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古川ほのかさんのこと

AV女優に関して私は基本的に「DD」である。DDとはいわゆるアイドルオタの属性の一つで「誰でも大好き」の略である。ちなみにDDの対極にあるのが「ガチ恋」といって、1人のアイドルだけを本気で好きになって応援するスタイルである。このタイプのオタは基本的に他のアイドルばかりか、リアルの異性にも興味を持っていなかったりするわけですが、それでいて本人的にはとても楽しそうなのだ。私にいわせれば純粋すぎるというか、人としてちょっとどうなのかと思ったりしますが、まあでも楽しいなら良いよね。

一方、ガチ恋のオタはDDを蔑んで見ている傾向がある。確かにDDはDDで節操というものがないし、人としてちょっとバカっぽい。ほんとにアンタ誰でもいいんかい?と思われ、それもなんだかなと思うわけである。要はどっちもどっちという話である。

どのみちAVを見る時、人は自ずとバカになる。実際、私はAVを見る時、オープニングからガンガン早送りするし、ほんの一場面をストップしたり何度もリピートしたり、挙句はスロー再生とかしちゃったりなんかするのだが、結局は最後まで見てない。申し訳ないですが、とても作品として真面目に向き合っているとはいえない有様です。

それはさておき、私がAV女優に関してDDであるのには、ちゃんとした理由がある。私はアイドルにしろリアルにしろ、思いがけずその人の考え方であったり本性であったり、心の奥深くにある何か特別なものに触れてしまったりしながら「いいな」と思って好きになるタイプの変態なのである。だから素性を見せる機会がほとんどないAV女優に対して、深い思い入れを抱くまでには至らないわけです。「好き」の深度が一定数を越えないがために、あれもこれもが全て均等な距離感のDDになっていくわけである。結局のところルッキズムだけでAV女優を見ているので、思い入れが浅いということでもある。まあAVってそういうもんだしね、と思っているところもある。

でもね。だからこそ私は気になっていたのだ。私が見てるあのAV女優さんたちは、本当はどういう感じの人なんだろうか?私たちは今までそこに触れる機会を、あまりにも与えられてこなかったのではないだろうか。

テレビ東京系列のバラエティ番組「月ともぐら」が画期的なのは、地上波のテレビ番組(木曜日の深夜3時という極北の時間枠ではあるのだが)において、AV女優がAV女優としてではなくボーダーレスにタレントさんとして、その立ち位置にいることで番組が成り立っていることである。端的に何が違うのかというと、誰もAVの話をしないのだ。そう、番組ではトップクラスのAV女優さんたちをパネラーに従えながら、その話題は一瞬たりとも出てこない。なので下ネタ的な振りとかお約束のお色気リアクションとかも一切なし。そういうのは余計だし、もういらないんじゃない?という制作姿勢がなかなか斬新なのだ。

「月ともぐら」は一応、「夜空にキラキラ輝くお月ちゃん(AV女優)たちがイケてないもぐら男子(MCのモグライダーとゲスト芸人たち)に『モテ』を指南する」趣旨で展開されるバラエティ番組だ。「乃木坂工事中。」や「日向坂で会いましょう」など、同局で放映している坂道グループのバラエティ番組を制作しているケイマックスが、それら番組と同じノウハウに沿ってアイドルをAV女優に置き換えて制作している。彼女たちがAV女優であることは出演者も視聴者も暗黙の了解の上で、それとなく番組が進行しているのである(注:番組の開始当初はAV女優ではないグラビア系タレントが混ざっていた時期もありました)。

これまで、いや今後もきっとそうだけど、地上波の番組に出てくるAV女優というのは、必ず「セクシー女優」としてシャバの世界に存在していて、その人が持つ個性とか自然体がAV女優の枠をはみ出して展開していくシーンを私たちはなかなか見る機会がない。構造的に立ち位置がAV女優であることのエクスキューズとなって番組が成立しているわけですから、それ以上の需要はないのだ。それは「カチコチTV」などエロが混ざったネットのバラエティ番組でも同じで、一般的なテレビタレントとは明らかに異なる角度によってAV女優の役割を全うしている限り、彼女たちが私の期待に応えてくれることはほとんど無いのだ。私にとってそれらはAV作品のほぼ同一線上の世界に等しいわけで、そういうのではなくAVの枠からいったん離れたところで、私は女優さんの素の姿や雰囲気に触れてみたかったんだ、ということに改めて気づかされた次第なのである。

坂道グループのアイドルちゃんたちがわちゃわちゃやっているバラエティ番組では、端っこにいるようなポジションの子たちが少しでも爪痕を残そうと機会を窺いながら必死にうまいこと言ったり気の利いた立ち振る舞いをしたりして、でも結果うまくできなかったりして人知れず裏で泣いてたりするみたいな、それと同じようなことを「月ともぐら」ではAV女優がいちタレントとしてやっているのである。そんなの面白いに決まってるじゃないですか。

AV女優たちもそういうのがわりとうまく自然にできてしまう人がいたり、なかなか殻を割り切れない感じの人がいたり、ちょっと無理して頑張ってやってる人がいたり、頭がよさそうだったり悪そうだったり、気が強そうだったりほんわかしてたり。当たり前ではあるがAV女優だっていろいろな方向性を持った人がいることがわかって面白い。それでいて皆さん圧倒的に艶があって、普通のタレントよりはやっぱりちょっと変わっていて、しっかりエロい。余談だがこの番組内で、彼氏の浮気や二股とかに対してめちゃめちゃ厳しく詰めるAV女優さんが多いことを知り、それはもしかすると立ち位置的に自分たちが常に男から軽く弄ばされがちだからなのかもしれない、なんてことを察した次第です。たいへん大きなお世話ではありますが、そういう一面を見せてくれるところも非常に興味深い番組だと思います。

で、そんな番組に出ている古川ほのかさんを私は見つけたのでした。

私がふだん見るAVは巨乳系に偏る傾向があり(ルッキズムなので)、非・巨乳系の古川ほのかさんについては、それまで箸にも棒にも(チンコにも)引っかかることがなかった私だが、この番組で見る古川ほのかさんはとても素敵な女性なのだ。話し方とか、ちょっとふにゃふにゃしているんだけど、発信できるものを安定して持っている人。どこか達観してて芯食ってるみたいな「何かがある感じ」を発していて、ありふれていない独特なセンスを感じさせます。何よりも楽しそうなのが良い。そういうのは見ている側にちゃんと伝わるものです。準レギュラーであるトップクラスのAV女優さんたちの中でも、回を追うことにテレビ的な立ち回りが上手くなっているのが古川さんだと思われるので、コンテンツ関係の人はこの番組での立ち回りをチェックしてみた方が良いと思われます。

そんな古川さんに興味をもっていろいろ調べてみると、ウェブのトーク番組にゲストで出ている動画がちらほら見られ、なるほど方々でゆるくも堅くヒットを飛ばしておられる。そして本人が自らの心情をダダ洩れにして綴っているブログ「ふるかわほのかの誰も読まない日記」にたどり着き、その内容がまた若干エキセントリックで内省的かつ自虐的で時にリリカル、総じて独自性が高く赤裸々に雄弁なのだった。こんなに素敵な女性なのに、えらい自己評価が低かったりするところも興味深く、読んでいると心の奥底にある大切な何かを見せてもらっている感覚が芽ばえてきます。こういったものに触れていると、気づかぬうちに「ガチ恋」に傾いていく。でもブログの更新頻度はだんだん少なくなっていき、この数か月はすっかり更新されなくなっています。

先日、古川ほのかさんはAVデビュー2周年を迎え、記念のオンライン・チェキ会が先ごろ催され、その様子が生中継されたのだが、オタには実に見どころのある内容だった(アーカイブ動画)。

かわいい。

更新が途絶えているブログについても触れており、頻繁に更新していたころは毎日がめっちゃ暇で毎日鬱々としていたのをブログにぶつけてたみたいなことを言っておられて、最近は忙しくて全然更新できてなくてすみませんと恥ずかしそうに明るくコメントしていた。最近はありがたいことに楽しい仕事が増えて、鬱々としなくなって元気になっちゃったのだと。なるほどなあ。ブログではあんなに自己肯定感の低かったほのかちゃんが、自分のチェキを「全部かわいい」とか言ってめちゃめちゃ自分を上げているのを見て、私は仰天してしまったのだ。実際、最近はいつもやさしい表情をしていて、コンディションも史上最好調な気がします。そんなキラキラしてる女子が誰も読まない日記なんか長々と書いてる理由なんかないだろと私は思うわけです。

本人はガチ恋大歓迎であるようで、どうしたらみんなガチ恋してくれるのかなって日々考えて過ごしているという。これは刺さった。そうか、嬉しいのか。自分のファンをオタクと呼んでて、あたりが強めなのもこの人らしい優しさだ。ユニーク。いや、こんな素敵な距離感を持ったAV女優はいないと私は思うわけですよ。このアーカイブ動画はとにかく古川ほのかちゃんの魅力が大爆発しているので、たいへんおすすめです。「祝」という字を書こうとして「呪」みたいになってたあたりは、真骨頂だと思います。

「祝」

古川ほのかさんは今後、AVの領域を超えて広く活躍していく人だろうと思われます。なので今のうちに私は古参のガチ恋オタとしてのマウントを取るべく筆跡を残した次第。いずれは古川ほのかちゃんの「上級者向け」的な記事を投稿したいものです。初心者はもう置いていくわよ。

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