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第7回闇キャンプ 後編★最後までハプニング続き! 年忘れ闇キャンプ

■ずっと食べっぱなしの闇キャンプ
アツアツ料理の揃う夕食

冷たさを増す空気が、日暮れの時間が迫ってきたことを告げている。
16時を過ぎると周りのテントのキャンパーさん達がゆっくりと夕飯の支度を始め、それにつられるように我々のテント前に設置したキッチンスペースでも夕飯の支度が始まっていた。

リーダーが作ったキムチ鍋にはGOTOがこっそりチーズを入れた。
さすがは「チー研」、常にチーズを仕込むのを忘れない

リーダーは寒い冬の夜にぴったりなキムチ鍋を作ると言い、ダッチオーブンに野菜やお肉など具材をたっぷりと入れている。
私は、前日から家で仕込んでおいた料理たちが入ったジップロックをクーラーボックスから取り出した。

まなみん作のふろふき大根。大根は実家で育てた大根を使用

じっくりと時間をかけて出汁を浸み込ませたふろふき大根と漬け汁ごとメスティンに入れた自家製チャーシューを焚き火にかけ、火の番をたっちゃんに任せると、ふろふき大根に乗せる肉みそを作って突き出しにと漬けにしておいた半熟たまごを切って皿に盛り付けていく。
本日の料理をおやつタイムのぜんざいにしていたGOTOは、その様子を撮影しながらリーダーの料理を手伝っていた。ついでにリーダーのキムチ鍋にチーズを入れるのも忘れない。彼女は「チー研」ことチーズ研究会をふたつ名に冠する者なのだ。「常に心にチーズを!」がモットーなだけはある。

出来上がった料理たちがテーブルに並んだ頃、たっちゃんは酒を片手に調理に使っていた焚き火台に大きめの薪を焚べて暖を取るために火力を調節した。
皆で乾杯をして並んだ料理たちを次々と食べていく。
キャンプ場に着いてから、テントの設営と寝ている時間以外は基本的何かをずっと食べていると言っても過言ではない闇キャンプ。メンバーは全員常にお腹いっぱいのはずなのに、テーブルに料理が並ぶとまるで空腹であるかのように猛然と食べていく。これがキャンプマジックというものだろうか。

マシュマロにすぐに火が付くため、どちらかというと「燃えマシュマロ」と言った方がいい

ひとしきり食べてまったりモードになると、リーダーがマシュマロを取り出して
「焼きマシュマロしよう!」
と串に刺したマシュマロを配り始めた。
みんなでマシュマロを焼きながら、気が付けば、今年のキャンプライフを振り返って話していた。

■また小豆島に行きたい!
思いを爆発させるまったりタイム

7月にキャンプデビューを果たしたリーダーによって結成された「闇チーム」。この時、グルキャン歴約半年。
メンバーそれぞれにチームに加入した時期は違えど、すっかりグルキャンの魅力に取り憑かれた我々は、このひと月前にもうひとつあるものの魅力に取り憑かれていた。我々の心を掴んで離さないもの、それは小豆島である。
1年の闇チームを振り返って話す時に、全員があまりにも鮮烈にその楽しさを思い出すのが小豆島へのキャンプ旅行、そしてフェリー乗船間際に立ち寄った妖怪美術館だった。

妖怪美術館の動きはとにかく面白い。中でも「鈍器のようなもの」と名付けられたオリーブの古木の端材を売り出した時には、我々の間に「鈍器のようなものブーム」を巻き起こしたほど。
写真は「鈍器のようなもの」の通販スタート時にTwitterにアップされた宣伝写真

愛媛に帰った後もTwitterを通して伝わってくる小豆島での彼らの活動は腹が立つ程面白く、とても惹き付けられた。彼らの面白さの源にあるものは何だと勝手に考察した答えが、「1人でも多くの人を島へ呼びたい」という小豆島への愛だと結論づけた我々は、妖怪美術館をはじめとする小豆島の面白Twitter連合のことを心の底から愛おしく感じていた程だ。
「年が明けたらまた絶対に行こう」
そう語り合いながら、熱々に焼けたマシュマロを頬張った。
寒波の影響か、夜も深くなるとかなり冷え込んで来ていた。リーダーのテントの中で寝ていたカエデを連れてひと足早く家路に着くミエコを見送り、軽く後片付けをして私達はそれぞれのテントで眠ることにした。

■まなみん、丑三つ時の戦慄体験!!! 
シュラフの下に誰かの手!!!?

GOTOは明日キャンプ場から直接仕事現場に向かうらしい。
朝みんなよりも少し早く帰る事を悔しがりつつ、GOTOはリーダーのテントに入っていった。
私達夫婦も自分のテントに入って電気毛布のスイッチを入れ、寝支度をした。隣のテントからはほろ酔いのリーダーが初おろしのギア「jackeryポータブル電源」の説明をする声がする。

使い方がイマイチ分かっていないリーダーだったが、それでも分かりやすく使えるスグレモノ

「じゃあ、使ってM△☆○ω・・・」
とリーダーが後半呂律が回ってない感じで話して、ディレクターから
「舌が回っとらんぞwww」
とツッコまれているのが聞こえてくる。それを聞いて「あぁ、動画を撮ってるのね」と思いながらトイレに行った私が戻ってくるものの数分の間に、リーダーのテントからはディレクターのぐうぐう言うハッピーサウンドとリーダーやGOTOの寝息がスーピー聞こえていた。
本当に気絶するみたいに寝る人達だなと苦笑いしながら、私もテントに入ってシュラフに潜り込んだ。

それからしばらく…。
夜中、ふと寒さに目が覚めた私は傍らに置いてあったスマホを手に時計を見た。まだ2時を回った頃だった。
あまりに寒かったため、電気敷き毛布の位置がズレているのかと思った私はそれを確認するためシュラフの下に手を入れた。その時である。
クニュッという布団の中では有り得ない感覚がして飛び起き、気が付けばシュラフの横に正座していた。
何!?なになになにぃぃ!?
少し暖かかったソレは、まるで誰かの指先に触れたかのような感覚だった・・・。シュラフの下に人の手があるなんて有り得ない。
隣にいるたっちゃんを見るが、コットの上でシュラフに包まって寝息を立てている。彼は1度寝ると何があっても起きない。何よりソレはこの人の手であるはずはない。
眼鏡をかけ、テント内のランタンをつけて視界を確保すると、恐る恐るもう一度手を差し入れた。再びクニュッという感覚と共に生暖かさを感じるやいなや、私はすぐさま手を引き抜いた。
えええ、怖い!!

この時、私(まなみん)の脳裏に浮かんでいた映画「呪怨」のワンシーン。
「こんなんがおったらどうしよう」とドキドキしていた

心臓が早鐘を打っている。子どもの頃から記憶にある限り知清河原でお化けが出たとかオカルト系の噂は聞いたことがない。
しかし、私の頭の中はすでにオカルトスイッチが入っている。映画「呪怨」で見た布団の中から白い子がこちらを覗き見るワンシーンを思い出して戦慄していた。
あんなのがいたらどうしよう・・・。
生暖かい謎の物体が潜っているであろう場所をじっと見る。私が手を差し入れたのはエアマットレスと電気敷き毛布の間だ。
そこをじっと見たまま、息をのむ。怖いけど確認しないと寝られない。ビビリの私は、このまま何もなかったことにして寝っ転がる胆力など持ち合わせていないのだ。確認しよう、見てみよう。
毛布とシュラフ、電気敷き毛布をそっと持つと、少し間を空けて気持ちを整え、思い切りめくりあげた・・・。
この数分間、私を恐怖のどん底に陥れたもの、その正体はグミだった。
エアマットレスの上に点々と置いてある5粒のグミ。それには見覚えがあった。昼間カエデが持っていたグミだ。
ひと粒摘んで鼻先に持っていくとブドウの香りがした。間違いないこれはグミだ。
カエデは昼間私たちのテントでたっちゃんが寝ているコットの下に隠れては私に「見つけてー!」と言って遊んでいた。私の毛布の中にも潜って隠れていた。
おそらく、その時に持っていたグミを何粒か隠しておいたのを忘れて帰ったのだろう。カエデよ、君はリスなんか?そのグミが電気敷き毛布の熱でほんのり温められた結果、まるで指先に触れたような感覚になったんだろう。
ホッとひと息ついた私は、グミを拾い集めて寝床を整えた。
シュラフに潜って拾ったグミを食べながらテントの壁を見ると、夜露がしみてきている。「やっぱりちゃんとしたテントを買わなきゃいけない」そう思っていると、強烈な眠気が襲ってきた。先程までの緊張からの緩和、相反する感情の動きは眠気を助長するのかもしれない。いつの間にか眠りに落ちていた。

■バタバタな朝

朝6時、ドサッという音と共に何かが降ってる衝撃で目が覚めた。
降ってきた物体から「寒い・・・」と声がする。その声がする方を見ると、顔がベチャベチャに濡れたたっちゃんだった。コットから私のエアマットレス目掛けて降ってきていたのだ。
夜露がフライシートからインナーテントに染み渡った結果、たっちゃんが寝ていたあたりの天井から水滴となり、顔めがけて降ってきていたようだ。自動洗顔システムである。
見てみると彼が使っていたシュラフもしっとりしている。なるほど、これは寒かろう。
顔を拭きながら
「ちゃんとしたテント買おう」
とたっちゃんが言う。
それに同意しながら、昨日の夜中にシュラフの下にあったグミを見つけた事を報告した。拾い集めたグミを食べた事の方に驚かれたのは心外だったが、まあ良かろう。このままテントの中にいると他の物まで濡れてしまう。
シュラフを小さく畳んで、他の荷物たちとともに外に持って出ると、周りのテントからも人が出てきて顔を洗いに行っている様子だった。隣のリーダーのテントからは、毎回恒例のディレクターのハッピーサウンドが聞こえてくる。
私達も顔を洗って、朝食に備えてタープの下からテーブルや椅子を出した。もう使わないものは少しずつ片付けて撤収に備えた。
私が朝食に使うからとテーブルを拭いている間、たっちゃんは周辺のゴミ拾いをしている。
午前中早い時間は山の陰に入ってしまう知清河原だ、テントやタープが撤収できるくらい乾くのは昼前になるかもしれない。そう思いながら辺りを見ていると、リーダーのテントの出入口が開いた。リーダーとGOTOが、起きてきたのだ。
こうして起きてきた全員で朝食の準備が始まった。そうしている間もディレクターのハッピーサウンドは鳴り止まない。

リーダーのテントの中のリビング部分(屋根と壁があるだけで下は地面にコットという半屋外)で
爆睡するディレクターの様子。絶えずハッピーサウンドを響かせている

そっちの方を笑いながら振り返って
「あの人、半分地面のコット上で幸せそうに寝よるわぁー」
とリーダーが言う。

鯖缶を使ったリーダーお手製のサバとトマトのホットサンド。
凄く美味しくて夢中で頂いていた

リーダーが作ってくれたサバとトマトのホットサンドとコーヒーを頂きながら、ディレクターがリーダーに起こされている様子を見て笑う。
その横ではキャンプ場から仕事に直行するGOTOが忙しなく自分の荷物を車に運んでいた。
這い出でるように起き出してきたディレクターがヨロヨロとテーブルについて食事を食べ始めた時、「じゃあ、いってくる!」とGOTOが言うやいなや、車を発進させて仕事現場へと向かって行った。相変わらず車に乗ってからエンジンが掛かって発進するまでがほぼ同時である。
「バタバタするねぇ(笑)」
と笑って見送った我々は、テントの乾き具合を見て撤収することにして、ゆっくりと朝食を食べた。

■大きさ規格外!GOTOの忘れ物

止まらないハプニング

やがて河原にも陽があたりはじめた頃、テントやタープ以外のものを先にしまっていた我々のもとに爆笑しながらリーダーがやってきてこう言った。
「もーう、見てこれ、GOTOはランタンだけじゃなくてリュックサックも丸ごと置いて行っとるんやけどー!何を持って帰ったん?」
それを聞いて皆が爆笑した。実にGOTOらしいダイナミックな忘れ物の仕方である。

山の麓にある知清河原で大きなテントを早く乾かそうと思ったら、川岸にテントを移動させて早めに日光に当てる方がいい。小さな私たち夫婦のテントやタープは山側に置いておいても比較的早く乾いたが、大きなリーダーのドゥーブルテントとなると乾きが悪かったため、一旦ペグを全て抜いて川岸近くの陽の当たる場所に移動させた。

リーダーが轢いたLOGOSあぐらチェアの現場検証風動画の様子。
ド派手に轢かれた割には味付け程度の軽症で済んだ

昨日リーダーに轢かれたLOGOSあぐらチェアの現場検証動画を撮りながらテントが乾くのを待つ。
乾かしているテントをバックに、目撃者Aであるディレクターの証言、あぐらチェアのやられ具合の検証を進める我々。
あぐらチェアは一部座面にほんのりタイヤ痕がついたのと、背中を支えるポールの連結部分が一部歪んだ程度で普通に座れるし、折りたためる程度。目撃者のディレクターによると右側のタイヤで橋を渡るように乗っかってきれいに轢かれたそうだが、その割には実に丈夫である。

転がりながら逃げていくテントをすごい勢いで追うディレクターの本気のダッシュの様子

LOGOSって本当に丈夫だねと話している私とリーダー。この様子を見たたっちゃんがポロっと
「そう考えると、手でジュラルミンを曲げる人ってヤバいな(笑)」
と零した。
もちろん、初おろしの時に素手でドゥーブルテントの超々ジュラルミン製のポールをひん曲げたGOTOのことを指しての発言である。
その時、私たちの背後に異変が起こった。
急に吹いた強い風に煽らて川岸に干していたリーダーのドゥーブルテントが川に向かって転がり始めたのだ。
カメラを構えたまま
「ああああーーーーー!!!!」
と叫ぶリーダ。それを聞いて何事かと振り返る我々。ゴロンゴロンとスローモーションで転がっていくテント。髪をなびかせながらテント目掛けて猛ダッシュするディレクター。後を追うたっちゃん。そして・・・笑い転げる私とリーダー。
ディレクターが転がって行くテントに追いつき、すんでのところでテントが川に落ちるのを防いだ。たっちゃんも追いつき、2人で川岸から離す。
「大人が本気でダッシュするの久しぶりに見たー」
と笑いながらリーダーもカメラを持って二人のもとに駆けつけた。リーダーはたっちゃんにもう一度直前に言っていたセリフを言わせて
「ジュラルミンのこと笑うけん、テントが逃げ出したんよー」
と笑い転げた。

走り回ってルーフカバーを乾かす人間乾燥機と化したディレクター

転げ回ったおかげかテントは乾いていた。まだ少し湿っていたルーフカバーの端をディレクターが手で持ってマントのように後ろに靡かせて走り回って仕上げの乾燥を施した。
走り疲れて倒れているディレクターをしり目に、畳んだテントたちを収納バッグに入れていた時、ダイナミックに忘れ物をしていたGOTOが仕事現場から忘れ物のピックアップに舞い戻ってきた。
全員で顔を合わせて、また来年!と言い合ってそれぞれの車で家路に就いた。
対向車線には前方からサンタクロースの服を着たバイカーのツーリンググループが走ってきていた。
2020年もあと少し。来年もいっぱいキャンプをしよう。みんなそう思いながら解散した。

↓この年忘れ闇キャンプの様子はコチラの動画でお楽しみ頂けます。↓

実は今年(2021年)の年忘れ闇キャンプも先週同じ場所で開催されたばかり。また動画になるのをお楽しみに!


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次回、ひとりぼっちが大の苦手。そんなリーダーが一念発起!?
「宮崎ユウのひとりでソロキャンできるもん」を公開!
何を思ったか2021年の正月に決行したリーダー初のソロデイキャン。雪の積もる千本高原で、無事ソロデイキャンをすることは出来るのか!?ひとりでもトラブルは容赦なく襲ってくる!

実は2020年末に倒れて入院していた私は、ここから4月までの闇キャンプマガジンを完全に天の声状態になってお届けすることになります。次回も乞うご期待!

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