1/fって何すか。2020.12月号

このeggmanのコラム、もしかしたら今年からのwebでの公開で読まれてる方も、フリーペーパーの時から読んでる方もいらっしゃると思いますが、私自身としてはもう6年目の連載になっておりまして(打ち切りにならない奇跡と編集者に感謝)、例年12月号は毎年その年に出会った文化芸術を紹介してますので、今年も。

まず映画。「鬼滅の刃」と言いたいところですが、恥ずかしながら全くこちらはノーマークで、やはり「パラサイト」からのポンジュノ作品でした。個人的には「殺人の追憶」と「母なる証明」か好きでした。自粛期間はマーティンスコセッシ作品を片っ端から観て、さらに菅原文太さんの「トラック野郎」シリーズも観てました。映画館では、「三島由紀夫VS東大全共闘」を見に行きました。内容はわたしには難易度高めでした。

小説は、カミュの「ペスト」です。ペスト感染症のアウトブレイクの話です。自粛期間中に読んだ本で、本屋に行けなかったので、Kindleで読んだのですが、自粛期間が明けて結局本屋で本も買いました。こんな状況だと、フィクションもフィクションに感じない不思議な感覚を経験しました。読書は、読む本も大事ですが、読むタイミングも同じくらい大事です。作品のなかでは人間模様も多様で、同じ状況でも幸福な人も不幸な人も色々いるよなあと、感じました。

美術館や博物館には行けませんでした。今年は行きたいなあ。

あとは、インターネットで落語を聞いてました。古今亭志ん朝さんの噺はとても耳が幸せになります。自粛期間が明けて、新宿の末廣亭という寄席小屋に一度ひとりで行ったのですか、換気のために窓が全部空いてて、噺家さんの声がなんとも聴きづらく切ない思いをしました。それでも、あの雰囲気は何にも変えがたいものなので、ライブハウス同様に寄席小屋も潰れないで欲しいです。私のお勧めの一席は“井戸の茶碗”です。

世相の変わった今日でも、芸術や文化に触れる機会が全くのゼロにならずにすむのはインターネットの恩恵も大きいですが、やはりライブハウスで聴く音楽、寄席で聴く落語、映画館で観る映画、美術館で観る絵画から受け取るものは、そこでしか手に入れられません。分かってはいたことですが、改めてそんなことも感じた一年でした。

文化芸術に触れる非日常は心を豊かにして、まわりまわって日常を充実させてます。2021年もそんな一年になりますよう。来年も宜しくお願いいたします。

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