バタフライ・エフェクト 閲覧用スコア
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初演:2020.11.15. マンドリーノ東京 紀尾井ホール
以下、ご自由にプログラムなどに引用してかまいません。
【楽曲解説】
バタフライ・エフェクトまたはバタフライ効果とは、少しの事象の差が予測のつかない大きな変化を結果的にもたらす現象のことだ。蝶の羽ばたきが結果的に竜巻を生む、という寓意からその名がつけられている。
誰しも、「もしもあの時こうしていたら今頃どうなっていただろう」と考えることがあると思う。過去があるから現在があることを私たちは直感的に知っている。ではその過去とは全て自分が選択してきたことかといえば、私たちはそもそも自分の意思で産まれておらず、親ももちろん同じだ。そう考えると、私たちは少しの自分の意思と多くの他人の意思によって今の自分があるということに気づく。その意思の一つ一つがバタフライ効果を生む蝶の羽ばたきとは言えないだろうか。
人類史上、もしくは地球・宇宙史上、常にその羽ばたきは起きてきた。人はあずかり知らぬ誰かの羽ばたきに翻弄され、抗えない流れの中にある。しかし私が注目したいのは、その流れの中で私たちは常に羽ばたいて新たな流れを作り出しているということだ。その羽ばたきが善いことを引き起こす保証はなく、生きているうちにその結果を見られるとも限らないが、万人・万物が未来に影響を与えているということはそれだけで生きている・存在している意味のひとつにならないだろうか。
運命という大きな流れの中で懸命に羽ばたく蝶、それが本曲を通底するイメージだ。ドラマティックな展開の中に、形を変えて繰り返し現れるテーマに注目してもらいたい。(作曲者記)