1/fって何すか。2014.06月号

<#5 東京–鹿児島 片道18時間の考察>

 日本の夜の高速道路はトラックだらけです。そして僕らもそれに混じって各地にライブに伺うのです。この事は当たり前すぎて書くに足りない事かもしれません。しかし、僕はこの光景を助手席の窓から見たときに、どうしても改めて伝えたい衝動に駆られました。今日はいつもの歌詞解説ではありませんが、どうかお付き合いください。


 まず結論から言いますと、僕がハッとさせられたのは、「モノを運んでいるのがヒトである事」です。インターネットの普及により情報が光の速さで世界中に届くこの時代に、こんなにもたくさんの人がハンドルを握って、時速80km かそこらで、特に変わりもしない夜の景色の中を走り、人から人へモノを届けているのです。この作業はそのモノが、そのヒトに届くべき理由を、届かなくてはならない理由や価値を十分に説明しているように僕は思います。

 次に、その景色の中に僕らミュージシャンが混じっていることが至極自然なことだということです。僕らもまた届けたいモノがあって、ただその目的を果たす為にハンドルを握るのです。
  お分かりのように、それは音楽です。

 来たる6月25 日に僕たちの1st フルアルバム「Tesla doesn't know how to cry.」がリリースされます。今回の作品は既存曲をリアレンジし再録した楽曲、メジャーデビューが決まった後に書いた新曲の全 10 曲です。既存曲は書いた当時から比べると、格段に成長した今のテスラだからこそ改めて表現できたトラックとなっていますし、新曲はテスラらしさを兼ね備えつつ、また一つ扉を開けることができたと思っています。
 僕らの歴史とこれからの未来への意志が CD という一つの形なって、全国の CD ショップに並び、あなたの手に届きます。

 僕らが楽曲を作り、形にし、それがあなたの手に届く。この国で未だCD の文化が淘汰されない理由は、この行程の有機性にあると思います。

自信作が出来ました。
代表作が出来ました。
それを言うにはまだ僕らの歴史は浅いですが。そのくらいの気持ちです。

6月25日、スピーカー越しに貴方と出会える事を楽しみにしております。

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