幹細胞治療

 膝の痛みが日に日にひどくなり、腫れも出てきたことから、専門医で診てもらった。レントゲンのみならず、MRIも。
今から20年前に故障した半月板が、やはり損傷しており、軟骨もすり減ってきていてステージ2から3だと。
ステージ4で、人工関節手術を勧められるらしいが、それはなかった。
けれど、放置すればいずれそうなるし、歳をとってから車椅子や寝たきり生活は嫌だ。
この一ヶ月は、注射と痛み止めと冷やすことを繰り返し、今後の方向性を医者と考えた。
そこで出てきたのが、最新医療。
幹細胞移植をするという案。
再生医療ともいう。
何年か前に、インストラクター研修で、機能解剖学の講義に出た時、
ノーベル賞受賞者の山中先生の話を聞いたことがあった。
これからの医療が革新的に変わる治療法を聞いて、感動した。
それを、
今回私はやることにした。
お腹の脂肪細胞を摂って培養し、膝へ注入するという。
言葉で表すとこんな表現だか、実はもっとすごい話で、実際に受けてみるまで、謎だらけだった。
不安がなかったわけではないが、主治医がこの治療の体験者だったため、体験談を含めた治療の行程を聞くことができ、それが不安を消してくれた。

当日、
一日休みをもらい、病院へ行くと、手術室と処置室の間のような設備の部屋に通された。
細胞を培養するには、血液が必要なため、献血並みの量の血液をとった。
すでにこの場面で気分はブルーに。
そして、麻酔はおへそ。中心ではなく、おへその側面。
それがまた痛くて、顔をしかめているうちに、痛みが消えていった。
おへその横を1センチほど切開し、そこに細胞を摂取する器具を入れて、取り出した。
その器具は、20センチくらいの針のようなもので、先端に細胞をつかんで取るようなものがついている。ピストルのように、パチン!とやって掻き出すみたいな…
それを30回ほど繰り返した。
1回で一粒…なのか、何度も何度もパチン!とやって取り出していた。
情けないことに、私は怖くて怖くて、震えが止まらなかった。主治医は、私を励ましながら、細胞摂取をしてくれた…

摂取が済むと、Uberのような人が待っていて、私の細胞をまるでドナーの臓器を運ぶかのように、厳重な保冷庫に入れて、ラボへ運んだ。ラボは東京。

全てがすんで、主治医の話を聞いて、さぁ帰ろうと思ったが、頭がふらついて起き上がれない。しばらく横になってから帰宅した。
全ての終了まで、2時間かかった。

とりあえず、備忘録のつもりで書いてみた…

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