1/fって何すか。2017.7月号

<#40 永遠について語るとき、私の語ること>

自分の手の指を広げて、顔の前に伸ばします。「指は何本ある?」と訊くとほとんどの人は「5本」と答えます。しかし、目線を手の向こう側に移して、ぼんやりと手を眺めていると、指は「6本」に見えてきます。

これは、映画「パッチアダムス」のワンシーンです。ロビンウィリアムズ演じるアダムスが、精神科の病院に入院していて、同じ病室の老人に試されるシーンです。私は子供の頃にこの映画を観たときはあまりピンとこなかったのですが、この歳になってようやく分かってきたような気がします。老人が言いたかったことが。「目に見えるものが全てではない」ということ、そして、「目には見えないものを、見つけなきゃいけない」ということ。

それらのほとんどは、何かを経験することで新しく得るようなものではなくて、ずっと前からすぐ近くにあって、何かを失った時にふと気づくものなのだと思います。
例えば、身体の丈夫な人が風邪をひいたとたんに、健康に気を遣うようになる…みたいな。

世の中は、目には見えない素晴らしいものであふれています。でも、同時に目に見える素晴らしいものがどんどん増えているので、目に見えない素晴らしいものはどんどん隠れていきます。なので、それを見つけることは、どんどん難しくなっています。

「目には見えない素晴らしいもの」がきらびやかな景色に埋もれて、そのまま世の中から無くなってしまわないように、私は「永遠」を歌おうと思います。それが一体何なのかを答えるのはとても難しいことです。なにせ、目に見えませんから。

しかし、それは必ず存在していて、それがとても素晴らしいものであり、それがあるからこそ、人は命を繋いでいけるのだと私は信じています。これが、「永遠について語るとき、私の語ること」です。

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