宮崎ユウのひとりでソロキャンできるもん!★前編 ブルーまっしぐら! どうなるリーダーの初ソロキャン!?
それはキャンプデビューを果たしてしばらく経ったある日のこと。
リーダーが1人ぼっちが大の苦手であることを知っているはずのディレクターが
「ソロキャンプできる車を持ってるのに、ソロキャンをせんのはどうなーん(笑)」
とリーダーに言ったひと言が発端だった。
負けず嫌いのリーダーのハートに、彼のこのひと言で火がついた。
私もひとりでソロキャンできるもん!
■ソロキャンに向けて進む準備
ソロキャンプ。それはテントの設営から料理、宿泊、撤収に至るまで全てを自分1人で行うキャンプのこと。コロナ禍の昨今、密を避けてアウトドアを楽しむことができると注目を集めている。誰に束縛されることなく、誰に合わせることなく全てを自分の気の向くままに、自由に自分だけの時間を過ごすことができるのが魅力ーーと世間一般では言われている。
コンビニで1人お買い物がギリギリOKなレベルでおひとり様が苦手な我らがリーダー・宮崎ユウ。ひとりで食事なんて以ての外、だからソロキャンの楽しさなんて彼女にとっては都市伝説に等しい。
しかし、それでもソロキャンプをしてみせると心に決めてから、なかなか思いきれずに数ヶ月が過ぎて迎えた2020年の年の瀬、闇チームの年忘れキャンプ。愛車RAV4で轢いてしまったまなみん&たっちゃん所有のあぐらチェアの新品を取り寄せる為にAmazonを開いた時に、LOGOSのカーサイドテントがセール対象品になっているのを発見したリーダー。ひとり雷に撃たれたような感覚を感じていた。
これぞまさに、「このタープを持ってソロキャンに行け」という天啓ではないか!?そう思ったリーダーは、何度も闇のメンバーに「これ、良くない?」と聞いていた。そして、「買うしかない!」「欲しい時が買い時よ!」などと闇メンに背中を押された結果、キャンプ中にそれを購入したのだ。
闇のメンバーの声の中には、「本当にソロキャンできるん?」というディレクターからの煽りともとれる声もあった。
負けず嫌いのリーダーはポチッた後で、「年末年始の休みにこれを持ってソロキャンに行くもん!」と宣言したのだ。
こうして着実に準備が整っていくリーダー初めてのソロキャン計画。
自分用にペグハンマーも買い揃えた。
届いたカーサイドタープを試しに組み立ててみたところ、組み立てはすんなりできた。
しかし、無事組みたてができていざ撤収となった時にポールの結合を止める留め具が固くて押し込めず、撤収ができないというハプニングが発生した。
両手で全力で押せば留め具は入るものの、そこからポールを抜くために片手を外すと、留め具が元に戻って抜けなくなるのだ。要するに手が2本では1本足りないのである。
「どうしよう、1人じゃ撤収できない」
闇のLINEに状況を共有して解決策についてアドバイスを求めた。そこでアドバイスされた通りに両手で留め具を押し入れて、ポールを足で挟んで全身を使って引っ張ったりもしたが、留め具はビクともしなかった。何よりこれをキャンプ場でするのはとてもかっこ悪い。
仕方なく邪魔な長ーい棒と化したポールを一旦放置することおよそ1日。
試行錯誤の結果、片方のポールをあてがって留め具を押すという、タカアシガニのお食事シーンのような「タカアシガニ方式」で解決できることを発見した。これで撤収もひとりでできる。
この年のクリスマスに行なわれた妖怪美術館の生配信でチョー消し投稿を読み上げられたリスナーにプレゼントされる「もっちり里芋カレー」(リーダーがパーソナリティをつとめるラジオ番組のスポンサーであるアール・シーフードパックの商品。もちろん、愛媛産。まさかの逆輸入となった)がソロキャン決行日の前日に届いたこともあり、これをお守り代わりに携えてキャンプ地に向かうこととなった。
■ここをキャンプ地とする
こうして迎えた2021年1月2日。リーダー初めてのソロキャン決行の朝。車にキャンプ道具を積み込んだリーダーは、運転席のドアに手をかけると「大丈夫、今日はデイキャンプ。あっという間よ。何より私は車が好き!車に乗れば寂しくない!」と早くも挫けそうな自分自身にはっぱをかけ、勇気を振り絞ってドアを開くと車に乗り込み、エンジンをかける。
いくつか候補はあったが、彼女が目指したキャンプ地は自身の出身地である久万高原町にある「千本高原キャンプ場」だった。
慣れ親しんだ地元の安心感、そして何よりどうしても寂しくなった場合には「来て」と一声かければやって来てくれる友達のいる安心感が最大の決め手だったという。
闇チームのグループLINEには行先どころか、この日にソロキャンに行くということまで伝えていない。おそらく、「私、正月に一人でデイキャンしたんやけん」と胸を張って報告し、動画をアップして我々を驚かせるつもりだったのだろうと推察する。リーダーなりの意地を感じずにはいられない。
この日は上空に年末寒波が到来していたこともあり、時折空から白いものが落ちてきている。前日の夜から降り続いた雪が所々残っている中、車は久万高原町に向かう道をひた走る。途中、道の駅「天空の郷さんさん」で受付を済ませて、千本高原に着いたのは11時頃。雪が残っている場所もあるキャンプ場にはリーダーの他にも何組かキャンプをしているが、いずれもガチガチのガチ勢。薪ストーブをインストールしているであろうワンポールテントやキャンピングカーなど本気すぎる装備が眩しい。
リーダーは出入り口に近い桜の木の下の場所を確保して車を停めた。カメラを設置しようと開けたドアの隙間から、暖かい車内目掛けて冷たい外気が一気に滑り込んで来る。刺すような寒さに肩をすくませながらアングルを決めてカメラを設置する。吹く風の強さが体感温度をグッと下げる。
「早くタープを出して焚火で暖を取りたい」
そう思うと自然と小走りになっていた。
■「やけん嫌いよ、ひとり…」
リーダーを襲う悲劇・指バーーン!事件
早速タープを張ろうとバックドアを開いて、荷室からカーサイドタープを取り出すとそのまま荷室の空間を使ってフレームを刺して組み立てていくリーダー。
「すごい汚れそうやもん…。」
と一人呟く。
溶ける雪でぬかるんだ地面に新品のカーサイドタープを置いて汚したくはなかったのだ。
強風に煽られながらもフレームを通し、力を込めて固定していく。その過程で荷室では収まりきらなくなったタープを遂には地面に着くこととなる。
いつものグルキャンなら誰かに持ってもらう、力が必要なことは力持ちのGOTOにお願いするのに・・・こういった少しの不便が今日は一人であることの寂しさをこと更に強調しているように思えた。
フレームが入りパネル状になったタープを一旦車のルーフに置いてタープを支えるポールを組み立て、これも車に立てかけた。ペグダウンの準備をしにタープから手を離した瞬間、折からの強風がタープをふわりと浮かせ地面目掛けて滑り落とす。さらにバランスを崩したポールまでもが虚しく倒れ落ちた。踏んだり蹴ったりである。
「なんなん…」
思うように進まないもどかしさに、ただでさえ一人ぼっちでいつもに比べて低めのテンションは下がっていく一方。「タープさえ立てられたら少し楽になる」その一心で気力を奮い、手を動かした。
雪崩のように地面に落ちてきたタープとポールを再び車に立てかけると、屋根に吸着させることでタープと車をジョイントさせる吸着アンカーを取り出した。
これを車の屋根に設置しようにも、公式プロフィールよると身長155㎝のリーダーは屋根に手が届かない。
このジョイントを吸着させるには硬いフックを立て起こし、吸盤を押さえつつ再びフックを寝かせて圧着させなくてはならない。両手が使える状態でなければ、設置不能なのだ。いつもなら背の高いメンバーにお願いするであろうこの作業もソロキャンの今日は自分で解決するほかに術はない。
座席のドアを開いてステップから身を乗り出すようにして後部座席側と運転席側にジョイントを取り付けていくリーダー。フックにタープのハトメをはめていけば後は前側を2本のポールで支えるだけ。
しかし、ここでアクシデントが起こる。運転席側に吸着したはずのジョイントがポロリととれたのだ。しかも、もう一度吸着させるためにフックを立て起こそうとしても、硬くて全く動かない。タープを立てるにはこれをつけなければ…。リーダーが渾身の力を込めてフックを起こそうとするが、フックはピクリとも動かない。とはいえ、今日は頼る相手のいないソロキャンプ。普段なら笑い飛ばすであろうこうしたアクシデントも今日ばかりはそうはいかない。
「やけん嫌いなんよ、ひとり…」
やり場のない苛立ちを口にしながらも、何とかしようと格闘することおよそ5分。フックをようやく立て起こすことに成功したリーダー。そのジョイントをもう一度屋根にとりつけようとするが、これまでの頑張りを嘲笑うかのようにジョイントは天井に吸着することなく、脆くも取れてしまうのであった。
吹き降ろす冷たい風がで手が悴む。こうしている間にも空からは風花が舞い落ちている。「早くタープを立てて焚き火で暖を取りたい!」寒さと圧倒的腕力不足に挫けそうになりながらも、そう思って手を動かすのを止めなかった。
このままでは埒が明かない。
そう思ったリーダーはジョイントを使うことを諦めて、荷室からロープを取り出してきた。ロープを使ってタープとクルマを連結させることを思い付いたのだ。
タープのハトメにロープを括り付けるとロープの先を手に持ち、時折ロープを引くようにしながら助手席側へ向かって歩いてロープを這わせた。そして、助手席側のミラーにロープを巻いて固定する。
この方法なら頑張って背伸びをしたり、何かに乗って無理な体勢で奮闘しなくてもいい。ここまで強風に翻弄されたり、道具の不具合に遭って散々だったリーダーだが、かすかに光が見えた気がしていた。残すはあと1本。
同じようにロープの先を持った状態で、開けっぱなしのバックドアを半開きにして、その上を通しながら反対側の後部座席側に向かって歩いていくリーダー。リーダーが1歩、また1歩と歩を進める度にそれに合わせてバックドアもグイングインと上下している。
「後部座席のドアまであと少し。あと少しでタープが立てられる・・・!」そう思った時、天井を這わせていたロープが車のシャークフィンアンテナに引っかかってしまった。ロープの引っかかりを外そうと空いている方の手を車に着いて背伸びをして手前にロープを引いた瞬間・・・・・・
バーーーーンッ!!!
勢いに任せてロープを引いたことで押されたバックドアが思いっ切り閉まる。大きな音がキャンプ場に響いた。
その刹那、息が出来なくなるほどの痛みがリーダーの指先に走る。リーダーが車体に着いていた手がバックドアに挟み込まれたのだ。
激痛に堪らず手を引き抜くリーダー。あまりの痛みに目がチカチカする。魚のようにハクハクと口を動かせども、言葉にならない。まるでそこに心臓があるかのごとく挟んだ親指が鼓動に合わせてズキズキと痛む。挟まれたであろう部分が熱かった。
■「絶対にやり切ってみせる!」
立ち上がれ、リーダー!
バックドアに挟まれた左の手を抱え込むように一瞬、「く」の字に体を曲げたリーダーは、次に意外な行動に出る。
蹲るかと思いきや、ノロノロと右の手を伸ばして痛みのあまり手放したロープの先を再び握ったかと思うと、ゆっくりと歩いて後部座席側のホイールに巻き付けてロープを固定し始めたのだ。
何がなんでもソロでこのキャンプをやり切る。諦めて堪るか!そんな漢気すら感じさせる行動だった。今、リーダーは気力だけで動いていると言っていい。
ロープを固定し終えてしばらくその場にしゃがみこむと、リーダーはカメラに寄って行き、先程挟まれた親指をアップで見せる。負傷した親指は挟まれた部分がハッキリと分かるほどに凹んでいた。どれ程痛かったことか・・・。
後退りをして画角からフェードアウトしたリーダーは、
「めっちゃ痛ぁーい・・・痛い・・・・・・」
とひとしきり泣くともう一度気持ちを奮い立たせて再び画角に戻ってきた。
キャンプの楽しさを伝えるチャンネルに涙は要らない。そんな意地が垣間見られる。
荷室からペグハンマーとロープを手に取るとタープを固定するべく、ポールにタープとロープを刺してペグダウンし始めた。
なんだか、到着して車から降りてきた当初よりもリーダーの姿がひと回り逞しく見える。痛みを怒りに変え、怒りのパワーで力強くペグを打ち込むとロープの張りを調整した。
「はい完成。」
強めに怒気を含んだトーンの低い声でそう言うと、仁王立ちをしたリーダーは再びカメラに負傷の痕を見せた。テンションはどん底だった。
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次々と襲いかかるハプニングによって、おおよそ動画に向かないどん底テンションになってしまったリーダー。
次回後編では、そんなリーダーの心と体を温める神グルメが登場!果たしてリーダーの初めてのソロキャンプは成功となるのか!?はたまたこれがラストソロキャンになるのか!?乞うご期待!
See You Second part!
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