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イナダミホ「テレビスタ」とチヤホヤされたい呪い

”チヤホヤされたい願望”というのは、誰しも持つものだと思う。持っていないと言うなら、あなたには、すでにチヤホヤされた経験があるのだ。

声優になりたい、ラノベ小説家になりたい、アイドルになりたい、インフルエンサーになりたい……そういうひとは、おそらくわたしを含めて、たくさんいる。

けれど、本当に声の演技を極めたり、作劇法や構造を研究して物語を書いたり、歌やダンスを習ってオーディションを受けたり、分析をして他と差別化を図って三方良しのSNSを駆使したいひとは、もうすでにしている。勝手に始めて、好きで続けている。

単に、チヤホヤされたいだけのわたしのような人間は、なにも行動せずに夢ばかりを見て、いつの間にか年をとっている。

鏡越しに問いかける
「わたしよもっと可愛くなれ!」
ブラウン管のあの子みたいに
愛されてみたいのよ
(イナダミホ「テレビスタ」『ポップネス』収録より)

イナダミホの「テレビスタ」を聴いたときに、いい歳をした自分のチヤホヤされたい気持ちを見透かされたような気がして、ドキッとした。

この歌は、ブラウン管で見る「サラサラの長い髪のあの子」にあこがれて、自分も髪を伸ばすが似合わない。けれど「あの子みたいに愛されてみたい」、という歌詞だ。

でも。でも、それの何がいけないの? とも思う。だって、わたしはまだまだ、愛されたい、チヤホヤされたいもの。

もちろん、何もせずにチヤホヤされるとすれば、そのひとが類稀なほど容姿が優れているとか、天賦の才能を持っているというケースだ。それ以外の人は、もれなく努力をして、目の前にきた運を確実に掴んできたひとたちだということを、わたしくらいの歳になれば、知っている。

さて、この「テレビスタ」には、ちゃんと「単に愛されたい呪い」から自分を解き放つ呪文が組み込まれている。

ジブンノコト ジブンノコト シッカリミルノヨ
ステキナトコ ステキナトコ ミツケルノヨ
アノコニナイ アノコニナイ ステキナトコ
(同前出)

単にチヤホヤされたいのであれば、声優でなくても、ラノベ小説家でなくても、アイドルでなくても、インフルエンサーでなくてもいいはずだ。自分のことを棚卸しして、自分が認めてもらえる場所に行けばいい。

でもそれがまた、難しいのだけれど……。

こういう、ちょっとやましい気持ちに鋭く差し込んでくる曲も作っているイナダミホは、現在フルアルバム制作のためのクラウドファンディングに挑戦中。残りは4日間だ。

「テレビスタ」を聴いて、チヤホヤされたい願望がちくっとうずいた方は、わたしの仲間です。ぜひ、超絶チヤホヤされたいわたしと一緒に、イナダミホのクラウドファンディングを応援しましょう!

*トップ画像は下記動画のスクリーンショットをお借りしました。
イナダミホ/テレビスタ - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=Gt6MqxlNUWA

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