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第3回闇キャンプ★後編 ハンモック最高!流れ星を見ながら密林とにらめっこ【久万高原町・千本高原キャンプ場】

ハンモックに揺られる感覚は心地良い。ついつい眠たくなるほどだ。
私のハンモック魅力布教作戦により、ハンモックの心地良さを体感したリーダーとGOTOは、すっかりその虜になっていた。それを証拠に、ハンモックに寝そべってAmazonでハンモックを検索している。タープ下の拠点に戻っても、時折視線は木陰に設置したハンモックの方を向いている。2人の心の畑に撒いたハンモックの種はしっかりと根付いたようだ。あとは、お水をたっぷりやるだけ♡
♪アナタはだんだん欲しくなる~ 木陰でユラユラハンモック~♪私は自作のハンモック賛歌を歌いながらスキップをしたい気分だった。

日が随分と高くなってきた。周囲のテントでは昼食の準備を始めているところも少なくない。そういえば、お腹も空いてきた。我々もお昼の準備にとりかかった。

滞在時間の限られるデイキャンプの昼食は簡単に済ませられるものが1番だ。手間が無いほどのんびり過ごす余裕ができる。
私たちは、前日の夜に仕込んであとは焼くだけの状態にしたスタッフドバゲットを用意していた。GOTOも同様に、後は焼くだけの状態に仕込んだ肉巻きおにぎりを持ってきていた。これに私は軽く感動していた。
キャンプは段取り8分だと私は思っている。事前の準備が当日の余裕につながる。だからこそ、事前に説明書を読むといった予習をあまりしない、どちらかというと準備が不足しがちなタイプのGOTOのことが気がかりだった。「やってはみたけど、キャンプって大変!」と嫌になるんじゃないかと心配だったのだ。GOTOがいると楽しい、GOTOの周りの人はみんないつも笑っている。だからこそ、その彼女が途中でキャンプやめたとなって欲しくなかったのだ。そんなGOTOが手間を省くため事前に仕込みをしてきている。すごいぞ、GOTO。グッジョブ、GOTO。やればできる子、GOTO。心の中でGOTOを賞賛しながら、たっちゃんが火起こしをしてくれた焚き火の上にアルミホイルで包んだスタッフドバゲットを置いて焦げないように炙った。

スタッフドバゲットは、塩コショウで炒めたベーコンと玉ねぎをマヨネーズとピザ用チーズで和えて、くり抜いたフランスパンに詰め込んだものをホイルで包んで炙る簡単料理だ。切ったスタッフドバゲットを食べようと手に取る時に、とろけたチーズが伸びるのも食欲を刺激する。ご家庭でもぜひ試してみて欲しいキャンプ料理だ。
隣に設営したリーダーとGOTOの拠点からは、肉巻きおにぎりに焼き絡めている焼肉のタレのいい匂いが漂ってきた。

いい匂いにつられて視線をむけて驚いた。少し離れているにも関わらず、まるで目の前で肉巻きおにぎりが焼かれているかのようなサイズ感なのだ。遠近法がどうかしている。どんな大きさなんだ。気になった私は、焼き上ったスタッフドバゲットを皿にうつして、たっちゃんとともに2人がいる拠点へと運ぶ。みんなでシェアして食べるのだ。そして運んだついでに肉巻きおにぎりをじっくりと観察することにした。
大きい。成人男性の握りこぶしをボコボコに腫れさせたみたいなサイズだ。
「なんかさー、肉を巻いたらどんどん大きくなってさぁ」と話すGOTO。GOTOのパエリアパンの上でゴロンゴロンと転げ回っている巨大肉巻きおにぎり。圧倒的質量。迫り来る肉巻きおにぎり。大スペクタクルの光景がそこにはあった。
肉巻きおにぎりに火が通るのを待つ間、スタッフドブレッドを食べながらこれまでのキャンプの事や、たっちゃんがリーダーのラジオのヘビーリスナーだった事など色々と話をした。
天上人を前に初めは緊張気味だったたっちゃんも徐々に緊張が解けていき、肉巻きおにぎりがいい感じに出来上がった頃には、通常運転のモードになっていた。パンにおにぎりという炭水化物たっぷりの昼食になってしまったのは反省点だが、どちらもとても美味しかった。

食後のコーヒーを飲みながらまったりと過ごす午後のひと時、私はあることをリーダーとGOTOに提案した。
前の年の3月に香川にオープンした「Alpen アウトドアーズ」にみんなでキャンプギアを見に行こうと提案したのだ。Alpenアウトドアーズの店内は撮影自由になっている、ショッピングを楽しむ様子を動画撮影できるだろう、そして何より爆買いも皆ですれば怖くない!そう誘ったのだ。

800坪という中・四国最大の売り場面積を誇る「Alpenアウトドアーズ宇多津店」では、実際に店員さんに教えてもらいながらテントを設営するなど使用感を実際に体験しながら買い物ができる。店内に並ぶブランドも200を超える充実ぶり、キャンパーとしては何度となく行ってみたい聖地であり、まさに底のない沼オブ沼。大散財不可避の恐るべきギア天国。
リーダーもGOTOも興味を持ってくれた。実は、このキャンプの翌月に我々は聖地・Alpenアウトドアーズ宇多津店に降り立つ。
その「闇チーム・Alpenアウトドアーズ爆買いツアー」はまだ動画にこそなっていないが、その身のこなしから我々が「ハンターさん」と呼ぶやり手スタッフさんにロックオンされるリーダーの様子や、派手目のマタギのような帽子を欲しがるGOTOの姿などとてもオモロい事づくしだ。また後日その爆買いツアーのこともこの闇キャンプマガジンに書くことにするので、乞うご期待。

ジリジリするような強烈な日差しが、少しずつ穏やかになってきた。早めに夕飯を済ませて粗方撤収をして流星群を見る予定だった我々は、夕飯の準備を始めることにした。

ここでGOTOのもうひとつの初おろしギアが登場する。取り扱い説明書を片手に、ゴソゴソと出してきたのが、彼女が大好きなキャンプYouTuber・少年かむいさんが動画内で使っていたDODの焚き火台「秘密のグリルちゃん」である。特殊耐熱のメッシュの上で焚き火をするので、メッシュ下の部分を利用すればオーブン調理も可能というキャンプ料理の幅を広げてくれるアイデア光る焚き火台である。
少年かむいさんが動画で作っていたグラタンを作りたくて、GOTOは彼と同じこの焚き火台を買ったと話す。そう、これから彼女が作ろうとしているメニューは、これでもかとチーズを乗せたアツアツのグラタンだ。現在気温は37℃、沁みるぜぇ!

説明書を見ながら慎重に焚き火台を組み立てるGOTO。この手の焚き火台は上手く組み立てないと産まれたての子鹿の様に脚がガクガクして安定が悪い。
やはり産まれたての子鹿になったグリルちゃんにGOTOが翻弄されている様子を見守りつつ、我々も夕飯に仕込んできている焼き鳥とタンドリーチキンを焼き始めた。しばらくするとリーダーとGOTOのタープの方から「ファイヤー!」とGOTOの声が聞こえてくる。着火に成功したのかしら。

無事に立った小鹿(正式名称:秘密のグリルちゃん)に着火し終え、時折「ファイヤー!」という謎の呪文を詠唱しながら、パエリアパンに敷き詰めた良いお肉やマカロニの上に、GOTOは親の仇のように大量のチーズを撒いている。その姿は私のお気に入りのインドの屋台動画でよく見る光景だった。「あー、GOTOさんインドしてる」と思いつつ、焼き鳥をひっくり返しては、作ってきたタレに漬けて網に戻していく。自家製の焼き鳥のタレのいい匂いが辺りに漂い始めた。匂いにつられてか、後藤がこちらを見て「ファイヤー!」と言っている。

親の仇チーズを乗せたGOTOのパエリアパンがオーブン状態に温まっているメッシュ下に入ると、空いた焚き火台の上には、リーダーが準備したスイーツが入ったダッチオーブンが乗せられた。
同時に料理ができるなんて、グリルちゃん、なんとシステマチックな焚き火だろう。素晴らしい。
昼食の後、夕食に作るメニューについて話していた時にリーダーは「私は摩訶不思議なスイーツ作るけん」と笑っていた。摩訶不思議なスイーツってなんだろう。

私がGOTOと産まれたての子鹿(本名グリルちゃん)の戯れの様子を伺っている間にリーダーは、アルミホイルを敷いたダッチオーブンにチーズだけのシンプルなピザを入れてそこに追いチーズ。その上にカカオマス多めのビターなチョコを乗せて、さらにその上に巨大でカラフルなマシュマロを敷きつめた「マシュマロピザ」を仕込んでいたのだ。なんとも夢かわいい見た目のピザ、焼きあがったらどうなるんだろう。それにしても、撮影しながら料理もするなんて、リーダーは器用だとキャンプの度にいつも思う。この人、隠してるだけで本当はお手手がいっぱい千手観音じゃないだろうか。

あとはチーズがいい感じになるのを待つだけのGOTO。我々の料理の進み具合を見学しようと、ペグやタープのメインロープに足や頭を引っ掛けながらお散歩にやって来た。あらゆる電子機器を狂わせるデジタルクラッシャーの一面を持つGOTOは、同時にテントクラッシャーでもある。キャンプ場でのお散歩の際には頭上や足元に細心の注意を払って頂きたい。
GOTOは、我々の焚き火台で燃える炎を見て「おお、ファイヤー!」と呟き、鶏の油で燃え上がる様子を見て更に「ファイヤーーー!」と両手を天に掲げて小躍りする。焼きおにぎりを焼く様子を見て愛でるように「ファイヤー♡」と言ったりもしていた。GOTOのファイヤーには種類があるようだ。

この時、私はこのキャンプ中に何度も耳にしているGOTOの「ファイヤー!」の謎が解けた。
下のグラフをご覧頂きたい。

上下する黒い線がGOTOのテンションを表している。テンションが一定の高さになると興奮、その瞬間に「ファイヤー!」と発するようだ。

その興奮状態の時間が長く続くと「ファイヤーー!」と言って両手を天にかざして小躍りを始める。そして、ファイヤーには種類がいくつか種類があり、その時にGOTOが、どういうことで感動しているかによって、様々な「ファイヤー」の言い方が存在する。GOTOという希少な生き物の謎がまたひとつ解き明かされた瞬間だった。

全員が人数分の料理を作ったため、またしても大量に料理が並んだ。それぞれに作った料理をシェアする夕飯が始まった。
GOTOの作ったグラタンはアッツアツ。ふんだんに使った肉の旨みと濃厚なチーズの味がガツンと来る暴力的な美味さのわんぱく料理だ。美味い!しかし重い!

対してリーダーの摩訶不思議スイーツ「マシュマロピザ」は、ビターなチョコのほろ苦い味が、甘くとろけたマシュマロを引き立てている。しっかりくる甘さが堪らなく美味しい。
ダッチオーブンから取り出した時は、大きく膨らんだ色鮮やかなマシュマロが大量に乗っていて実に可愛らしい。なのに取り分けるために切る時に色とりどりのマシュマロが混ざり合い、溶けたガチャピンみたいになっていた。そこにとろけたチョコも混ざって茶色な見た目なのだが、とても美味い。例えるならば、きゃりーぱみゅぱみゅの衣装の下がラクダの股引だった的なスイーツだ。たっちゃんは天上人の作りたもうた料理にうっとりと舌鼓を打っている。
茶色の料理こそ正義。この日以降、闇チームの教訓となった。

夕食が終わって少しまったりした後、暗くなる前に大きなものは粗方撤収した。椅子とハンモック、ランタンを残すのみ。日が完全に落ちて星が見え始めた。

千本高原も星空が美しい。天の川がはっきりと分かる。少しずつ流れ星も見え始めた。年間三大流星群のひとつに数えられるペルセウス座流星群は、1時間あたり30~60流れ星が見れるだけのこともあって、キャンプ場のあちらこちらから、「流れ星!」という声が聞こえてくる。交代でハンモックに横になって空を見上げる。少し涼しい風が吹き抜けて最高に心地良い。
「これ、最っ高よ!」
持ち主である我々にハンモックを勧めはじめるくらいに、リーダーとGOTOはハンモックが欲しくなっていた。横になって星が降る空を見上げながら、ふたりの手元のスマホはAmazonのハンモック検索画面が表示されているのを私は見逃さなかった。デュフフフフフ・・・。
その時、ひと際明るくて大きな星が流れた。いわゆる火球だ。「わぁー!」至る所から歓声が上がる。私達も歓声を上げていた。映画の大きなスクリーンをみんなで観ている気分だ。
その後ひとしきり流れ星を見た後、感動のままにそれぞれの車で帰路につく。「また次のキャンプで!」と言葉を交わして。
このキャンプの間にポチるには至らなかったものの、2人の心の畑にはしっかりとハンモックの芽が根付いている。流れ星のおかげで、芽が少し成長しているようにも見えた。作戦は上々である。これからも折を見てハンモックの布教を進めよう。私の頭の中では、ZARDが「負けないで」を歌っていた。ネバーギブアップの精神である。
こうして、闇チームに私たちたっちゃん&まなみん夫婦が加入した。
アウトドアクッキングの様子はこちらの動画でもお楽しみ頂けるので、併せてご覧頂きたい。動画の最後にはGOTOのファイヤー集という特典付きだ。ぜひ、あなたの推しファイヤーを見つけて欲しい。

キャンプを初めて、まだ2週間ちょっとのリーダーとGOTO。キャンプ仲間は確実に増えている。8月の終わりにはもう次のキャンプも待っている。
そして、きっとその時にはGOTOはカルミークノットの名前も縛り方も忘れているだろう。大丈夫、今日から私も闇チームのメンバー、これからも何度でも教えるよ。
闇チームの夏はまだまだ終わらない。

See You Next CAMP!

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