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そのランク、何基準?[88/100]

クリスマスにお正月。
わたしにとって、一年の中で、もっとも美味しいものを食べる時期だ。

お正月は基本的に夫の実家に行く。
元旦は、みんなですき焼きを食べるのが毎年恒例となっている。
「A5ランクのお肉を予約したからね」。
わたしが肉より魚派なこともあり、なかなか牛肉は家で食べない。まして、国産のA5ランクのお肉なんて、家族の誰かの誕生日にリクエストでもされない限り、なかなかお目にかからない。

綺麗で鮮やかな赤色の生肉が、美しく並べられているのを見るだけで、ヨダレが出る。「これがA5ランクの肉かぁ」と、美味しさを噛み締めながら頂く。

A5ランクこそが、最高の肉だと信じて疑わなかったが、なんとこのランク、味には関係ないらしいと聞いて、驚いた。

「おいしさの要素は完全にお置き去りにした評価です。でも、お肉屋さんはそこでしか差別化できない。だから、A5の肉ばかり作るようになってしまう。今、『A5』と評価される肉の割合は7割を超えているんですよ」

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牛肉の等級の、アルファベットは「歩留」という、1頭の牛からどれだけ食肉が取れるかを示したものであった。そして、数値の部分は「肉の色沢」や「きめ細かさ」や「締まり」を”肉眼で”評価したものなのだそう。つまり、数字の等級は見た目。この見た目を良くするために、一部の生産者の方は、わざわざ牛をビタミン不足にするらしい。そうすることで、牛の体が生存本能から、栄養を蓄えようとし、それが「サシ」になるからだ。これ、いくら食べられる運命とはいえ、牛が少しかわいそうだ。

A5ランクのお肉が悪いと言いたいわけではない。やっぱりおいしいと思って、このお正月もいただくのだろう。でも、知らないって、罪だ。

だいたい、この「もっと上を」思考が怖い。
ランクを見せられると、うっかり「より上のモノを」と思い、点数を見せられると「より高得点を取るためには」と考えてしまう傾向があると思う。でも、そんなときは、「この評価軸、本当に自分が欲している評価軸だっけ?」と考えたり、調べたりする必要があると思う。

つい最近も、娘の担任は、娘に対し「上には上がいるから(もっと勉強しろ)」と言っていた。なんで、そんなに上を目指さなきゃいけないんだ?
本人は、(この分野に関しては)これでいい、他にリソースを割きたいから、と言っているにもかかわらず。

ランクや点数は、標準化して比較したいときに、使いやすい。けれど、使われちゃ、ダメだ。「自分の幸せ、自分の”良い”は、自分で決める」。

そのために、知ることって、とても大事だ。

「世の中には、自分の思い込みと真逆のデータがある」と常に思っていれば、自分に謙虚になれる。
自分の知っていることなんて、たかがしれている。

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