1/fって何すか。2015.11月号

<#21 魂っていう字には鬼がいるんだぜ>

「魂」って一体何なのか?という話です。
怪しい宗教の勧誘ではありませんが、そう思われても仕方のないテーマですね。

 私たちは自分の記憶を操作できません。忘れたくても忘れられないし、どうでも良いことをずっと覚えている。こうやって私の頭の中であるゆるエピソードの仕分けをしている「お役人」こそが「魂」だと考えてみました。ただの仮定です。

 「お役人」は毎日、目の中から入ってきた世界、耳から入ってきた音を「これはもう何度もみたから要らない」「これは滅多に無いな、とっておこう」と仕分けます。必要なものは引き出しに入れ、そうでないものはゴミ箱へ入れます。褒められもせず、給料もボーナスも出ない仕事を、私が生きてきた年数ずっと行なっています。

「お役人」は私が眠っている間に時々目を覚まして、とっておきの引き出しを開けます。すると私は夢を見ます。今までも夢のなかで、たくさんの人に会いました。死んだ祖母にも会いました。いじめっこにも。映画の主人公にも。

「お役人」が何の為にこんなことをしているのかは分かりません。私が何度も同じミスをし、何度も同じように人を傷つけたことを省みれば、「お役人」は本当に働いてるのか!という気持ちにもなります。

 それでは、「魂が腐った」ということは?それは「お役人が死んだ」という事になります。「お役人」が死ぬと、頭の中の引き出しの鍵がバカになります。頭の中に入ってきた世界が、入るべき引き出しの中に入らない。元々アッチの引き出しに入っていたものが、コッチに入る。そうすると、私のなかの世界は崩れていきます。グラグラと地面が揺れて、立っていられなくなる。私がいままで築き上げた壁が崩れ、窓が割れる。そこにかつての私の世界はない。それが「魂が腐った」後の世界です。

という一連の話は、最初に言ったとおりただの仮定です。証明のしようがない以上、これはただの物語です。

 先日の夜、ホテルで見た夢がどうも変だったので、この事を書くことにしました。夢のなかにでてきた彼は、「私」の顔をしていましたが、おそらくあれは「お役人」でした。

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