1/fって何すか。2014.04月号

<#3「やればできる」への考察>

 少し前の話になりますが、ソチオリンピックでは日本中を感動させるシーンがいくつもありましたね。いや、あったことでしょう。しかし、実は僕ら、ほとんどその映像は見れてません…東京に長期滞在中は都内某所の一軒家にシェアハウスしているのですが(その名も『テスラハウス』)、その家には地デジアンテナが立っておらず、テレビを見ることができなかったのです。しかしテレビを見られない状態でさえ、その情報は、言葉は、自然と入ってくるもの。やはり国民的行事、他人事ではないのです。

 僕が一番心に残っているオリンピックは、1998年開催の長野冬季五輪。国内での開催だったこともあり、日本中がオリンピック一色でした。スピードスケートの清水選手、スキージャンプの船木選手の男泣きに小学生だった僕は胸を打たれたのを覚えています。そして誰もが言っていました。『自分を信じて、やればできる。』と。

 清水さん、船木さん。僕はいま自分の何を信じればいいのでしょうか。才能?勘?経験?。どれも『やればできる』の十分条件になるとは到底思えません。いつかきっと自信をもてる日がくるだろうとぼんやり思いながら、その「いつか」を何度も通り越してしまっているような気がします。もしそこであなたが『「思えない」んじゃない「思う」んだ』というならそうしましょう。しかしそれは『自分を信じる』とはちょっと違う。

それはつまり、『自分を騙せ』ということでしょうか。

 自己暗示、セルフマインドコントロール、なんでもいい。僕はまだまだ心が弱いから自分を信じるなんて苦手中の苦手。そして自信は無いのに、承認欲求だけ人一倍強いややこしい性格。そんな自分を一歩進ませるにはどうやらこの方法しかないようです。

 これはただの一つの方法論の提示です。僕は金メダルも持ってないし、表彰台からの景色も知らないので説得力には欠けますが。自分が、貴方が今後立つであろう舞台で上手にジャンプできず、転んだ時にもまた立ち上がれるようにこの曲を書きました。

Lie to myself  囁いて目を閉じれば
Lie to myself  答えはもう握りしめているんだ
騙されちゃえよ ほら
(2014.4.23リリース 「Lie to myself」より)

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