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かおるとまりものこと(3)新潟へ

13日頃から既読がつかなくなって、17日、思い切って病院に電話。
入院先は本人のSNSのタグから特定できたものの、電話に出た病院スタッフは「入院しているかどうかも答えられない」と言う。「入院していることはわかっている、猫の引き取りを頼まれたため連絡を取る必要があるが折り返しがなくて心配している、安否だけでも知りたい」と訴えたところ、病棟にまわしてもらうことができた(病棟/入院階数を知っておくとスムーズで、次からはつないでもらいやすくなった)。
親族ではないので、口は堅かったけれど、寝ていることが多い、と教えてくれた。
「親族には随時連絡をしている」とのことだったので、こちらの連絡先を親族に伝えて向こうから連絡がもらえるようにしてほしい、本人が目を覚まして可能なら連絡してもらいたい、と依頼。

この段階では、最初に返事をくれた友人にお願いするか、それともSNSで拡散して知り合いでなくても近くの人を探すか、まだ定まっていなかった。

友人に状況報告を送ると、「もう自分が引き取る運命のような気がする」と返信があった。泣いた。

その日の夕方、かおるからビデオ通話が掛かってきた。
鼻に酸素チューブが入っていて、手が震えてスマホが操作できない状態だったけれど、それでもまだ意識はしっかりしていて、「友達がまりもを引き取ってくれるから」と伝えると、うれしそうに「ありがとう」「いつ来れる?」と会話をすることができた。
まだ「4月に入ったら」としか答えられず、「まりものことは大丈夫だから心配しないで」と言ったものの、鍵の受け渡しなど、事務的な話を詰められるような状況ではなく、その後もLINEは未読が続いた。

今思うと、友人はいつもなら職場でスマホを見られない時間帯だったのに、たまたま寝過ごして会社に向かう途中だった。そのタイミングでスマホを見て決断してくれなかったら、しっかり意識のあるかおるに「まりもの引き取り先が見つかったよ」と言ってあげられなかったし、ホッとした顔を見ることもできなかった。

友人の仕事のシフトと、車を出してくれる相方の繁忙期終了に合わせ、4月2、3日に一泊で引き取りに行くと決定(現地までは車で約300キロの距離)。
LINEは既読にならないので、鍵と入室許可について相談したい旨、あえてハガキに書いて病院宛に送る。

同時に「地名/猫/シッター」で検索をかけたら、選択肢がほぼなさそうだったので、問い合わせを送ると、すぐに折り返しがあって、かおるが頼んでいたシッターをさんとつながることができた。
シッターさんもかおると連絡が途絶えて困っていた様子で、情報を共有し、当日は鍵を開けて捕獲に協力してくれることになった。とはいえ、本来は本人か親族の許可を取るべきだし、容態も気になる。

24日。
病院に電話をして音声通話をつないでもらう。
が、もう何を言っているのかほとんどわからない。こちらから「行くからね、シッターさんに部屋に入れてもらうことになったけど、いいよね?」と告げ、何か言葉を発しているものの、意味を取ることができない。
看護師さんが電話を引き取って、意識が朦朧としていること、さっきお父さんが来たのでハガキとシッターさんの名刺を渡したら「連絡します」と言っていたと教えてくれた。

お父さんからすぐに連絡をもらえるかと思ったら、うちにもシッターさんにも音沙汰がなく、FBによくコメントを残しているかおるの友達にメッセージを送ったところ、同級生らしき方々が返事をくれて、鍵を預かっている友達とつながることができた。

27日。
ようやくお父さんから電話が来る。
3月に入ってからの入院かと思っていたのだが、2月25日にかおるの友達から連絡が入って、お父さんが駆けつけて救急車を呼んだ、という。すでに自分で電話もできないような状態だったけれど、いったん治療で持ち直したときにSNSに投稿したり、わたしに連絡をくれたりしたらしい。
この時点で「あと2、3日と言われてからもう1週間ぐらいたつ」と、シリアスな状況であることを初めてはっきりと知らされた。

続く。
※写真はかおるが撮ったまりも。


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