1/fって何すか。2019.12月号

 <#69 2019年コレクション >

 2019年が終わろうとしています。あっという間に一年が終わると感じるのは、ここまで夢中で駆け抜けたせいか、あるいは同じ道を行ったり来たりしていたせいか、そんな事は分かりません。ただ一年が徐々に短く感じるようになっていることは事実であり、焦燥感を覚えずにはいられません。来年の抱負を掲げるのであれば、「ああ今年は一年長かったなあ」と思える一年にしたい。アインシュタインの相対性理論の真のメッセージはここに尽きるのではないかと思ったりします。

 さて、12月のコラムは毎年その一年間に出会った小説や映画などを紹介しています。もう四度目ですね。紹介といっても、私は評論家ではないからレコメンドするつもりはありません。(但し音楽を除く)。もとを辿れば、短く感じた一年の間にも色んなことがあったと私自身を肯定したい節がありますので、悪しからず。

 まず、小説。町田康さんの短編「100万円もらった男」と、ポールオースターの「ガラスの街」「幽霊たち」、カートヴォネガット「猫のゆりかご」「モンキーハウスへようこそ」、上田岳弘さんの「ニムロッド」、太宰治「グッドバイ」。エッセイでは芸人の吉田敬さんの「黒いマヨネーズ」が面白かったです。(グッドバイは未完のまま絶筆した作品なので今まで手をつけていなかったのですが、読んでみると“未完”というものさえ一つのオチのような気がしました。加えて、三島由紀夫のエッセイ「小説家の休暇」での太宰批評もグッドでした。)

 つぎに、映画。「ウィーアーリトルゾンビーズ」「ライ麦畑の反逆児」「SMOKE」「JORKER」などなど。「仁義なきシリーズ」を越える新しいVシネには出会えず。

 さらに音楽。これはテスラは泣かない。の「CHOOSE A」一択でお願いします。

 最後にその他の芸能、芸術。上野のゴッホ展や、浅草演芸ホールで寄席を見たりと、感性を刺激する場所へ足を運びました。どれも素晴らしかったです。あと、冒頭に触れたアインシュタインにも今年はどっぷりハマっておりました。理解できたかはさておき。

 というわけで、ページの都合上今年はこれにて終わりです。一年間、色んな芸術に触れアウトプットの幅も広がり、来年に期待できそう。なかなか良い一年だったなあ。うん、大成功。お付き合い頂き、ありがとうございました。私は絶筆なんて真似は決して致しませんので、来年も何卒、宜しくどうぞ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?