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FY2021振り返り

2021年の10月に医療法人社団の経営を体外的にも引き継ぎ(実際にはその数年前から経営には携わっていましたが)、正式に理事長としてスタート切り、ちょうど1年が終わったので区切りとして書いておこうかと思います。

今期の正確な決算はまだ未確定ですが、現時点での暫定の数字だけを見ると昨対比で売上は102.8%、利益は199%増の着地となりそうです。

利益が大きく伸びているのは役員報酬の大幅な変更があったので想定の範囲内です。その部分を加味しても、今期は売上増、利益増が達成出来ました。正確な数字が出たらまた書こうと思います。

今期売上増のために実際に取ったアクションとしては、

眼科クリニックでの施策

一番大きいのはオペ件数の増加を行いました。
現在は週2回のオペ日を設定しているのですが、一日当たりの件数を決めて、必ずその人数をこなせる様にスタッフに協力してもらい、急なキャンセルなどが出た場合でも、繰り上げて常に一定の件数がこなせる様にしたことで、売上のムラを無くしました。
と、同時に予め年間の手術スケジュールを昨年のうちに決めておくことで、年間のオペ売上の予測が立ちやすい様にもしました。

さらに、近年人気が出てきている「多焦点レンズ」という遠近両用のレンズを白内障手術の際に患者さんに選択してもらえるようにしたことで、これも売上に貢献しました。ただし多焦点レンズについてはほぼ原価なので利益には寄与していないのですが、患者さんの術後満足度が向上したという点で有益だったかと思います。

その他にクリニックで行った施策としては、かねてから会計時に患者さんをお待たせする、ということが以前から発生していたのですが、電カルの導入により(タイミング的にはかなり遅い感は否めないですが・・・)診察終了〜会計までの待ち時間を大幅に短縮できました。
その分、診察室での作業が増えたため、医師負担が大きくなっていますがここは慣れの部分でもあるので、時間と共にブラッシュアップされると思います。

その他、患者さんが来院・受付をしてから検査・診察・会計まで、1分でも早くクリニックから出られるようにトライ&エラーを繰り返しながら、細かな点の改善を日々行っています。

内科クリニックでの施策

元々うちの法人にある内科クリニックは、「ザ・地域医療」という様な、本当に地元にいらっしゃる方々の生活習慣病を中心に診療を行うクリニックでした。開院も週4日のみですので、かなりゆったりとしたクリニックです。

ですので収支としてはかなり厳しいクリニックではあったのですが、ここで何か他に出来ることはないかと昨年の夏頃から考え、ヒアリングを通じて需要のありそうなビタミン注射や、プラセンタ注射を行えるようにしました(ちなみに福利厚生として法人のスタッフは特別価格でこれらの注射を受けられます)。様々な外的要因にも背中を押され、これにより患者さんの数も増え、今ではだいぶ賑やかなクリニックに変わりました。最近では高濃度ビタミン点滴なども始める予定です。

老健施設での施策

法人の屋台骨で、規模も大きな100床の老健では、スタッフのモチベーションも高いことから「強化型老健」への移行を行い、挑戦をしています。
幸い現時点ではその基準を大きく超えて安定しており、「超強化型」も目指せる状態ではあります。
ただしスタッフが多い分、出入りも非常に多い事業所でもあるので、ある程度安定が見込めるようになったら次のステップを目指す、という方針で焦らずにじっくり足場を固めていきたいと思っています。

常々思うことですが、医療介護はサービス業ですので、サービス提供者であるスタッフのレベルが命です。いいスタッフに長く働いてもらえるような、そして無理なく働いてもらえるような環境づくりが、我々経営陣の重要な役割ですので、そこをしっかりと築いた上でさらにレベルの高いサービスを提供できるようにしていくつもりです。

その他にはデイサービスの安定した売上を築くことを目標にスタッフと定例MTG を行い、数値管理の方法を教えたり、新規事業として老健での訪問リハビリサービスを開始したりしていますが、まだまだ軌道に乗るにはこれからの様です。


売上に対してネガティブだったこととしては、訪問看護ステーションで人員が足りず、やむを得ず新規の利用者さんをお断りしたりせざるを得なかったことがありました。これはオミクロン前後の新型コロナウィルス感染症が小学校や保育園、幼稚園を襲い、小さなお子さんを持つお母さん看護師が出勤できず自宅待機となり、残されたスタッフでいつもの2倍以上の業務をこなさなくてはならない状況になってしまったことが要因でした。

このタイミングで人員を補充できずに残されたスタッフに大きな負担をかけてしまい、耐えられなくなったスタッフが数名辞職を申し出ました。
これは今でも本当に悔しく、申し訳なく、この一年で一番辛い出来事でした。

しかし後悔ばかりしていても先には進めないので、この失敗を繰り返すことのない様に、今まで一定の人に依存していた採用業務を、外部のコンサルタントにも協力してもらいながら採用をシステム化して機能的に行えるような体制づくりを開始しました。
これも少しづつ結果が出てくると思います。

来期に向けて

最後に、来期に向けてはこの採用システムを本格稼働させると共に、辞めない組織づくりを目指そうと思います。数字的には今期で足場が固まったので、次は更なる成長のための投資フェーズへ入っていく段階だと思います。

繰り返しになりますが、医療・介護サービスは「人」的資本に依存します。
サービス提供者が人である以上、よりより人材の獲得がサービスレベルの向上に直結します。より良い人材を獲得し、さらにその人材に長く働いてもらえるような環境づくり、人事評価制度、福利厚生、など、医療法人としての魅力を最大化し、さらにそれを発信していく必要があります。

こんな田舎でも出来るんだ、ということを証明し、地域の皆さんが安心して生活できるようなインフラになることが我々のミッションです。


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