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スタイルオブ東京の変遷NO12

〜建築業界のピラミット構造〜

特に新築のプロデュースを始めた訳でもなかったのだけど、土地を買って新築のプロデュースが続いた。I社をやめて時間ができたので、IT業界の勉強もしながら、新築が建つまで工務店の仕事ぶりの観察も兼ねて携わってみた。
どの工務店も今ある業界の風土に疑問を持たない。
現場にいき大工と話をするとみな良い人。しかし現場監督がバカだという。まぁそういう悪口をいう風土だからね( ✌︎’ω’)✌︎
“今時、現場監督なんていらないよ!”と40歳くらいの大工が言う。
現場監督がいると逆に工程が遅れたり、材料が入ってこないこともある。

どの工務店にも言える課題で、大体すべて仕事が後手だから、事件が起こってから火消しにいく。小火のうちに消さないから、大事になる。現場監督は火消しが仕事だと思っている。

だから緊急で出動して、帰ってきて溜まった見積書や請求・雑務業務でいつも忙しい。
そんなことをやっているから、材料を発注し忘れる。工程が遅れてしまったのに、下請け業者に工程変更の連絡を忘れる。あわてて電話をして謝るが、下請けは他の現場に入らなければならないので、工程がまた全体的に遅れる。
大工はいい迷惑だ。大工は日給で働いている。坪単価請負だって、間があいてしまうと次の現場に入れない。だから監督はバカだというのだ。
“じゃあ大工さんが現場監督やったらいいじゃない。”って言ったら。
やれるよ!お金くれたらね。監督さんの給料分といった。
できないとおもう。大工は見積書も施工図も書けない。戦前のように大工が建築家であり現場監督であればいいのにね。

でもいまは昔のように決まった形の家はない。ありとあらゆる工法や構造、デザイン、生産性をあげるためにプレカットやプレハブになり、大工には生きにくい時代となった。
“でもウチのお客さんいい人でしょ。大工さんって感謝されていい仕事じゃない”って言ったら、“そんないいお客さんって珍しいよ!”って大工は言った。
大工には夢がない。大工といっても宮大工くらいにならないと、ただの組み立て工になってしまう・・。
40代の大工さんたちは、“俺たちの年齢以下は大工になりたくないよ!俺の息子にも継がせたくないよ。儲からないし!”
プレカットの建て方(木造戸建ての上棟)専門でやっている大工には20代も多い。“1日に2現場まわって、1日4万円くらいもらえるからね・・。みんなそっちに行っちゃうよ!”って言った。
それもこれも全部会社や現場監督が悪い。
現場監督のレベルの低下。悪の風土。いつも後手だから。下請けがみんな疲弊している。そして改善することなく、謝ればいいと思っている。結局そうやって騙し騙しやっているから、下請けに強くも言えない。下請けも文句をいうけど、仕事をする。
どこを向いて仕事をしているんだ!
監督は下請けの方を向いて仕事をする。だから顧客に背を向ける。
建設業界の風土にならい、その常識を顧客に押し付ける。顧客が怒れば、謝る。謝ればいいと思っている。いつも後手で先手を打とうと思わない。
建築業界で当たり前のことのように思っていること、建築業界の常識は顧客にとっては非常識のことが多い。だから顧客には先手を打って説明をしなければ顧客からは不信感しか生まれない。
顧客は見積書をみてもわからない。見積書を細かくしても、契約時にはすべて自分の希望が入っているものだと思っている。
途中で見積書に入っていない、顧客も気がつかないコストがかかる場合でも工務店は無神経に請求書だけ出す。
顧客は後手で説明を受けたら「なぜそれを先に教えてもらえなかった」と思う。
しかしここは飲み込まなくてはならない、証拠があるから・。
でも腹立たしい。こっちは素人だ!と思っている。そういうのが何度も続くと、小さい傷や小さいことにクレームを言い出す。そうすると細かい客だ!というレッテルを貼る。それが積もると揉める。
そこには誰にも幸せがない。
私は建築で工務店が一番守るべきことは
“お客様を絶対に怒らせない”ことだと思う。
私は自分が携わったプロジェクトでは絶対にお客さんを怒らせない。どんなことがあっても。毎日毎日そのお客さんのことを考える、朝も夜も友達よりも深く深く考える。なにか嫌なこと不安なことはないか?と。
すこしでも不審な点や不安な点があったら全部説明する。そもそも工務店の人間的レベルが低いことも話す。職人・技術者なんてそんなものです!と。
私はお客さんの方を向くから工務店に背を向ける。だから工務店に厳しい。
しかし一度でもお客さんを怒らせてしまったら終わりなのだ。
そこから粗探しを始める。そうなったら工務店にとって時間とコストの無駄だ。
工務店は無駄なコストを削減し、利益をきちんと残さなければならない。新築は10年も保証しなければならないのだから。存続する義務があるのだ。
なにより一番大事なことは、お客さんは楽しく暮らすために家を買うということ。
怒ってしまい、不審感をもってしまったら、楽しく暮らせますか。
家は住み始めてからが楽しい暮らし。友達や親戚が遊びにきて、いい家だね〜と褒めてくれたときに、そうなのこの工務店がね!って楽しく話せるか、イヤァでも工務店がさ〜って愚痴をいわないといけないないのか・。
だから絶対に怒らせてはいけないのだ!
そうすれば、いい大工さんに作ってもらった!の一言をちゃんと大工さんに届けられる。
そうすれば、釘一つ打つときにも愛情がこもる。そうすればうっかりミスもなくなり、クレームも起こらない。
何度工務店に言っても、そうは言っても・・。そうだとは思うけど・・。と工務店は思う。
その理由は元請、その上、営業、不動産業者にある。
不動産営業や設計事務所、建築会社の営業マンの質の問題。お客さんにいいこと言って契約するのが仕事。お客さんの都合を鵜呑みにしてそのまま現場に下ろしてくる。
どんなに頑張ってもピラミット構造の頂点、顧客との設定のあるところが一番権力がある。
だからピラミット構造の一番下の職人に全てしわ寄せがくるのだ。
もういい加減な営業をする時代ではない。世の中沢山の情報がある、今消費者はそのたくさんの情報をどう判断すれば良いのかがわからない。建築の本も不動産の本もある、ネットでも多くの記事がある。こんな不動産を買ってはいけない、こんな工務店で家を建てろ!どの記事や本を読んでも一方通行。勝手に発信しているだけ。
顧客との接点がある人、営業マンは顧客に必要な情報を絞りこみ、わかりやすく伝えて上げる必要がある。顧客は知識と経験不足なだけ。
不安なことや楽しいと感じることも人それぞれ。その顧客の楽しい暮らしとはなにかを可視化して、具現化、実現化できれば、顧客は理不尽なことを言わない。現場も振り回されることもない。
不動産・建築・ファイナンスの知識を持ち、顧客の気持ちに寄り添えるプロの代理人が必要だ!
そんなことができる顧客の代理人エージェントを養成することが、建築業界を変えていくことなのではないかと思ったのです。
そう、ここでやっと不動産エージェント養成に戻ってきたよ笑
そして最終回へとつづく笑

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