1/fって何すか。2017.4月号

<#37 まだ売れる前のはっとりくんの話>

「国境はなかった」という曲をリリースしてから早2年が経ちました。当時その曲がリリースされた2015年の3月はテレビで連日イスラム国のテロのニュースが流れていて、まわりからは「またタイムリーな時にこんな曲をだしたね」と言われましたが、曲を書き始めたのは出るよりももっと前ですので、世相とこんなにリンクするとは思っていませんでした、偶然だったのです。そして二年が経ち、未だにテロのニュースはつづきますが、今度は本当に国境に壁をつくるという話がでてきました。もちろんこんなことも、二年前は全く予想していなかった。

私はここで政治的な発言は控えようと思っています。一応ミュージシャンなので、それを発信するにはメロディと詩が必要ですし、まだまだコラムやスピーチで発信するにはそれ相当の鍛錬が必要になりそうです。

このあいだライブの打ち上げで自分よりも幾つも年下のバンドのボーカルの子(この度同じ事務所に仲間入りしました)が、「自分は人見知りで、嫌いな人もいたけど、ちゃんと話したら好きなところも絶対にでてくる、先入観はよくないですね。」と言っていて、彼は国境のなくし方を知っているんだなあと感心してしまいました。

人も、バンドも、レーベルも、独自の文化思想、法律をもった一つの国です。この一年間テスラは泣かない。という国からBa吉牟田が離脱し、13人のサポートベーシストをお迎えしました。そこでは、ベースを弾いてもらうだけでなく、その人の、その人のバンドの文化思想に触れました。そしてそれは知らず知らずのうちに私たちのバンドにも浸透していきました。

私たちが、ふりだしから再スタートするのではなく、階段を一つの上がったところから再始動するためには、まずこの新しく知った文化思想を吉牟田と共有することなんじゃないかなあと思っています。更に、そこにまた吉牟田の独自の(いや、かなり独特で奇天烈な)文化思想が混じって、これからテスラは泣かない。は面白くなっていくんじゃないかなとおもっています。

国境を越える方法はコミュニケーションです。せっかく人間に生まれてきたのだから。面と向かって話さなくても、それがライブだってよい。私たちはミュージシャンとして、国境のない世界を探していきたい。

シン・テスラ国はいつでも皆様を暖かくお迎え致します。また会える日を楽しみにしています。

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