1/fって何すか。2017.5月号

<#38 懐古しちゃったりなんかして>

ベースの吉牟田の一年ぶりのバンド復帰と共に、彼のコラム1/fのなんちゃらもまた再開したようです。改めてこの一年間待っていてくださった皆さまありがとうございました。特に待っていなかった皆様も、またこの4人を何卒宜しくお願い致します。

10代の頃、吉牟田と私は2人でよく映画を撮って遊んでいました。映画といっても大したストーリーはなく、お互いでビデオカメラを向け合ったり、編集の真似事をするだけで、人に観せれるようなものには至らなかったのですが、そこで撮った映像に当てるBGMやサウンドトラックを作ろうとしたのが、このバンドの始まりでした。なので初めは暗いインストの曲ばかりでしたが、それが急にロックバンドと化したのは「パルモア」という曲ができた夜でした。「パルモアって何すか。」「知らない。でもヤバい所だと思う。」私は言いました。

それからライブを重ね、「アンダーソン」という曲ができました。当時ドラムの實吉は福岡に住んでいて、お互い福岡と鹿児島を行き来する日々。その日は3人で車を走らせ福岡に行き、4人でスタジオに入り「アンダーソン」は生まれました。(帰りの車の中で私は24歳の誕生日を迎えました。)「アンダーソンって誰すか。」「知らない。でもヤバい奴だと思う。」

このバンドの名前が決まったのも吉牟田の家で、お互い彼の家にあった小説や辞書をパラパラとめくって面白い単語を言い合って決めようとしていたのですが、結局決まらず、「テスラは泣かない」はそんな夜に私が帰り際にポッと口から出た名前でした。その名前は本当に降ってきたかのようでした。あるいは誰かが憑依して言わされたのかもしれません。彼はすぐに「それが良い。」と言いました。それはどの小説にも辞書にも載ってない、その夜に生まれた名前でした。そして後にピアノの飯野が加入して名前に「。」が加わり、「テスラは泣かない。」となりました。「ところでテスラって誰すか。」「知らない、でもヤバい奴だと思う。」私は言いました。

そんな私たちは、今もまだ見えないビデオカメラを手にストーリーを追いかけているのかもしれません。ドラマは何度も危機を乗り越え続編を重ね、長編の域に達しつつあります。私たちはまだ物語の途中。誰も知らないヤバい物語の。

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