1/fって何すか。2020.04月号

 <#71 マスクについて語る時、私の語ること>

 花粉症の時期を除いて、こんなにも沢山の人がマスクをしている風景は、まるで映画や小説の中の1シーンみたいです。”現実は小説より奇なり”と言いますが、確かにマスクが高額転売されるなんて事は、どの小説家も思いつかなかったことかもしれません。
 さて、マスクというものが、「病気を人にうつされない」、「病気を人にうつさない」為のものだとしたら、世の中にはもっと他の種類のマスクもあるのではないかと私は思います。それは、言葉や行為に対してのマスクです。「人に傷つけられない」「人を傷つけない」ためのマスクです。

ここでは、“心につけるマスク”とでも呼びましょうか。

 世の中には、良い言葉も悪い言葉も、良い行為も悪い行為も溢れかえっています。良い言葉や、良い行為はいくら浴びたって構いません。誰だって好かれたいし、認められたいのです。さらに、“夢は口に出した方が叶う”というように、ポジティブな言葉には物事を好転させる力があります。一方で、悪い言葉や行為は、こちらが意図しない時に突然やってきますし、さらに悪循環を生みかねません。「やられたらやり返す。倍返しだっ!!」なんていう流行語もあるくらいです。

私もこの間、酔っ払いのおじさんと肩がぶつかって、大変面倒な場面に巻き込まれたことがあります。そんな時には、心のマスクをつけることが重要になります。つまり、その言葉や行為を、あまり心の深い場所まで届かせないことです。

ドンマイ、ドンマイと。
 
 冒頭に述べました通り、マスクは、人にうつされない為のものであると同時に、人にうつさない為のものでもあります。”人のふり見て我がふり直せ”というように、私も、酔っ払いのおじさんになり得る可能性が十分にあります。何気ない言葉や行為が他人を傷つける可能性がある。その為に心のマスクで、その言葉や行為の持つトゲが人の肌に触れることを防ぐのです。

 最後に、病気に対する免役力が人それぞれなのと同じように、世の中には同じ言葉でも傷つきやすい人と、そうでない人がいます。健康管理によって免疫力を上げられるように、日々のちょっとした習慣で、心の強さも身につけられます(これについては、また次の機会に)。

そして、マスク不足の中でマスクは高齢者や免疫の低下した人に優先されるべきだという考えと同じように、心のマスクも、お互いでシェアしていかないといけないのかもしれません。

心の風邪がパンデミックを起こす前に。

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