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第5回闇キャンプ★後編 ラッセンな気持ちになれるキャンプ場に響く謎の歌 「ポルシェでキス」 スペシャルゲストの正体とは!? 【今治市・ドルフィンファームしまなみオートキャンプ場】

イルカの鳴き声が響く海辺のキャンプ場「ドルフィンファームしまなみ」。ビーチサイドに位置するフリーサイトに寝室側の赤いポールが曲がった闇のドゥーブルテントは、闇のおしゃれ番長・リーダーによってハロウィンの装飾をされて佇んでいた。
ここからは、ポールが曲がった衝撃で動画化されなかった部分たちである。

テントの中に荷物を中に運び込み、テーブルや椅子を設置してリビングを整えた我々は寝室を整えた後、テントの中でおやつタイムを楽しみながら休憩を取っていた。

前日に私が作ったマロンクリームロコネをお茶請けにして、先程手渡したばかりのまなみん作「キャンプ虎の巻」ノートを見ながら、カルミークノットの名前がまだ覚えられないと話すGOTO。思えば、GOTOが、説明書的なものを読んでいるのはなかなか見れない光景である。

ひと休みしたら、明日の朝テントを収納する時に備えて、テントのガイロープを纏める為のロープワーク「チェーンノット」を教える予定になっているのだ。今はその前のブレイクタイム。
ベンチレーションを全て開けている状態なのでテントの中はとても快適な気温。しかも、パネルに取り付けたデビルブロック(蚊帳)やグルっと付いているスカートのお陰で虫も気にならない。この居心地の良さに、「いやぁ、本当にいい買い物をしましたなぁ」と噛み締めるように言うリーダーとGOTO。
テントの設営も見届けたし、ロープワークを教えたら帰る予定だった私たちにリーダーは「夜ごはんも一緒に食べて行けばいいよ!今日はご馳走よ!」と言って、今日作るメニューを発表し始めた。

「私はねぇ、タイの焼き鳥とパエリアつくるよ」とGOTO。国際結婚でタイから嫁いで来た兄嫁を身内に持つGOTOは、義姉から教わったタイ料理を得意としている。今日はタイの焼き鳥「ガイ・サテ」という料理を作るらしい。パエリアはもちろん、レトルトカレーを使った闇キャンプ名物"GOTOパエリア"だ。時折イルカが見えるこの景色にタイ料理やパエリアなんてリゾート感この上ない。
「私はダッチオーブンを使ったまるごと野菜のローストと牛たんの塩釜焼きよ!この日のために牛たんブロックで買ったんやけん!」とリーダー。言い終わった後、何を思い出したのか暫く目を空に泳がせて「ああぁ!!」と叫んだ。
「どうした!?」突然の叫び声に驚いた私たちにリーダーが「塩釜焼き作るのに・・・私、塩持ってくるの忘れたぁ!」と言うとガサゴソと荷物を漁り始めた。塩を探しているようだ。「ない!」
「ない!やっぱりない!えー!!どうしよう・・・」と肩を落とすリーダー。塩釜焼きにはそこそこ大量の塩が必要なのだ。
「ここ、(伯方の塩で有名な)伯方島だから隣の道の駅で伯方の塩売ってますよ?」
とかつて仕事で取材に来た時の記憶を辿って告げる私の声に、「マジか!?良かったぁー!」と元気を取り戻したリーダー。善は急げとロープワークを教える前に早速買いに行く事になった。

数分後、ドルフィンファームに隣接する「道の駅伯方S・Cパーク マリンオアシスはかた」の売店の一角・四国内のイベント情報のポスターを張り出していてる掲示板の前、あるポスターを見ながら我々闇チームは塩を片手に闇の作戦会議を開いていた。

そのイベントとは、このキャンプをしている10月中は屋島山頂で、翌月の11月からは小豆島で開催されることになっていた「さぬき夢気球フェスタ」である。
以前から闇チームで一緒に行こうと私が誘っていたイベントだ。偶然にも立ち寄った道の駅でそのポスターが貼っていたので、猛プッシュをかけた結果、みんなで行く事が決まり「鉄は熱いうちに打て」とばかりに、その場で小豆島に行く日程を決めているのだ。
こうして全員のスケジュールをすり合わせた結果、11月14日・15日に行く事が決まった小豆島に思いを馳せながら、テントへと戻った我々はロープワーク講習会を開いた。
「チェーンノット」は、とても簡単だ。メイクアップアーティストとして活躍するGOTOは、とても器用にひょいひょい編んでいく。綺麗にできたロープワークを見て、「これは、簡単♡」とご満悦のGOTO。器用なリーダーも1度やっている所を見ただけでマスターしている。お陰でロープワーク講習会も滞りなく終了した。

講習会を終えてリーダーが、スペシャルゲストを連れてこちらへ向かっているディレクターと連絡を取り始めた頃、ポロポロと雨粒が落ち始めて慌ててテントに避難した。周りのテントでもみんなが慌ててテントの中に入っている。あっという間に雨足が強くなり、本降りになった。
「もう、小豆島行きが決まったら途端に雨降らすんやけーん(笑)」とアメフラシの私たち夫婦にワクワクするなと言うGOTOとリーダー。
空を見上げたら、晴れ間も見えていた。通り雨だったので、ほんの数分後には雨は止んでいた。急な雨でもテントの中とは思えないほどの安心感を感じていた我々は外に出て、テントの生地の撥水ぶりに「本当に優秀!」と口々に褒めながら、夕食の準備に取り掛かった。ディレクターとスペシャルゲストは間もなく到着するくらいの位置にいるらしい。

調理用にと薪を割ったり火を起こしたり・・・「釜爺」の仕事をするたっちゃん。その傍らでそれぞれの料理の下ごしらえをするリーダーとGOTO。リーダーはまるごと野菜のローストの仕込みから始めていた。

その後、みんなで買いに行った塩に卵白を交ぜて作った塩釜のもとでダッチオーブンに入れた牛たんブロックをコーティング。余った塩でハート型を作って塩釜をかわいくデコレーションした後でじっくりと火にかける。

GOTOは、スパイスに漬け込んだ鶏肉を串に刺していた。後ろでは「釜爺」担当のたっちゃんが焚き火台に薪をくべたり、焼けた炭をダッチオーブンの蓋に乗せてせっせと火加減係の仕事をこなしている。
背後では日が傾き始めていた。

タイの焼き鳥「ガイ・サテ」の仕込みが終わり後は焼くだけになったGOTOが、闇キャンプ名物・GOTOパエリアを炊き始めた頃には日没を迎えていた。海に沈む夕日が美しく、みんな暫し手を休めて夕日を眺めていた。たっちゃんはパエリア越しに夕日を撮って遊んでいる。
その時、1匹のイルカが勢いよく泳ぐスピードそのままに夕日を背に海面高くジャンプをした。まるでクリスチャン・ラッセンの絵のような美しい光景だった。日没前、一層強く光るオレンジの陽にシルエットになるイルカと、その周りでキラキラと光る水滴。すっげぇエモいっ!その光景にあちこちのテントから歓声が上がる。中には拍手をしている人もいる。
「日本じゃないみたい」と思わず口にするほど美しい光景。比較的割高な料金であってもここが人気の理由が良く分かった。
決して飼育係のスタッフさんの指示で飛んだわけではない。ここのイルカたちは分かっているのだ。こういうタイミングで飛ぶと、いかにエモいかということを。自分たちがどう動けば人々が喜び・惹き付けられ、この場所にリピーターとして戻ってくるかを理解しているのだ。恐るべしイルカたち。我々ヒトはイルカの鼻先で転がされているのかもしれない・・・そう思う私の脳裏に、♪ゴッホより普通にラッセンが好っきー♪のリズムがリフレインしていた。

つかの間のショータイムを経て持ち場に戻ると、下ごしらえが終わっていい感じになっているGOTOパエリアの上には、塩釜を作るのに余った卵黄がトッピングされていた。そして、ここでGOTOは大好きなチーズを取り出してパエリアの上にこれでもかとふりかけ始めた。

GOTOが狂ったようにパエリアにカロリーを積み上げていたその時、ディレクターが本日のスペシャルゲスト・リーダーの娘くれなちゃんを連れてキャンプ場に到着した。
少し休憩したら、彼女もデザートを作るらしい。その間に、GOTOとガイ・サテを焼いて周囲のテントにエスニックの香りをお見舞いしたり、実家から届いた栗で焼き栗を作った。日が沈んで暗くなり始めていた。

料理が出来あがるまであと少しというタイミングで、くれなちゃんがデザートを作り始めた。彼女は何やら聞いたことがない歌を口ずさみながら楽しそうにプチシューとホイップクリームを使ってクロッカンブッシュを作り始めた。積み上がったプチシューにアーモンドチョコを可愛く散りばめてデコレーションしていく。手つきは覚束無いけど、すごく可愛いクロッカンブッシュになっていく。若くて可愛い子がお菓子を作ってるってだけで美味しそうじゃないか。くそぅ、なんかちょっと悔しいぞ(笑)
この時口ずさんできた謎の歌に彼女はハマっているらしく、この後もずっと聞こえてきていた。

後日談だが、この時に彼女が口ずさんでいた「PORSCHEでKISS」という歌が我々の頭にこびりついたせいで、闇チームは移動中にポルシェを見かけると、すぐに闇のLINEに「ポルシェでキス!」と呟いて他のメンバーにポルシェの接近を伝えるという謎のルールが生まれた。後日、小豆島に行く道中でも度々このルールが炸裂することとなる。

こうして出来上がった料理たちとデザートをテントのリビングに運んで、楽しい夕食が始まった。料理はどれも美味しく、次々と我々のに胃袋の中に納まっていく。
設営の時に居なかったディレクターに、超々ジュラルミンのポールをGOTOがいとも簡単に曲げてしまったことを報告しては爆笑する。

食事の後は焚き火を眺めながらコーヒーを飲んだりのんびりと過ごした。話題は「キャンプ虎の巻」を書き始めた途端に迷走台風チャンホンが発生したことだった。「小豆島に行く時にはワクワクするようなことせんとってよー」と笑いながら言われつつ、我々夫婦はキャンプ場を後にした。
「楽しみにしないなんて無理やなぁ」と思いつつ、帰りの車の中で小豆島についてリサーチを始めた私。リサーチをしながらも、明日の撤収が上手くできるか、少し心配で、顔を上げ星空をみあげた。
その頃、キャンプ場ではリーダーやGOTO、ディレクター達がお酒を片手に時折キューキューとおしゃべりをするイルカを眺めてのんびりと過ごしている。台風が過ぎ星が綺麗に見えるようになっていた。

ドルフィンファームしまなみのキャンプ場利用者は、イルカたちのいるプールで間近にイルカを見ることが出来る。営業時間外の夜や早朝のイルカ達の様子を見たりできるのだ。翌朝早朝に目を覚ましたリーダーとGOTOは、イルカプールを覗き込んで、交互に遊びに来るイルカ達とおしゃべりをして過ごしていた。愛媛のおしゃべり妖怪・宮崎ユウは、ヒトだけでなくイルカともおしゃべりができるのだ。
起きてきたディレクターとリーダーに無理矢理起こされたくれなちゃんと共にみんな揃って朝食をとった後、いよいよ撤収に入る。

リーダーが1人で空気抜きが出来ないインフレーターマットの上では、何とか空気を抜いて収納袋に入るサイズに折たたもうと、ディレクターが乗っかって髪を振り乱して小刻みにジャンプをするなど、強情なインフレーターマット相手に汗だくで格闘をしていた。

一方、GOTOは曲がってしまった超々ジュラルミンのポールを横たえて、反対側からギュウギュウと力いっぱい押さえつけ、真っ直ぐにしようと試みていた。その姿はまるで、要救護者に心臓マッサージをする救急隊のようであった。
それぞれに負けられない戦いがある。それを笑いながらカメラに収めていくリーダー。

こうして、無事にテントを撤収する事ができたGOTOは、私のLINEに意気揚揚と「無事撤収完了!」と報告をして来たのは11時を回った頃だった。そして、リーダーの車で帰る道すがら、次の小豆島キャンプに向けてどうやって荷物を減らすかをLINEで話し合ってた。来月は小豆島でキャンプなのだ。

こうして、いよいよ闇チームが運命のあの島に上陸することとなる!
がその前に、これまで闇チームのメンバーのキャンプにツッコミを入れつつこのマガジンを書いてきた私・まなみ夫婦の大失敗だらけの初キャンプのことについても触れねばなるまい。
次回、番外編としてヒロシちゃんねるに憧れて挑んだ我々夫婦の失敗だらけの爆笑初キャンプについてご紹介しよう!

See You our first CAMP 4years ago!

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