2022/2/20 地球外少年少女 磯光雄監督×清水洋史音響監督トークショー

出演者：磯光雄 監督、清水洋史 音響監督、岩瀬智彦 プロデューサ

磯：昨日は、JAXAの帰還報告会に参加してめちゃくちゃ緊張しました。今日はリラックスしきっていて、いろんなこと話しちゃうかもしれません。
岩：本日は、音響監督の清水さんが参加してくれています。
清：スターウォーズ、ルパン、この世界の片隅に、と仕事してきましたが、ついに、ラスボスと出会ったって感じでしたねｗ

●キャスティングについて
磯：ネットで神キャスティングと評判ありまして、嬉しい限りです。デスクの堀口くんが暗躍してくれましたｗ
磯：実はキャスティングは、オーディションで決まりきりませんでした。
心葉は、今にも死にそうな感じの声が欲しかったんですが、なかなかピタリとこなくて。厳しい業界でやってきている声優さんですから、死にそうだけど、どうしても生命感溢れすぎてしまう。そこに、和気さんの演技は、いかにも死にそうでピタリと来ました。
磯：もう1つの神キャスティングだったのが、トゥエルブの斉藤さんです！清水：トゥエルブの声を探す時は、日本のナレーターの音声を全部聞きましたね。
岩：このキャスティングをする仕事は、清水さん的にはどうでした？
清：音響監督というのは監督の頭の中を読み解くのが役割なんで、オーディションを通して磯監督の意図を読む、その準備だったんだって思ってます。磯：オーディションでは神セリフがあって、それをキャストさんにいっぱい言ってもらったけど、本編では無くなっちゃよねｗ

磯：レコーディングだと、赤崎さん呼び戻し事件がありましたねｗ
撮り終えたんだけど、どうもしっくりこなくて、エレベーターに乗りかけた赤崎さんを呼び戻して、出し切れてないので出し切って下さいって言いました。
磯：赤崎さんは、なんで？なんで？って感じで混乱させてしまいました・・・。
磯：赤崎さんは、神演技がいろいろありまして、アドリブのところで爆発的に出てきましたね。
磯：4話で閉じ込められたときの台詞は当初「うぇ」だったんですけど、「おっふ」が出てきまして、その後いろいろな「うぇ」を演じて貰ったんですが、悩んだ末に「おっふ」にしました。
磯：もう、「おっふ」の顔は、僕 自ら描いちゃいましたよ！

●効果音について
磯：効果音は大変だったですね。宇宙なので無音じゃないか、どうかってのもあったし、全カット指示して、直してもらった後に、さらにもう1周しました。
清：ダビング前に全部 音をつくって、さらにダビングの現場で作っていましたね・・・。
磯：シートベルトは、今の椅子よりハイテクな音で、シュイーカチャでお願いします、みたいなことをいっぱい頼みましたね。１話のガス切れは、すかしっぺのような音で。すかしっぺは音しないんですけどねｗ

磯：音響監督はスケジュールの皺寄せが一番最後にくるので。
清：いや～本当に長いダビングでした。
磯：清水さんを3徹させちゃって、今日は返してあげないと・・・。いや、でもリテイクを・・・。
岩： 清水さんは、音楽も担当してたので、大変そうで大変そうで。
磯：えっ？これが普通じゃないの？
清：いや、ここまでしないです！
磯：音響あるあるな話ですけど、いろいろを音を個別でいじってもらって、全部、音を混ぜた時にアレッ？ってなって・・・。
磯：でも、清水さんは灰皿なげないので・・・。
清：・・・。
岩：清水さんがよく汲み取ってくれてことも大きかったです。
清：監督の頭のなかで、出来上がってるものがあるじゃないですか。それをどう我々が理解するかですね。
磯：清水さんは声優さんに指示出しするのが、本当上手くて。僕が指示しちゃうと上手くいかないところを、上手くやってくれていましたね。
磯：ただ、清水さんがルナティックしちゃって、僕が口出しする隙もなく、何回もリテイクしちゃって。
清：撮り終わって、監督、これでどうでしょう、と
磯：いやでも、もう、ちょっとな～って。
磯　博士がフォローするシーンは、10テイクして、結局1テイク目だったり。
岩：最終回の頃は、みんなルナティックしてましたね。

●極音上映について
清：この作品は、どこで再生するのかで、本当に迷いました。PCなのかTVなのか・・・。でも、ここ、立川の劇場が理想的環境ですね。
磯：自宅は低音だと迷惑かかっちゃうので、ウーファを抜いてたんですど、やっぱ劇場できくと、低音入れておけば良かったなって。次回は、低音、頑張りたいな！！
清：ここの劇場は、全部聞こえるなって驚きました。
磯：全部聞こえてしまって、音を入れたのに、絵を入れ忘れたとこも・・・。

●質問コーナ
Q：「人類」と「人間」を異なるものとして認識するアイデアは、どういう経緯で発想されたのでしょうか？
磯：よくぞ聞いてくれました！
磯：これは、某アニメをつくっているときに見た科学雑誌で、「アリは群れで一つの生き物」っていうの目にて、えっ！？ってなりまして。
磯：それを、その時の監督に伝えたら、監督もえっ？えっ！？ってなりまして、それが保管計画にもなったのかなとｗ
磯：時を経て、やっと自分の作品でも使うことができましたね。

●最後に挨拶をお願いします。
清：制作期間中は本当に、大変だったけど、なんとか死にませんでした。
磯：電脳コイルの時も死人が出なくてよかったね言われましたがｗ
上映は残りすくないですが、命を削った音が、この劇場に溢れているので、是非、劇場しか聞こえない音を楽しんでください！