1/fって何すか。2016.12月号
<#33 2016年セレクション>
2016年も残りわずかとなりました。
「今年もアッと言う間だった」…とは決して言えない一年になりました。
バンドを始めた年、あるいは初めて東京に出てきた年と同じくらい長かったかもしれない。
とにかく今年は、いや今年もたくさんの人に支えられてここまで来れました、ありがとうございました。
このコラムは何度か書き直しているのですが、どうも年末らしくならない…そこで今月は、今年出会った映画や本について書くことにします。
まず、映画「私を離さないで」。
同名のドラマが日本でも放送されましたが、私が観たのは映画の方です。原作はカズオイシグロの小説で、特殊な設定だけど、これは実世界にもかなり通じるんじゃないかと思います。ただ、観た後に結構暗い気持ちになりました。
邦画は「家族はつらいよ」が今年公開されましたね。寅さんファンとしてはとても嬉しかったです。しかし、「男はつらいよ」を観たことがない人でも楽しめると思います。来年は続編があるそうですので是非。
今年読んだ本で面白かったのは、太宰治「津軽」です。
今まで旅行記だと思って読まずにいたのですが、鹿児島から東京に出てきてしばらく経った今だからこそ読んで正解だったと思います。いつか自分も故郷の町をこういう風に歩きたいと思いました。
あと、好きな台詞に「現実は人を信じさせることはできない、信じるところに現実がある」という一節があったんですが、これは今年の世相を予言しているかのような言葉だと思いました。テレビもネットも情報で溢れていますが、それでも世界は思わぬ方向に転がっていきます。結局いつの時代も、自分が信じるものは自分で決めるしかないのでしょう。
今年の個人的な流行語大賞は「いやあ、グルーヴ高まってきましたねー」です。10名以上のサポートベーシストの方とスタジオに入らせて頂いたわけですが、何度も演奏を合わせる度に自然と歩調が合ってくる感覚は初めて知ったものかもしれません。改めて本当に感謝しています。年が明け、次の季節には吉牟田が帰ってきます。そしたらまた新たに“ナイスグルーヴ”を作っていこうと思います。
というわけで、2016年も大変お世話になりました、来年もどうぞよろしくお願い致します。
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