本日未明から今朝にかけて見たちょっと壮大な夢(長い)

気がつくと知らない建物にいた。どこかのショッピングモールだろうか。結構高い所にいる気がする。

私の他に買い物を楽しむ客がいる。しかし全員知っている。みんなどこかで会っている。中学の同級生だったり、バイト先の人だったり。とにかくなんかどっかで会ったことある人たちばっかりだった。

どうやら私は1人で買い物に来ていたらしい。寂しかったので近くの人(小学校の同級生)に話しかけてみた。相手は買い物中で、普通に久しぶりだね〜と挨拶し昔の話をして盛り上がった。

童心に帰った私は、近くにいた別の懐かしい人に話しかけた。あんなこともあったね〜こんなこともあったね〜とまたひとしきり盛り上がった。

何かがおかしい。

一番最初に話した人の記憶がすぽっと抜けているのである。話していた記憶はあるが誰と、何を話していたのかが全く思い出せない。周りを見回しても、最初とメンツは変わらないのに私が懐かしいと思える人は誰1人として存在しない。

怖くなったのでまた別の人に話しかけた。
すると話しかけるまで全く知らなかった人だったのに、急にその人の記憶を取り戻した。しかし喋っている間、他の人の記憶がなくなる。

つまり、誰かと話すとその人以外のことを全て忘れてしまうのである。軽い認知症のような状態なのだろう。

この事実に気づいた途端、何故かショッピングモールの照明が落ちてしまった。正義感を出した私は、周りの人がみんな知り合いだったこともあり「暗闇で危ないので動かないでください!!!!」と叫んだ。しかしこちらにはお構いなしに1人でどこかに行こうとする人がいる。

さて、物語冒頭私はこのショッピングモール内にいる人物全員のことを知っていると言った。
しかし、唯一知らない人物がこの勝手に動いた人である。紫のニットの帽子を被ったおばあちゃん。私はこの人を知らない。少々危険かと思ったが止めはせず、遠くから様子を見守ることにした。

他の人は、私が「動かないでください!!!」と言った瞬間から微動だにしない。それもそれでかなり怖かった。

私は紫おばあちゃんのあとを追い、陰からこっそり見ていた。彼女はエレベーターに乗り下に降りてしまった。

照明が復活した。
私は来た道を戻り、店の真ん中で「もう大丈夫ですよ、!!!」と大声で言い放ったあと、紫のおばあちゃんを乗せたエレベーターの前まで来ていた。

ちょうど下から来たエレベーターが、自分の階で止まった。

私は言葉を失った。
中からは紫のおばあちゃん“だった人”が出てきた。身につけているものやほくろの位置は同じだ。明らかに若返っているのである。私はこの人を知っている。

どういう仕組みなのか、再びその方がエレベーターで下がるそうだったので同乗した。まだ目の前にいる人も、起きていることも何もかも信じられない。

「実はこれ、若返りのエレベーターなんです」
その声は、私が憧れてやまなかった「む」から始まって「つ」で終わるアジの開きで空気清浄機ウィーンウィーンのお姉さんだった。

まなつさんは、何度か自分でこのエレベーターの実験をしたという。上への移動階数が多くなるごとに体への負担は相当なものになること、下に行くにつれ体が軽くなること、物忘れなどが治り脳細胞が活性化することが分かったと言っていた。

このことを誰かに言うかすごく迷ったという。たまたま60階のエレベーター前で目が合った私に、この恐ろしいエレベーターの秘密を教えてくれた。
なぜ彼女は60階に来ても老いていなかったのかというと、どこかのお医者さんが「移動が辛くなった時に飲んでください」とエレベーターでの移動を老化現象なしで1度だけ耐えられる薬をくれたらしい。

確かにまなつさんの言う通り、下に行くにつれ頭が冴え渡っていくのを感じる。肩のコリも治まった。

20階に近づく。

「あれ、もしかしてたまちゃん!?」
そう、私の見た目はしわしわのよぼよぼでエレベーターに乗る前の見た目は60歳くらいだったらしい。
もう何十年も前だろうに、私のあだ名を覚えていてくれたことにただただ涙が止まらなかった。

20階についた。
まなつさんはここで降りるらしい。ナビのお礼と、気持ちが20歳に追いついたので、どうしようもなく好きだという気持ちを伝えた。

やっぱりこのエレベーターは身体も心も若くなる。誰かに伝えたい。そしてもう一度人生をやり直したくなったので、急ぎ60階に戻ることにした。動き出すと目的地までこのエレベーターは止まらない。

とある漫画の単語を借りると、上昇負荷がすごい。少しずつ全身に痛みが襲ってくる。四十肩、五十肩…….。そして行きにはなかった文字がエレベーター内に現れた。赤字で「あと3回使用可能」と表記が出ている。きっとまなつさんが実験しすぎたのだろう。

脳裏によぎる。もし誰かに伝えてしまったら?みんな若返りを体験してみたいと言うだろう。しかしこのエレベーターは4人乗りかつあと3回しか使えない。私の知り合いはまだたくさん60階に取り残されている。この事実を誰に伝えるか、伝えてどうしたいのか。伝えない方が幸せなのか。私は突然やってきた異端者だったが、みんなにはそれぞれ今の生活がある。伝えずに自分は到達後また下がるのか。
決断できぬまま目が覚めた。

おはよう。よく眠れませんでした。




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