私が「学歴の暴力」にハマった理由

あらかじめ伝えておきますが、私は偏差値40程度の大学卒です。
勉強は出来ず、伝える能力に乏しいですが読める方は読んでください。


タイトルにある「学歴の暴力」。
ほんの数日前にYouTubeで見つけたアイドルグループなのですが、全員が旧帝大出身者で構成されております。

初のオリジナルソングはグループ名と同じ「学歴の暴力」。
その歌詞は額面通りに読めば、「旧帝大出身の私たちからすると日東駒専早慶程度に受かってよくそんな笑顔できるな」です。
他にも「テストでそんな点数取ることある?」とか「因数分解も微分も小学生で出来る」などかなり尖ってます。

これだけ挙げると、歌い手の二人がめちゃくちゃ高圧的で、性格もねじ曲がって見えます。

しかし、二つ目の曲でそのイメージが覆されます。タイトルは「今まで真面目に生きてきたけど」。
一生懸命勉強して、努力して、旧帝大のような難関大学に合格した彼女らに待っていたのは理不尽な社会でした。
「ヒールを踏み鳴らし、雑踏をかき分けて、ミスは許されない」という歌詞の部分で分かるように、「旧帝大出身なんでしょ?これできるよね?」っていう過度なプレッシャーを感じている事が伺えます。
また、「期待裏切れない」や「過去も今も行き違い、心偽り」とこんなはずじゃなかったのに!という心の叫びが聞こえてきます。

わかりますか?
必死に努力した先に待っていたのは、どこにでもいる一般人からの「理不尽な暴力」でした。
褒められるなんて事は無く、与えられるのはプレッシャー。
学生時代に自分が想像していた未来とは違うと叫んでいます。
そんな中で精いっぱい強がっている「フーリエ変換も出来ない癖に邪魔するな」という言葉はとても刺さりました。


その後の「シロップ」、「形なき暴力」、「Because you are you」も高学歴だからこその彼女たちの悩みが詰まっています。


ここで本題。
なぜ私が彼女たちに惹かれたのか?
当然、「旧帝大出身の彼女たちが苦悩している様を見て喜んでいる」訳ではありません。
彼女たちの苦悩に共感したからです。

過去にこんなことがありました。
就職した後、私の教育係だった先輩がこんな事を言い始めました。
「アイツ、東大出身のくせに入社当時、オシロスコープも使えなかったんだよ」
当時の私は社会に出て一年未満。その話を切り出したのは数年前に入社した先輩です。その先輩の学歴は今でも知りませんが、私はその言葉を聞いて「へぇ」としか思いませんでした。

いや、だって私も使えませんし。
なんだったら大学時代にアレだけ実習で使い倒して、卒業してまだ一年も経ってないのに忘れてましたから。その時も先輩にオシロスコープの使い方を学んでた。

ここで重要なのは「東大出身」て、オシロスコープを使う上でなんか意味あるのかな?という素朴な疑問です。

実際のところ、「オシロスコープを使える」のと「東大出身であること」に因果関係などありません。
どこの大学を出ていようと。どんな学部を出ていようと。私みたいに使ったことあるのに使い方を忘れるアホがいる時点でその二つが繋がるはずがありません。
だって使い方を覚えていないのなら、どこの大学を出ていようが同じですから。

じゃあ、なんでその先輩はわざわざ「東大出身」という言葉を使ったのか。
理由は単純。
相手が努力して積み上げて手に入れた武器をへし折りたかっただけです。

だって、「東大出身のくせに○○が出来ない」とか言わないと勝てる要素が無いと考えているから。

わかりますか?

自分の通った大学を自分で貶めて、旧帝大出身の相手を首が痛くなるほど見上げて、その相手を引き摺り降ろすことしかその方はできなかったんです。
だって、そうでもしないと「勝てない」と思っているから。


相手は旧帝大出身。
めちゃくちゃ勉強してて、めちゃくちゃ頭が良い。
自分なんかそこそこの大学に入って、適当に遊んで卒業。
比較なんてする必要もないくらい相手の方が上だ。
でも、そんなマウント取りなんてさせたくない。
俺はお前よりも優れている所があるんだ。
そうだよ。俺はお前なんかよりも頭は悪いけど、「コミュニケーション能力あるぜ?」
俺はお前みたいに努力できないけど、「工作機器の使い方はお前より上だぜ?」
俺はお前みたいに「ウジウジしてないし」、お前みたいに「頭が良いって自慢したりしない」。お前みたいに「学歴を鼻にかけることもない」
そうだよ。俺はお前と比べて劣っていない!!!


さて、仮に先輩がこんな風に考えていたとするならばどうでしょう?
なんで「東大出身」の彼がこんな扱いを受けているのかわかりますか?
私には分かりません。

だって、「劣等感」を勝手に抱いているのは先輩で、「東大出身」の彼は何も悪くない。
「東大卒」というのは単なる事実であって、「何でもできる」免罪符ではありません。そんなこと、わざわざ考える必要もないのにわざわざ「攻撃手段」として機能させるためだけに「東大出身のくせに」と暴力を振るっているのです。

いやぁ、当時も今もまるで理解できない。
「東大生のバイトが使えなくて」
「東大生に家庭教師頼んだのに全然ダメ」
「東大生なのに」
「東大生なのに」

東大生でもない私でも「はぁ?」ってなります。

二度目になりますが、そういう人たちは勝手に相手を自分の上に立たせて、引き擦り下ろそうとしているだけです。
勝手に自分で「劣等感」を抱いて、勝手に「適当な理由を作って」、意味もなく「相手の足を引っ張って」います。
だって、自分と同じランク以下の大学出身の人が仮に同じミスをしたって許せるでしょう?


じゃあ、どこでハードルが異なっているのか。
そう「学歴」です。

つい最近、東大生ならせめて「学歴を生かして欲しい」という言葉を貰いました。その方も自分で勝手に劣等感を抱いていました。
だって、「東大生ならせめて」って何よ?
その方は「学歴を生かしている」のでしょう。知りませんが。

ここで「劣等感を抱いていない人間は東大卒相手にどう反応するんだよ?」って疑問に思った方。だいぶ重症ですよ。
その時点で無意味な劣等感に苛まれています。


「俺、東大卒なんだ」
「へぇ、凄いね!」(完)


私の場合、これで終了です。
何が出来ようが、何が出来なかろうが以降の彼の評価に対し、「東大卒」が絡むことはありません。

凄いですよね。たったこれだけのことが出来ないんです。だって、劣等感を抱いて相手を自分の位置まで引き擦り下ろさないと会話すら出来ないと思っているから(三回目)。

ってな具合に、多くの人は「学歴」というフィルターをかけて他人を見ているそうです。
ハハッ!全く理解できない。

ここまで踏まえた上で、話を戻しましょう。

タイトルにある「学歴の暴力」。
ほんの数日前にYouTubeで見つけたアイドルグループなのですが、全員が旧帝大出身者で構成されております。

初のオリジナルソングはグループ名と同じ「学歴の暴力」。
その歌詞にはこうあります。
「君の頭の中身はみかんなのかな。知りたいな。何でかな」
「独り善がりの回答。歯切れの悪い文章。知りたいな。何でかな」
これらは「自分が出来ることが周りの人はできない。その理由が知りたい」ってだけです。

この文章に対して上から目線と感じた貴方は「相手の事を知ろうとした」だけの人間に対して失礼でしょう。
「自分は出来るけど相手は出来ない」って日常に溢れてると思いますけど?
「何で出来ないの?」って感じたことは無かったんですかね?

ラストの方で「学歴の暴力くらえ」と言ってますが、これはどちらからどちらへの暴力?
本当に「東大卒」から「その他大勢」への暴力なんでしょうか?
単純に相手の事をもっと知りたいと叫んでただけなのに。
単純にどうして?って疑問を持っただけなのに。
彼女たちは「学歴の暴力」で殴られたのです。

ただし、ここで「彼女たちが被害者」と捉えたのは単純に私の視点の一つです。
曲の中ではどちらが加害者・被害者とは明らかにされていません。

その後の曲も似ています。
「今まで真面目に生きてきたけど」、意味の分からんマウントに踊らされ、過度な期待を受ける日々。
「シロップ」では恋愛がうまく行かないのはなぜ?と首を傾げています。
「形なき暴力」の歌詞は秀逸です。「努力の結晶」と自分で自分を認めつつ、「悲しき努力のモンスター」なんて言い方で自分を貶めている。
「Because you are you」では学歴や偏差値で自分たちを測らないでと訴えています。

さて、ここまで読んでくださった方は共感して頂けるでしょうか?
彼女たちの苦悩に。
「学歴の暴力」というグループ名にどんな意味を感じました?
それは誰が誰に対して行った暴力なんでしょうね。

そういう風にいろんな視点で捉えられる歌詞であり、自分たちの思いを形にした歌詞であり、同じ苦しみを抱える人たちに寄り添う歌詞なんです(断言)。

私は彼女たちの歌に「共感した」と言ってもその心の内までは理解できていません。
なんせ私は「学歴」に興味が無いから。
「東大出身なんだ」って事実に対し、「すげぇな」って感想と「やべぇ努力できんだな」って感想しか浮かばないんです。

まぁ、「学歴を笠に着ているのが悪い」と仰る方もいるでしょう。
それの何が悪いのかも私には分かりません。
だって努力した結果、旧帝大に合格し、卒業された方々が自慢して何が悪いんですか?
金メダル取ったスポーツ選手が「金メダル取ったぜ!」って言っても何も思わないでしょうに。
今、野球の大谷さんが次々と記録を打ち出していますが、仮に未来でそれを自慢していたら彼は悪者ですか?(大谷選手勝手に名前出してスイマセン)


御自分で勝手に「学歴」に対して劣等感を抱く方々にこそ聞いてほしい。
彼女たちの叫びを。

誰かが抱いている劣等感はきっと「学歴」だけじゃないから。


以上です。ご拝読、ありがとうございました。






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