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2021年総括

概観

2021年は、大学やインターン先(=GeekSalon)で積み重ねてきたいくつかのことがOutputになった一年だった。また、振り替えってみると価値観が色濃く反映された仕事や取組みをしているなと実感する。

卒論発表

2月に卒論発表がある。年末年始含めて1月はほとんど卒論のみに時間を費やした。これは初めての経験かつ、教授たちにとっても初めてのオンライン卒論ということで、色々と精神的な負担を得たことは否定できない。

コンピュータを使い、プログラミングがメインの研究なので、エラーと締め切りの間に精神を挟まれるのだった。ほとんど家で一人で実装をするだけではなく、できれば定量的に評価実験をして考察まで書かなければいけないという二面的なプレッシャーだ。また、日本語の文献がほとんどなく英語で書かれた開発者ソース(=いわゆる公式ドキュメント)だけが頼りだったのも心労に拍車をかけた。さらに、一人15分と短くてそこまで厳しく追及されるわけではないと聞かされていたものの、卒論発表はその道何十年のプロたちの前でおままごとのような(仕方のないことであるが)発表をしなければいけないという状況に辛酸をなめる思いであった。

卒論発表は、なんだかんだ終わってしまえば「こんなもんか」という拍子抜けするような会であったが、心の皮膚がまた新たに分厚くなったと思っている。


仙台へ

1月のタイミングに、ふとGeekSalonから「2~3月仙台に出張できるメンターを募集しています」という張り紙が出され、これに出ようと思った。というのも当時の我が家は、引っ越しをするという議論で揉めに揉めていて一時的に家出をしようと思っていたからだ。仙台出張(しかも有給)は天から舞い降りてきた家出の切符だった。また、卒論による精神的な疲弊もあり、心機一転俗世間から離れ、精神をリフレッシュしようという趣もあった。

仙台に着任してみると、現場はほとんどオンライン中心の教室(真冬の極寒だから?)だったので、当初は宿泊先のゲストハウスに長居することが多かった。人里離れた場所でゆっくりと時間を過ごすことができ、冷たい空気に肌を弄ばれ、非常に心地よいひと時であった。

途中からもう一人の東京メンターが赴任してきて、そのタイミングくらいから教室での活動が少しずつ増え、仙台メンターと初めて対面であいさつを交わした。全国どの場所でも理念は同じで、志高く仕事をしている仲間を交流できて、とても刺激的な日々だった。

本場の牛タンは、語るのもおこがましいほどの美味であった。

そんな仙台生活を終え、依然として実家は揉めていたので、今度は筑波に住んでいる高校の友達の家に居候することになった。ある程度まとまった自由な時間が取れる機会もあまりないので、一念発起して自転車で当時住んでいた川崎から筑波まで行ってみようと思い立った。多摩川を渡り、渋谷、永田町(母校の日比谷高校を拝みに)、足立区西新井(郷愁)を経てひたすら北へ漕ぎ進めた。工場、畑、川、一軒家住宅街しか見当たらない質実剛健な街並みを横目に、Google Mapを頼りに進めた。10時に家を出て、筑波駅に到着したのは夜の23時。バッテリーもスマホも充電がきれかかっていて、危うく遭難するところであった。その後1週間もう一人の居候仲間と共に3人で暮らし、車で茨城県を堪能した。非常に面白い時間であった。

マーケリーダーを経て

GeekSalon(2020~2021)のマーケリーダー自分でコントロールすることが難しい範囲に対する成果主義の責任を負っている。なので、酸い中心の玉石混淆な経験をすることになる。営業の問題に日常的に第一人者として取り組むプレッシャーに加え、チームのマネジメントやコーチング、難易度の高いマーケティングの成果も求められるgeek屈指のタフな役職だ。その分、マーケリーダー経験者の人はすごく成長することができて、コンサル出身の○○みたいなブランドさえ感じられる。思考力と一人前の自身を身に着けることができる。この期間に思考したことをまとめた文章を当時書いていたので、これを掲載する。

基本的にマーケ分野のお偉いさん方には、合理的な動き方をないがしろにされ、精神論を強要されてきたため、不信感を抱いている。自分自身の生い立ちや価値観を踏まえると、精神論は最も嫌うものの1つなのでこの雰囲気は性に合わない。しかし、営業も兼ねているので、ある程度精神論が成果に結びつきやすい領域だから仕方ないことだ。


昔マーケリーダーミーティングで言われたことは大体精神論に終止していて、ポジティブな行動やメンタルに結びついたことなどほとんどなかった。
また何かヒントを得て参考にして実行した記憶はほとんどない。


例えば、各メンバーごとの入会率をきっちり記入し、低い人にメスを入れようといった話があった。あるメンターは、以前のQで母数10人以上で80%以上の入会率を出していたが、今回は20%くらいに落ち込んでいて、
ここは問題だよねと言われたことがあった。しかし、話を聞いてみると
「説明会する人みんな温度感が低すぎて困っている。3回連続でここは何のイベントですか?と聞かれたんだよね」と言っていた。前提条件の揃っていない、統計的に意味のある母数にも至らない小さな数字同士を比較して判断する周りの人たちをとても不思議に思った。と同時に、もしこれを指摘するとなると、たくさん厳しい説明会をこなしているのに、その人があまりにも報われないし、良くない方向に動いていくという危機感もあった。入会率を重視、指摘される風潮の影響か、みんな説明会しても、分母を増やさないように入会が確定するまで説明会レポートを書かなくなっていったのだった。入会したら成績に反映させるための説明会レポートになっていった。

成績指標としてのKPIに関して、経由の配分はどう取るのか?という議論が各所で起こっていたが、これの議論をする時間は無駄だと思った。将来の入会数増加のための行動に結びつくわけでもなく、むしろ「別チームの経由だし、この人はKPIにならないしな~」と、betterな行動を躊躇する気持ちを生んでしまう。

説明会シフトに関しても、戦略としてシフトに週何回入ることを逆算して決めていこう、という摩訶不思議な命令が下ることがよくあったが、まったくもって理解できなかった。そもそも申込者よりメンター数の方が飽和していることが分かり切っていて、キャリアパーク経由など、ほとんど未着にしかならないような状況で。これらのことが積み重なり、不信感が募ると同時に、良いシフトを取るために裏でシフト流す時間を打ち合わせして、温度感高い申込者をたくさん取ったチームが、当然入会者増加につながるし、偉いチームという評価を受けるていたことなど、愚の骨頂だ。これらのことが積み重なり、不信感が募ると同時に、誰にも邪魔されず独力で何か作って動かしたいという欲求が日に日に増大していった。


その中で特に、1時間の定例体験会の確立を目指そうと思った。当時から、なんとなくであるが成果に結びつく未来になる予感がしていた。結果論であるが今振り返ってみてみると色々な問題を解決し、たくさんの構造上の相互的なメリットを生かせる鮮やかなSolutionであると自信を持って言える。1時間にすることで、以下のようなメリットがある。
・メンターの負担が軽減できる。例えば、もし参加者が皆Geekへの興味がない人だった場合の被害を減らせる。
・内容も簡単であるが故、初めての人、他コースメンター、新メンター、メンター候補に至るまで、体験会に参加することができる。
・マーケは現場に出て初めて学べる要素が多い。育成にもつながる。
・手軽軸をウリにすることでエントリー来やすくなっている可能性がある。
・2~3時間の体験会だと、その時間で満足してしまい、Geekの興味につながらない可能性がある。

イベントは兎にも角にもエントリーがボトルネックでここを最大化することが最も重要だ。2021年累計イベントエントリー数は500を超えた。なぜエントリーを集められたか?日程を多くしたからだ。日程締め切りが近い方がイベント一覧のTopに上がってくる。そんなアルゴリズムをエンカレは採用しているという重要な情報をどこかで小耳にはさんだ。結果としては、エンカレイベント一覧ページを眺めていて体験会に参加した人が7割を占めていた。分かりきっていたことだった。エンカレはユーザーが数万人単位でいる。エントリー数の掛け算を分解したとき、ここの視界に入ること自体の数、PV数が大きな重みを持つことは、容易に推測できた。

他にも日程を多くするメリットはたくさんある
・メンターがイベント運営経験の機会を多く得ることで、PDCAを回し経験値を溜められる
・後に統計的に物事を判断する下地ができあがる
・リスク分散できる。大きな船に乗っても一日しか漁業に出かけられなかったら、嵐に遭遇したとき全てを失う。数を重ねることでトータルで見ると参加者の温度感の運要素の影響を排除できる。分散投資と同じ考え方だ。
・体験会流しがしやすくなり、温度感上げに貢献できる
・マス向けに体験会案内を定期的に流せる


また、多日程の運用に耐えうるように自動メールを活用して事前連絡工数をゼロにして効率化を図った。体験会は内発的動機を生み出す。実際、体験会経由の説明会は温度感高い人が多いし、コンテンツにも良い影響を与えられるだろう。こんなにたくさんのメリットがある体験会の仕組み、確立するために動かない選択肢はなかった。


そんな体験会だが、最初から順風満帆なわけではなく、
昔はよく分からない批判を多数受けた。
・イベント打ち出す前に、よく分からない企画書テンプレを書くように言われた。
・CV者をフィルタリングして説明会するのをアホだと笑われた。
・直前までtopページに出てこないエントリー運ゲーの単発イベントをみんなでゼロから作り、競い合い、それに一喜一憂し、振り返りを求められた。「時間をかけて周到に準備して祈りを捧げたのに、なぜ昨日は雨が降ったのか、晴れにするためにはどうすれば良かったのか?」を議論するようなものだ。
・やってみなければ分からないものに数値目標を立てるように言われ、根拠を求められた。


色々なことを言われたりしたが、莫大なメリットと合理性、自分自身の論理的思考力を信じ、耳を貸さずにコツコツ積み上げていった。まさに説明会でよく言う台詞の「アイデアを形にする」を体現できた。リスク分散とも関係するが、イベントの参加者に関しては、確率的に統計的に物事を判断すべき土俵なのに、この考え方を進める人が今までGeek全体でほとんどいなかったようだ。体験会の成果は日によって異なる。10人来て1CVしか取れない日もあれば、6人しか来ないのに4CV取れる日もある。これはメンターの属人性の影響はあまり認められない。統計的には、母数が増えれば入会率20%, CV率40~50%に収束していくみたいだ。この数値は、特にエンカレユーザー集団による市場の原理を反映していると言えるだろう。

5月の頃はエントリーが予想より多く来て全体にhelpをだしても1〜2人しか参加してくれなかったのが、2021年後期には100人以上の入会者数を輩出するに至り、上記の批判を言われることなど皆無となった。周りの人たちは、嬉しくも手のひらを返したかのように自主的に参加してくれるようになった。体験会がある程度成果が出始めて、より大きくしようとしたとき
次に立ちはだかったのは全体最適が疎かになっていく恒例の短期的な部分的な圧力による問題だった。一律文面の自動メール送信を気にすることなく、日程を無造作に追加され、他拠点からコンテンツ、文面、バナー、中には時間帯までもほぼ同じ丸パクリイベントを複数開設された。ある程度圧力がかかっていて、短期的な成果を求められることは分かり切っているわけだから、ルール作りやマニュアルを整備しなければならない。さらに、メンターごとの意識の差による機会損失を生んでしまう問題にも対処せねばならない。

明らかに体験会のおかげで、夏の御茶ノ水教室のマーケチームはKPIが潤った。KPIの半分くらいは体験会に関わるものだった。体験会がなければ夏の御茶ノ水のKPIは今の半分に落ち込んでいた可能性だって十分あり得たシナリオだ。

他を圧倒して最も成果を上げていた元Eチームは、議事録などなく、ミーティングらしきミーティングなどほぼしていない。他と違っていたのは、たくさんの潜在顧客と接点を持つ機会を得たということだった。結局マーケチームのミーティングなど、成果にとっては重要ではないのだ。多くの場合、コミュニケーションの機会を強制的にもつ仕掛けとしての存在意義しか持たない。マーケで成果を出すために、いちばん大事なことはシンプルだ。潜在顧客と接点を持つ機会をたくさん作ることだ。ここは短期的に解決される問題ではない上、構造上短期的な解を求められるので、頭を悩ませ難しい。経験の少ないメンターは武器も何もないしあてもない。ライト与えずに、暗闇の中を歩かせるようなものだ。だから、上手くいく方法論を仕組み化して共有還元していく動きが必須なのだが、構造上それをしていく余裕とインセンティブが今まで誰にもなかった。ここは短期的に解決される問題ではない上、構造上短期的な解を求められるので、頭を悩ませ難しい。

2020年の冬のマーケチームはPDCAを回すために、各施策専門部隊が編成されていた。しかし、結局目先のKPIが足りず、今まで積み上げてきたことをふいにして目の前のKPIを達成するために直近の戦略を~という短期的な動きになってしまったのだ。このときに作られたイベントの知見やリファの知見、それらがまとまった資料は今ほとんど継承されていない。体験会の今後の展望だが、おそらく9月以降、エントリーよりもメンターの方が飽和状態になっていくだろう。そんなときに余計なことに頭を悩ませることなく、頭のキャパを有意義に使い生産的な思考をし、たくさんの潜在顧客のGeek興味を新たに生み出していくクリエイティブな行動に使って行ってほしいのだ。行動することは、帳尻合わせのミーティングに出席するより、よっぽど大事だ。
・このバナーと、このバナー、どちらが統計的にCVR高いかをABテストやってみよう
・受講整リファを、受講生にもメリットのある形で仕組み化したニーズ調査をとことんやってみて結果を見てみよう
・SNSマーケを活性化させて、リーチの幅を広げよう
・アライアンスにイベント打ち出してエントリー数、CV数、入会数を見てみよう
といった具合に。

インフラエンジニア的な仕事

GeekSalonの説明会に申し込んだ人は、何らかの方法でどこかのメンターが担当し、入会につなげられるように営業を行っている。従来の説明会シフトは早い者勝ちで競争原理の発想が反映されていた。この背景には2019年あたり、マーケティング営業活動に対するコミットメントが全体的に低かった現状を打破するために、競争原理でKPIの責任を持たせることでコミットメントを底上げできた流れを汲んでいる。しかしながら、コミットメントが底上げできて以降は、さらに1ステージ上がるために、全体最適の側面から仕組みを整える必要性を早くから感じていた。

従来のシフト競争システムには以下の大きな問題点を抱えていた。コンマ何秒のシフト競争に勝つためにSlackに貼りつくという非生産的な労力が合理化されてしまうことだ。マーケ領域の担当者は、KPIの責任を負い、戦略を立てることを求められている。ミーティングにおいて、「シフト競争に勝ってたくさん説明会をこなすことで達成します」ということを堂々と言い、これをマネージャーもある程度容認するという不可思議な議論をよく目にしていた。そうすると、シフト競争に勝つためにシフト流す時間を裏で打ち合わせするチームが市場の原理で現れるのだ。シフト勝てないからダメだみたいな烙印を押されるかわいそうな人々が登場し、公正さを重んじる自分の価値観を大きく揺るがせた。これらを踏まえて、説明会割り振りを自動化することで上記の問題を解決しようと決心したのだった。新人メンターを優先して現場経験を積ませるようなアルゴリズムであれば、組織の持続性の観点から良いと思いこれを採用した。つまり、説明会シフトは社会保障のような存在になり、説明会機会を自分の力で創り出すための思考と行動を促進するような仕組みを確立した。今後も現場でこの仕組みが回り続け、朝10時ごろ、コンマ何秒のシフト競争に勝った負けたを競う無益な争いを見ることは永久に無くなったと信じたい。

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