この悲しみは平成に置いていく
どうしても書き残したいことがあります。
ちょっと踏み込んだことを綴っているので、受け止めてくださる方だけ読んでください。
今まで黙っていてごめんなさい。
流産をしました。
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昨年秋に、お腹に新しい命を授かっておりましたが、12月中旬に亡くなってしまいました。
12月頭から体調が不安定になり、年内ほとんどの予定をキャンセルさせていただいた上に、年末年始にかけてはたくさん楽しいお誘いをいただいていたのに顔を出せずに、そしてこの件について今まできちんとお伝えできずに、申し訳ありませんでした。
12月21日に病院にかかった時に、残念ながらと言われました。
前の週に母子手帳ももらえていて、いよいよこれからという時だったので、ショックが大きすぎて、初めは受け止めきれませんでした。
稽留流産だったので、ばたばたと手術の日にちが調整され、12月25日に決まりました。
エコーで見たあの子はもう動いてないんだとか、手術怖いなあとか、お祝いしてくれたみんなになんて言おうとか、いろんなことを考えていたら少しずつ実感が湧いてきて、病院から帰って、到生さんとたくさん泣きました。
手術までの数日の間、劇団員を集めて話をしました。一緒にぼろぼろ泣いてくれた者、私の身体のことを気遣ってくれた者。心優しい仲間がいてよかったと思いました。
当日。
待ちが長い到生さんを気にかけて、半日ずっと付き添ってくれていた濱ちゃん、あの時はありがとう。
その日の稽古も、到生さんを一日休ませて、私の側にいさせてくれて、劇団員のみんな、関係者の皆さん、本当にありがとうございました。
稽古終わりには、濱ちゃんとちょふちゃんがうちまでお見舞いに来てくれました。二人と到生さんのおかげで、悲しい気持ちを少しだけ忘れられた、楽しいクリスマスでした。
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病院の先生から言われたのは、この時期の流産は赤ちゃん自身に問題がある場合が多くて、外的要因がきっかけじゃないことがほとんどだから、あなたは自分を責めすぎないでねということでした。
それでも、どうしても、あの時ああしていたらとか、私がもっとこうだったらとか、ぐるぐる考えてしまったこともありました。でも、きちんとお薬を飲んだり、安静にしたり、やれることは全部やったので、仕方なかったのかなというか、そういう運命みたいなものだったのかなと思っています。
生まれた後に私たちに何か大きな迷惑をかけないように、自分で終わりを選んだんだとしたら、私たちの子どもはとっても優しくて、おりこうさんだなと思います。
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手術前後はなかなか寝付けなくて、いろんな方の体験談とか、それに対する励ましのコメントを読み漁っていました。そしたら、
「あなたの赤ちゃんは、ちょっと忘れ物を取りに帰っただけですよ」って書いてあるのを見つけました。
一緒にいられたのは短い間だったけど、私達にはあの子との思い出がたくさんあります。
最初、妊娠が分かってびっくりしたけど、嬉しかったこと、
順調に育ってくれて、初めて心音を聞かせてもらった時は涙が出たこと、
エコーで、ちっちゃいおててが動いてるのが分かって二人で大喜びしたこと。
帰ってしまったのは悲しいけど、忘れ物を取ったらまた私たちのところに来てくれたらいいなと思うし、そしてその時は、元気に生まれてくれて、お顔を見せてくれたらいいなとも思います。
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今回のことで、改めて気付かされました。
妊娠、出産は本当に奇跡の連続で起きる出来事だということ。新しい命は、私達が思っているよりもずっと小さくて弱いということ。
あの子は、私達にたくさんのことを教えてくれて、お空に帰っていきました。
あの子のおかげで、私達は、今まで以上にお互いを思いやることができるようになり、私は、自分自身に優しくなれました。
あの子が最後に、自分の命を全部使って、
ママはもっと自分のことを大事にしてねと
教えてくれたような気がしています。
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大好きなみんなへ
もう言わないので、一回だけ言わせてください。
守りきれなくて、
本当にごめんなさい。
あの日、みんなからもらったたくさんのおめでとうは絶対に忘れません。
わがままを言うようですが、もしまたその時が来たら、また、おめでとうと言ってもらえたら嬉しいです。
私達の周りにみんながいてくれてよかったです。
本当に、みんなありがとう。
これからも、よろしくお願いします。
一番体調に波があった時に、一番同じ時間を過ごさせてもらった皆さん。
どうか、あまり気にされすぎないでください。たくさん支えてくださって、助けてくださって、ありがとうございました。
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体調は少しずつ戻っていますが、心身ともにまだ万全ではありません。
今、劇団員として、たくさんの公演に関わっていますが、役者としての出演を見送り続けているのもこれが理由の一つです。
「どうして最近は役者やらないんですか」と尋ねられることも増えました。いつもちゃんと答えられなくて、ぼかしてごめんなさい。
初めは"2019年の夏にはママになるから"というポジティブな理由で、劇団内で役者から外れさせてもらいました。でも、裏側の事情だけが変わってしまいました。
今は、ちょっと無理矢理だけど、悲しいことを考える隙間を作らないために、がむしゃらに走っているところです。
お正月ツイキャス。幕末。ギルドフェス。いつも明日。そして青ピン稽古が始まり、先日のバイトリーダー研修。
私個人はぼろぼろだったけど、その時々の精一杯で、どれも心を込めて皆さんにお届けしました。
お楽しみいただけたでしょうか。
そして、私は笑えていたでしょうか。
私はまだ、街中でベビーカーを押してるママさんとか、仲の良いご家族連れとか、CMの赤ちゃんとか、見るだけでつらいです。
ご妊娠やご出産のお知らせをいただいたり、そういったご報告を拝見するのも今はすごくつらいです。Twitterの投稿や、インスタのストーリーズでパッと目に入ると、気持ちが沈みます。
お祝いしたい気持ちはあります。けど、私が出来なかったことを出来てあるのが羨ましくて、悔しくて、そして、そういった考え方をしてしまう自分が情けなくて、つらいです。
でもこの感情も、持って当然なんだろうなとも思います。
だってそれだけのことがあったから。
落ち着くまで、まだかかりそうです。
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私たちはこれからも、皆さんがわくわくしてくれるような作品やイベントをつくり、お届けします。それはもう本当に、お約束します。
もし私一人が止まっても、劇団は走り続けるでしょう。そして、私がもう一度走れるまでみんなで待っていてくれるでしょう。
でも私は今のところ、自分の意思で止まったり休んだりするつもりはないです。
あの子にもう一度会いたいなという気持ちはあります。会いたいけど、またあんな思いをする可能性があるかと思うと、会いたいと思うのすら怖くて、だから、今はあんまり今後のことは考えられていません。
これからどうなっていっても、
変わらず応援してもらえたら嬉しいです。
もし、これを読んでくださっている方の中に、私と同じか、近しい経験をした方がいらしたら、その方々のお気持ちが少しでも楽になったらいいなと思います。
みんな頑張ってるんです。
つらかったこと、悲しかったこと、そんなに隠さなくていいと思います。
私は、強く振る舞うことで強くなりたかったです。でも無理でした。
たくさんわがまま言って、迷惑かけてごめんなさい。たくさん助けてくれて、ありがとうございます。
隠し通すのも、打ち明けるのも、結局同じぐらい悲しいので、今日ここに書きました。
この悲しみは平成に置いていきます。
明日からはまた笑顔で過ごします。
ここまで、何か不適切な言葉づかいや、不快に思われる表現がありましたら、お詫び申し上げます。
これからも、よろしくお願いします。
2019.4.30 足立万実[大串万実]
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