すごくかわいくて一生懸命なふかきょんドロンジョ様には生真面目でお嬢様な「笹川ヒロッコ」の姿が透けて見えたようで、それはそれでよかったんだけどね。
・・・いくらなんでも「小原さん演ずるところの」ドロンジョ様になろうとしすぎたんじゃないかなと思うのね。ボヤッキーがあまりにボヤッキーだったことの一番大きな障害はここだと思うんだ。つまりボヤッキーのテンションとレベルについていこうとすると「ふかきょんなりのドロンジョ像」を作ることが出来ない。ということは彼女はオリジナルのドロンジョ様のまがい物にしかなれない。そして「ドロンジョ様」には観る側(スタッフや監督も含めて)の思い入れが強すぎて「まがい物」に絶対に100点はあげられない。
実写で「増山さん演じる峰不二子」役をだれができる?「飯島真理の演じるリン・ミンメイ」役は?「みやむー演じるアスカ」役は?・・・声優さん本人たちだって出来ないことを精一杯やろうとして彼女はすごーくがんばったと思うんだ。はっきりいってけなげ過ぎて痛々しくなるぐらいにがんばってたと思うんだ。
「ん~っ!ボヤッキーっ、トンズラーっ!やっておしまいっ!!」はたぶん正統派の「や~っておしまいぃっ!」のバージョンも撮ったんだと思うけど、そっちでOKテイクだったらさすがにしんどかったろうなー。
そして、個人的に「最大の失敗」だと思っているのは「ドクロベエ様」である。だってこいつだけオリジナルのままなんだもん。滝口さんには申し訳ないけどさーリファインしようよ。個人的には唐沢ブライぐらいやっちゃっていいんじゃないかと思ってたんだけどね。
ストーリー上「私欲まみれの俗物」「堕ちた泥棒の神」であるドクロベエを演じる「からだを持った役者」が欲しかった。「ドロンジョ、こっちへ来るだべ」を生理的嫌悪感をもよおすぐらいヒヒジジイで演じることのできる役者がほしかった。
声も阿部サダヲがやるならそれでもいいんじゃないかなとも思うけど・・・そうだなー三上博とかどうかな。あと津川雅彦に「ひとひらの雪」」っぽいウイスパーボイスで演ってもらうとか(きっとエロいぞー。
コレに対してヤッターマン1号2号についてはとにかく「なんだかなー」感アリアリ。
とくに桜井ガンちゃんにはここに正座させて2時間ぐらいお説教したくなるようなダメさ加減。
まずアクションがヌルい。キャラが桜井君のまま。あとさ、桜井君滑舌があんまりよくないんだよね。決め台詞が決まんないのは致命傷だわ、ヒーローとして。
どう考えても「ヤッターマンがいる限りぃ、こーの世に悪はっ栄えなーいっ!」が言えてない時点で失格でしょ?
なんとなくヤッターマン1号2号がダメダメな原因として思うのは、第一に彼は(そして福田アイちゃんも)リアルタイムでヤッターマンを知らない。しかもドロンジョ様とちがって三悪の残り二人にむりやりテンションを引き上げられることも無い。さらにはガンちゃんは新作のアニメ版でもっとも旧作との落差が大きかったキャラであるためキャラにぶれが生じやすい(あ、ペリカンは置いといて)。
どちらかといえば「ただの元気な正義バカで純情で朴念仁な少年」のガンちゃんをそのままもっともーっと「カッコつけて」演じてくれたらよかったのに。なんかね、アイちゃんがガンちゃんを好きな理由がよくわかんないんだ、あれじゃ(ドロンジョの純情とか翔子ちゃんのあこがれとかはかろうじて判るんだけど
さてさて。
うーん「(ジャニーズの)桜井くんがガンちゃん」ってことで、「ふかたさんがドロンジョ様」ってことで、「作品的に恋愛要素強め」って前評判で、なにより「三池崇史監督作品」ってことで・・・期待しすぎたんでしょうけどね、勝手に(・・・もっとも過去の三池作品で観たのは、「中国の鳥人(1998年)」 「ゼブラーマン(2004年)」 「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ(2007年)」の3本だけなんですけどね。なにせホラーはあまり得意じゃないんです)。
うん、桜井くんがガンちゃんで、ふかたさんがドロンジョ様で、恋愛要素強め・・・だったよ、たしかに。
でもさでもさ、ぜったい「ナニかちがうこと」してくれるんじゃないかって・・・思ってたんだ。
ただのオマージュじゃない、記念作品じゃない。「2009年のヤッターマン」がそこにいるんじゃないかと・・・勝手なんだけどさ、うん。
ちぇーっ!(贅沢モン
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