1/fって何すか。2016.6月号
<#27 ドッジボールについての考察>
ドッジボールのドッジ(dodge)の意味は「避ける(よける)」であって、「当てる」とか「ぶつける」とかの意味ではありません。あれは、飛んできたボールをいかにして避けるかを競うスポーツです。全国の小学生が、昼休みになった途端に教室を飛び出してボールを投げ合うのも(今はどうか知らないけど)、彼らが将来大人になって、社会というグラウンドで四方八方から飛んでくる試練を華麗に避けるスペックを身につけるためだと言っても過言ではありません。
しかし世の中には「ドッジボールがイジメを助長しているんじゃないか」という人もいます。
どうなんでしょうか。
ドッジボールの根本のルールは①内野にいる選手はボールを当てられると外野に移動する。②外野の選手は、敵の内野の選手にボールを当てないと内野にはも戻れない。という2点です。しかし、これはつまり、「外野からボールを当てたら、次は内野に戻ってボールを当てられる」という事、小学生から言わせれば、「外野からボールを当てたら、次はお前が狙われる番だぜ」というシンプルなルール。
イジメや、メディアやSNS上の批評、酷評、バッシングと決定的に違うのは、それらが①ボールを当てられても外野にはいけない。②外野はボールを当てても外野に居座ることができる。ということです。(かなり極端な比喩ですが。)
ドッジボールが助長しているというのはやはり、短絡的かもしれません。そこにはルールの解釈が必要なのです。
かくいう私は昼休みに図書室で受験勉強に勤しんでいたため、ほとんどドッジボールを経験していません。避けるスペックを身につけていないため、中学に入って地獄のドッジボールを受けることになるのです。
そう、ドッジボールは「当てる」スポーツではない、「避ける」スポーツなのです。
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