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「英語って読めなくね?」なあなたに(解説動画つき)

英語と日本語

英語が苦手という日本人は多いものです。

それもそのはず。英語と日本語は、言語として違うところがめちゃくちゃ多いんです。

単語の順番一つとっても、こんなにも違うわけですから、それは習得に苦労するはずです。

また、現在の学校教育や塾での英語学習の順番を、母国語の習得の順番と比べてみましょう。

母国語の習得の順番はこうです。

①Listening
(赤ちゃんの時は、周りの人間が話している言葉をじっと聞いていましたね)
②Speaking
(聞いた言葉を真似し、喃語を話し始めます)
③Reading
(目に入る平仮名を一語一語読み始め、簡単な絵本に興味を持ち始めます)
④Writing
(小学校一年生で鉛筆を持ち、平仮名の書き方を習い始めます)

それに対して、「英語が苦手」という方々の主な学習順序はというと…

①Writing
(中学校に入り、単語テストの多さに辟易します)
②Reading
(とりあえず教科書を音読させられまくります)
③Speaking
(習った文法を使い、予定調和的な会話を冷めた気持ちのまま強いられます)
④Listening
(とりあえず毎回テスト形式で問題を解かされますが、聴き方については教えられません)

多くの場合が、言語習得の自然な流れとは逆です。

今でこそ、だいぶ改善されてきた英語の教育方法ですが、こういった英語教育を受けてきた生徒(大人)は多いのではないでしょうか。

もちろん、第一言語(母国語)と第二言語(外国語)の習得の順序が全く同じであるとは言いません。

第二言語は第一言語という土台の上に学習されることがほとんどだからです。

それでも、言語習得という観点から、英語の学習方法を見直してみることは、ある程度有意義なのではないかと私は考えています。

そこで今日は、「単語が覚えられない」というとある生徒さんのお悩みをピックアップし、「日本語の語彙の習得」になぞらえながら、「英単語を覚えるのに必要な知識」について書いていこうと思います!

phonicsの有用性

小学一年生の国語の授業を思い出してください。まず、何を勉強しましたか?

そうです。「ひらがな」です。

思い出していただきたいのは、「ひらがなの書き方」だけでなく、同時に「読み方」まで勉強したということです。

英語でも同じように、「アルファベットの書き方と読み方」を勉強します。

ところが、一つ一つの「アルファベット」の「読み方」を思い出せる方は、意外と少ない。

その状態で英単語を覚えるのには無理があります。

一つ一つの音が分からないのに、アルファベットが連なった単語の「読み方」が分かるわけがないからです。

「単語を覚えられない」という多くの生徒に共通しているのが、「アルファベットの一つ一つの読み方が分からない」という特徴です。

アルファベットの「一つ一つの読み方」のことを、phonicsと呼びます。

アルファベットには、「名前」と「読み方」の2種類の音があります。

平仮名は「あ」の文字は「あ」であり、読むときも「あ」ですよね。

しかし英語では、例えば a という文字には「エイ」という名前がついており、読む時は「ア」と読みます。

この「ア」という読み方のことをphonicsと言います。

私たち日本人に馴染み深いのは、「名前」の方です。

ところが、英語を読むときに必要なのは、「読み方」の方なのです。

例えば、中学生に「あいうえお」表を渡して、「1分間でどれだけ読めるかやってごらん」と言えば、きっとほとんどの生徒が全て読めるはずです。

ところが、文字数で言えば半分程度のアルファベットなのにも関わらず、読めない中学生が多い。


そんな生徒は、一体今までどうやって英単語の読み方を覚え、綴りを覚えてきたのでしょうか。

膨大なワーキングメモリを必要とする、なんとも非効率な脳の使い方をしてきたに違いありません。

slow learnerである生徒たちが、英語学習に嫌気が差し、諦めてしまうのにも納得です。

 教わったはずのphonicsだが

単語の習得に向けて、まず教えるべきは、phonicsです。

これに反対をされる英語教師は、そうはいないのではないかと思います。また、実際に授業の中で確実に教えているはずです。
(教えてますよね?)


ところが、目の前の中学生たちは全く覚えていないのです!
(がーん!ですよね)

これは、日本の多くの中学生が陥っている状況ではないかと、密かに懸念しています。

しかし、中学生(もしくは現時点で英語が苦手な大人たち)が覚えていないのも無理はないんですね。

使い方まで学ばない上に、使えない例から学ぶからです。

そのためか、英語教員でも、phonicsの有用性を疑う方がいらっしゃいます。

先日、Twitterで英語の教員の方が

「phonicsは本当に必要なのか。自分が英語を学習してきたときは、綴りの練習からなんとなく音のルールを学び、覚えてきた」

というようなことを呟いておられました。

英語の教員の方で(私もですが)こういう学習過程を経てきた方は多いはずです。

だから、同じように生徒も学んでいくはずだと考えている。

しかし、現実に、目の前にその帰納法的な学習では音のルールを見つけられず、いつまでたっても英語が読めない生徒がいます。

そういった生徒を少しでも多く救うために、phonicsは有用ではないかと考えています。

では、なぜphonicsが有用ではないと考える英語教師がいるのか。

まさに上の問いに対する答えが、生徒がphonicsを忘れていく理由に直結しているのです。

まず、phonicsが有用ではないと考える英語教師の思考にアプローチしていこうと思います。

phonicsの指導が、単一文字だけ

英語教師がphonicsの指導をする場合に、アルファベット一つ一つの音、もしくはthやwhなどの代表的な連続文字の指導で終結している場合があります。

そして、教師自身そのパターンに当てはまらない単語がいかに多いことか、ということも知っています。

上の指導でphonics指導が完結しているのだとすれば、phonics指導はほとんど役に立たず、「え、これ教えた意味あるの?」と教師自身が感じるはずです。

しかし、本来のphonicsの指導はこの段階では終わらないのです。

英語教師の多くが経験則的(帰納法的)に分かっている「なんとなくこう読むはず」の「なんとなく」を一般化(言語化)し、音の繋げ方(linking)まで指導することで、初めてphonicsの指導が効果をあげます。

 「そんなの知っとるわ!そこまで知っていて効果がないと思っとるんじゃい!」という方は、これ以上この記事を読み進めてもあまり意味がありませんので、そっとページを閉じて下さい笑(お役に立てず申し訳ありません)

aは「ア」から、thは「ス、ズ」まで指導してphonicsは終わっています、という方は、この後の記事が参考になる可能性があります。

次に生徒がphonicsを忘れていく過程を説明します。

Use it or Lose it

単純な話ですが、脳は使わない知識を「必要のない知識」として捉えます。

脳のメモリーには限りがありますから、こうした「必要のない記憶」は忘れるようになっています。

(私たちの脳はなんて賢いのでしょう!)


つまり、生徒がphonicsを忘れるのは、phonicsを「使えない(使わない)知識」だと感じているからに他なりません。


その理由は2つあります。

①使い方を学ばないから
②使えない例から学ぶから

順番に説明していきます。

 1. 使い方を学ばない

phonicsの使い方とはまさに、音の繋がり方のことです。

例えばdogという単語がなぜ「ドッグ」になるのか。

多くの生徒は、「dはドゥッ、oはオ、gはグッ、だからドッグと読むのです」で事足ります。

しかし、slow learnerの生徒は、これでは不十分です。

どこまで教えてあげるべきなのか。

上の説明のあとに一緒に音を繋げていきます。

「じゃあ音を繋げていこうね。dはドゥッ、doでドゥオ、dogでドゥオグ、ドゥオッグ、ドッグと読みます」

このとき、一文字ずつ増やして音を繋げていくことが大切です。

dとoとgのそれぞれの音から、全体の音へと繋がる過程を、丁寧に、何度も指導していくことで、phonicsが単語の音を構成する要素であることを体感的に学習させます。

それが、phonicsが「使える」知識であるという認識を生み出し、phonicsを忘れてしまう事態を防ぎます。

 

2. 使えない例を学ぶから

ここまでの指導内容は大体、アルファベット指導のために教材を買えばアルファベット練習の後ろの方のページに付随しています。

そこまで指導したのにも関わらず、忘れる生徒がたくさんいます。

それは、phonics指導が終わり教科書に入ったところで出てくる単語に原因があります。

さて、教科書の最初の方のページで、英語教師は生徒にどんな単語を学ばせるのでしょうか。

特別な工夫をしなければ、数字や曜日、月などではないでしょうか。

そしてそれらは、見事にphonicsのルール外の単語たちなのです。

昔からあるような単語は、phonicsのルールに沿わないことが多いです。

そもそも、phonicsを完璧に学んでいたとしても、読めるのは全ての英語の80%と言われています。

phonicsのルールを学んだあとすぐに、ルール外の20%を一生懸命勉強させられる生徒の気持ちを想像してみましょう。

「oneって、この前やったphonicsだと、オネなのに、なんでこれでワンなんだ…?」
「Wednesdayって、どう読んだってウェドゥネスデイじゃん…phonicsってなんだったん…」

日本語で言えば、1年生が「五」という感じを「ご」という読み方で勉強したあとに、「五月雨(さみだれ)」「五月蝿い(うるさい)」などを一生懸命覚えさせられるようなものです。

それだけではありません。

phonicsと合わせて指導しなければいけないのが、上で言及したthやwhなどの2つ以上のアルファベットで決まった音を構成するdigraph(ダイグラフ)と呼ばれるものです。

そしてこのdigraphは、phonics以上に種類があります。全てを一度に教える必要はありませんが、代表的なものと、母音が2つ重なった場合のルールについては、必ず触れておかなければいけません。

でなければ、speakが「スペアク」ではなく、「スピーク」と読む理由が説明できないからです。

何度も言いますが、phonicsが役に立たないと生徒が感じた時点で、その知識価値は脳内でランクダウンし、忘れてよいカテゴリーに分類され、記憶の彼方へと追いやられてしまいます。


英語講師は、phonicsが有用であることを生徒に教え示すことが絶対に必要です。

そしてそのために、phonicsやdigraphなども含めて正しい音声指導の流れを知っておくことが大切です。

もし英語が苦手で、英語がほとんど読めず、単語がどうにも覚えられない、という方は、このphonicsから勉強し直すと上手くいくケースがあります。


※追記

YouTubeで動画解説を作成しました。合わせてご覧になられると、より分かりやすいかもしれません。


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