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かおるとまりものこと(4)まりものお引っ越し

4月3日。
11時に東京を出て、残雪に驚きつつ、途中休憩を取りながら、宿についたのが17時頃。
病院に電話すると夜勤の食事時で忙しかったのか、「今は眠っているので、明日また日勤の時間に掛けてください」とのこと。

17時半にシッターさんとかおるのアパートで落ち合い、部屋に入る。
毛布の下に隠れているまりもに友人が近づき、ちゅ~るを差し出すとあっさり食べた。
友人の匂いを嗅いで、次に相方(ボーイッシュで、かおるに雰囲気が近い)の匂いを嗅いで、最後にわたしのところにもやってきたけど、わたしのことは最初から「こいつ、違う」と見抜いていたみたいだった。
わたしの側も猫の扱いに慣れていないので、おそるおそるだったけれど、友人は果敢に撫でにいって、引っ掻かれたり噛まれたりしていたのに騒ぐこともなく平然とした様子。すごい。友人の気持ちがまりもにも伝わったか、またはまりも自身が「次の飼い主はこの人!」と選んだような気がする。

鍵を持っているお友達も来てくれて、鍵を預かり、まりもとお別れをしてもらう。

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一段落したら猛烈にお腹がすいて、地元の海の幸が食べられそうなお店に駆け込んだ。
運転担当が「ホテルのユニットバスは辛い」と言い出したので、30分ほど車を走らせてまだ開いている日帰り温泉へ。ついでに海岸に寄ってみたけど、真っ暗で、砕ける白い波が遠くに少し見えるだけだった。

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3日。
7時に起きて、かおるの部屋へ。
シッターさんが置いておいてくれた捕獲器にちゅ~るをセット。いったん宿に戻って朝食。

9時半頃、部屋に行くと、捕獲器のなかで鳴いているまりもの姿が!  3人がかりで、キャリーに移すことに成功。
友人はもう、まりもにつきっきり。キャリーの隙間から指を入れて撫でている。すごい。

騒ぎを聞きつけて出ていらした、アパートの隣室の方と少し話す。かおると親しくしていたそうで、状況を伝えると、涙ながらに思い出話をしてくれた。
かおるは入退院を繰り返していたので、もっと早くまりもの引き取り手を探しておけばよかったのにと内心思わないでもなかったのだが、「いざとなったら引き取ってくれる友達がいる」と話していたという。確かに、これまで入院の際にはふたりの友達がまりもの世話をしてくれていたんだけど今回は忙しくて頼めない、と言っていたので、予定していた引き取りもNGになってしまったらしい。かおる、ごめんよ。でも、ぜんぜんグチっぽいこと言わないんだもん、そんな事情だったとは気づかなかったよ。

シッターさんも来てくれて捕獲器を回収、最後に鍵をドアポストに落とした。

10時半。落ち着けそうな場所に車を停めて、病院に電話。運良く看護師長さんが出てくれて、スマホをつないでくれるというので、ビデオ通話。
かおるは前よりも具合がすごく悪くなったようには見えなくて、わたしたちとまりもを見て、何か言っていたけれど、もう言葉を聞き取ることはできなかった。
2分33秒。このときひとときを、一生忘れることはないと思う。

後部座席に友人とまりもを乗せて、帰路に。
まりもはずっと鳴いていたけど、抗議の声がだんだん甘え声になってきて、道中、ちゅ~るを何本も食べるという大物ぶり。

友人宅に到着したのは17時ぐらいだったか。
キャリーを開けるとすぐに出てきて、あたりを探索。
机の下に隠れてしまったので、夕食と必要なものの買い出しに出た。

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その夜、友人が戻ると、まりもは姿を見せ、くつろいだ様子で撫でさせてくれたとのこと。少し吐いたものの、エサを食べ、トイレも使ってくれた。すごいわ、まりも。高齢だから長距離移動で体調を崩したら大変~と心配していたけど、杞憂だったね。

続く。

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