私が小説を書こうと思った話①

正確な日時は分かりません。就職してからだから、20年……いえ30年も前からかもしれません。

頭の中に、ふとした瞬間に、眠る間際や列車内、歩いている時に、ちらほらマンガとリアルな画面を足して2で割った様な画面が現れる様になりました。
こういう画面(場面)は、小説を読んでいる時にも見えますが、不思議な事に無の状態で見えていました。

最初は,「こんなマンガ昔読んだっけ?」「あまり読まない本だけど、こんな話あった?」などと、記憶の中にあるものが引き出しから出てきているのかな?と思っていました。

それにしては、断片過ぎる。年代も様々。登場人物たちも様々。一体何の話だったろう?
様々なシーンがパラパラ、バラバラにセリフ付きで見える。まるで読まされている感覚です。

繋がりが分かりません。どことどこがつながっているの?年代も人物もブツ切り状態なので、一体何の話か全く分かりません。

それがだんだん蓄積してきました。登場人物たちは,会話の中でお互いの名前を呼び合っています。酷い場合は、あだ名、愛称、ニックネーム等、こちらには分からない状態でどんどん会話を続けております。勿論、苗字やフルネームも不明です。

ブツ切り状態なシーンばかりですが、時折無声映画の様に会話が全く分からない場合もありました。「誰がミュートしたの!」的な状況です。

そんな事を数十年も続けておりますと、だんだん繋がりがおぼろげながら見えてまいります。

そして、忘れてしまう……脳が年齢に比例しているのですから当然です。だって紛う方なき五十路ですから。

そして転機は昨年の夏頃に来ました。職場で何の気なしに、小説を読んでいる時に頭の中に情景が浮かぶか否か?という話題になりました。

毎回ハッキリ浮かぶ私です。と申しましても、あまり本を読みません。マンガばかり読んで来ました。文字は4歳で読める様になったので,母の実家へ遊びに行くと、祖母が従姉妹のマンガ雑誌を読ませてくれたのです。ルビがふってありますし、絵が説明してくれますからだいたい話が分かります。我が家でマンガ雑誌やコミックスを買って貰える様になったのは、小学校高学年くらいからでしょうか。現在もそうですが、地元町内に書店は有りません。そうそう入手出来ませんでした。貧乏という理由も有りました。

話は戻ります。本を読んで映像が浮かぶ時と浮かばない時があるなんて。未知の世界の話であっても毎回ハッキリ浮かぶ私には、浮かばない時の状態が分かりません。
「そうなんだ……そういう場合も有るんだ……。」

では、何も読んでいない状態で、映像や台詞が頭の中に入って来る?来ない?

質問を数名に投げかけました。

「は?そんな事ふつう無いでしょ?そんなのは瑠菜ちゃんだけじゃない?」

えっ……ふつう無いの?私、就職してからこっち……数十年も時々ではあるけれど、脳内で見てるんだけど?……ふつう、無いの?

覚えていない話だったら、マンガを描きたいな、と思っていた小学生の頃から頭の中には何かしら浮かんでいたけど?

マンガの読みすぎなんでしょう?とも言われました。私もそうかな?あちこちの話が断片的に蘇っているだけなのかな?と、一時は落ち着きました。

そして、それが引き金となって、自分の脳内映像に疑問を抱く様になったのです。昨年の八月の事でした。

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