闇キャンプ番外編★ とんでも大失敗の連続 まなみん&たっちゃんの初キャンプ【四国カルスト・姫鶴平キャンプ場】
「何でこんなことになったんだろう・・・?キャンプってこんなことするのか?」
ホームセンターで買った太くて重い目の詰まった薪を素手でむしりながらたっちゃんは途方に暮れていた。腹も減った。真冬のような冷たい風が吹いていた。
これは今から数年前の話。
1組の夫婦がキャンプデビューをするべく、11月初順の四国カルスト、姫鶴平キャンプ場に降り立った。
私・まなみんと旦那のたっちゃんだ。
芸人のヒロシさんが運営しているYouTubeの「ヒロシちゃんねる」に私がどっぷりハマった事がきっかけになり、めでたく今日キャンプデビューを果たす私たちは、勝手も何も分からないことばかり。長続きする趣味になるかどうかも分からなかったので、この時点ではまだテントなどの大物は購入していなかった。そんなこともあり、今日はデイキャンプをする予定でやって来ていたのだ。キャンプ道具も、この日のために買ったのは、折りたたみの小さなテーブルと焚き火台に保冷バッグのみ。あとは100均のフライパンに紙皿、元々自分たちで持っていたチェアだけとかなり最小限の装備でこの場に立っている。山は寒いという朧げな知識のもと、我々の防寒具はジャンパー1枚のみ。薪は途中でホームセンターに立ち寄って買った大きな薪を1束のみ用意していた。
私たちが選んだ「姫鶴平キャンプ場」は、奇しくも闇チームもファーストキャンプの地に選んだキャンプ場だ。高地にあるため絶景が望める人気の場所だが、周辺に買い物ができる店がない場所。それなりに装備が無ければしんどい思いをする場所である。
私たちの初キャンプは、まさに初心者ならではの失敗の見本市のようだった。
きちんと下調べや準備をしてないとえらい目にあいますよという悪い見本のようなキャンプだ。
まず最初の失敗は、キャンプ場に至るまでの道中にあった。
愛媛県外に住んでいる読者の方の為に補足しておくと、私たちが住んでいる愛媛県には砥部焼きという工芸品がある。年に2回、産地である砥部町では「砥部焼まつり」が開催され、県内外から大変に多くの人達が集まる。その数毎年10万人を超えるほどだ。砥部町への移動は車でなければ不便なため、それだけの人数の大半は車でやって来るのだ。すると砥部町へ向かう道は数メートル進むのに数十分もかかるほどの大渋滞になる。しかし、我が家からキャンプ場へ向かうにはこの砥部町を通らざるを得ない。
私たちがキャンプの日として選んだのが、ちょうど秋の砥部焼まつり初日だったのだ。こういった大イベントの開催日を事前に調べておくことを失念していた私たちは、この大渋滞に巻き込まれてしまった。結果、キャンプ場への到着時間は大幅にずれ込み、午前中着予定が14時頃に到着してしまった。
お昼ご飯を作って食べる予定だったため、空腹の私たちは、キャンプ場に着いて場所を確保して早々に料理をするために焚き火をすることにした。
焚き火台をセットし、動画で何度も見た火起こしをしようとした。
キャンプ経験者でなくても、火を起こした事がある人はもうお気づきであろう。この時私たちが持って行っているのはホームセンターで買った薪ストーブ用の太くて大きな薪と数枚の新聞紙だけなのだ。これでは薪に火が着く前に燃え尽きてしまう。焚き付け用の細い薪がないと火は育たないのだ。そして、決定的な失敗として、この時の私たちには斧やノコギリ、ナイフといった薪を割るための道具はない。ガスは危険物!という私の偏よった考えからガスコンロなどもない。圧倒的知識不足と道具不足。隣りに居を構えるソロキャンパーさんの装備が眩しく見えた。
困った私たちが取った方法は、旦那・たっちゃんの手で薪の剥けそうな部分を剥いて焚き付けの薪を作るという恐ろしく原始的な方法だった。
幸い旦那・たっちゃんは空手を習っている。黒帯を所持する猛者だ。「今黒帯の実力を発揮しないでどうする!」と彼に発破を掛ける鬼嫁・まなみん。気合い十分に薪にしがみつく黒帯たっちゃん。私は、彼が剥きとった皮や割いた薪を集めて火を起こし、料理をしていく。
その間、私の背後では、「おおぉーっ!」「うおぉぉ!」と声を発しつつ、色んな角度から薪にアプローチし、素手で薪を割くたっちゃんの姿があった。両手のみならず両足も薪にかけて地面をのたうちながら薪を剥ぐ。ヒト対薪のリアル異種格闘技戦である。そうやってやっとの思いで剥いで積み上げた薪を、嫁がむんずと鷲掴みにして、じゃんじゃん火にくべていく。その時の彼の気持ちこそ、冒頭に書いたあれである。
やっと出来た薪を無慈悲に燃やした鬼嫁は旦那の方をくるりと振り返り、「もっと薪が欲しいなぁ♡」とおねだりをするのだ。キャンプを超えた荒行、サバイバルに近い光景である。
傍から見たら実に滑稽な2人組だと思う。周りを見れば夫婦で来ているキャンパーさんも沢山いる。旦那側からしたらとんだ地獄絵図がすぐ近くで展開されているのだ。見ないふりをしながらチラチラとこちらを見ている人もいた。
そんな私たちの元へ、見かねた近くの夫婦キャンパーさんが大きく円を書くように遠巻きから、恐る恐るこちらへ近づいて来た。
そして、薪を掴んで奇声を上げているたっちゃんに「あの・・・もし、良かったら・・・これを使ってください。」とハンマーと鎋を渡してくれたのだ。これを使えば、大きな薪も楽に割れる。
地獄に仏とはまさにこの事。私たちはお礼を言い有難くお借りした。そのご夫婦は「ホントに・・・怪我しそうで、もう、見てられなくて・・・」と話している。絆創膏まで用意してくれていた。すっげーいい人だ。そして、
ハンマーと鎋の使い方までレクチャーしてくれる。普段はスーパー人見知りで初めて会う人にはなかなか話しかけられないたっちゃんも信じられないくらいニッコニコで対応している「どちらからいらっしゃったんですかー?」「僕達今日初めてキャンプするんですー」なんて話しているのだ。アナタやれば出来るじゃないの。
我々を救ってくれた救世主夫婦は、高知から来ているそうだ。彼らのお陰で食事も無事に作れた。初めてのキャンプ料理は、たっちゃんの大好物のハンバーグだった。うまい!うまい!と頬張る旦那はニッコニコだ。
標高1400mの高原だから夕方以降急に寒くなるが、その時間に焚き火で暖も取れた。私たちがそのご夫婦にお借りした道具を返しにテントに伺った時、お礼を言うと同時に何もお返しでお渡しできるような物が無いことを詫びた。すると、
「困った時はお互い様だから、気にしなくて大丈夫!もし、困ってる人を見つけたら、ぜひ助けてあげてください」
と言われたのだ。感動した。先輩キャンパーは、かくも神なのか!?気持ちがすごく暖かくなる出会いだった。
凍えながら星空を見て、撤収し帰路に着く我々。反省点はたくさんあったけど、すごいいい出会いがあった。「いつか我々も困っているキャンパーさんに手をかせるようになりたい。」「そのためにスキルアップをしなければ」と帰り道、互いにスキルアップを誓いながら帰宅した。
この時の思いは5年たった今でも変わっていない。もし、いつかどこかのキャンプ場で私たちを助けてくれたあの救世主夫婦にまたお会いできたら、その時は「あなた達のおかげで、キャンプが大好きになりました!」とお礼を伝えたい。その時に胸を張ってお会いできるようなキャンパーでありたいと思っている。。
その後、だいぶチェア方面に偏りつつも徐々にギアを充実させながら、経験値を積んできた。もちろん、適宜失敗を重ねながら体得したスキルもある。今では闇チームに所属してグループキャンプを楽しんでいる。
気がつけば初めてのキャンプから5年が経っている。たぶん、このまま爺ちゃん婆ちゃんになっても続けている趣味だろう。
これが、私たちたっちゃん・まなみん夫婦のキャンプデビュー。
次回は我々闇チームの「小豆島デビュー」となる小豆島キャンプの様子を詳しく記して行こうと思う。この小豆島キャンプがかなり濃厚なのだ。今までのような前・後編には収まりきらないほど濃い。こんなに濃厚なキャンプなのになぜ今まで動画化されていないのか・・・。
それはおそらく、後に我々闇チームのシンボルキャラクターとなる彼との衝撃的な出会いのせいだろう。
気になる次回「第6回闇キャンプ 小豆島キャンプ編」はそのキャンプから丁度1年の小豆島上陸記念日11月14日(日曜日)から順次公開!!
震えて待て!!
See You Next CAMP!
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