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学生時代を思い出し、再び、口から話す機会を作ることにした現在

LITALICOの佐々木真美です。31本目となるnoteの今回のテーマは、「いつの間にか首振りだけで人との会話を済ませていた私が、声を出していこう!」と決めたことについてです。

脳性麻痺当事者で言語障害がある私の学生時代は「おはようございます!」や「さようなら」などの挨拶を発声していました。しかし、今暮らしている施設に入所してからは、それまで気が付かなかったASDの特性が強く現れ、相手からの言われ方に敏感になり、声を出して返事を返すことが少なくなっていきました。けれども、あることがきっかけとなり、「学生時代のように口からも話をしよう!」と決意しました。

この記事では、かつてどんな状況でも言葉を発声していた頃のこと。人からの言葉に過敏になり、声を出して返事することから逃げていた少し前まで。そして、たとえ相手や自分が聞き取れなかったとしても、気にしないで話すことにした現在について書きます。

自分らしく声を出していた小.中学生の頃

これまでの記事にも書いていますが、私は4歳から17歳まで医療療育センター(以下、センター)と支援学校がつながっているところで日々を過ごしていました。

詳しくは、コチラをお読みください。

センターには、病棟が3箇所あり、幼児から中学3年生までの子どもたちが治療や訓練を受けながら日常生活を送っていました。そして、自分が過ごしていた病室には、年齢が近い友達がいたので、就寝時間が過ぎてからもお喋りを楽しんでいました。私は普段、五十音が書かれている文字盤とヘッドポインター(以下、ポインター)を使ってコミュニケーションをとっています。けれども、ベッドに横になったあとは文字盤を使えないので、声を出して返事をしていました。

また、学校では日直の号令など、授業の始まりと終わりの挨拶を口から言っていました。私の発言は、聞き取れるときと聞き取れないときがあります。けれども周囲の人は、そのことを知っていながらも自然に言葉を交わしたり、自分以外の仲間と同じく接してくれました。

高校に入学。雰囲気が変わっても、小.中と同じく声を出していた

そうして小.中を過ごした私は中学部を卒業し、別の支援学校の高等部に入学しました。しかし、家の事情があって週末などに必ず外泊が出来ないため、3月まで生徒だった学校の空き教室を借りて高校の先生に来てもらい、訪問授業を受けていました。高校の授業もそれまでと同じく、文字盤に頼らずに自分の声も使い、話をしていました。

それから、父をはじめ、担任の先生と副担任の先生のサポートがあり、 月に1回のペースで車やバスに乗ってスクールに通っていました。そのときも、同級生や先生方と口からもコミュニケーションをとっていました。

施設に入所。人との会話のときに声を出さなくなっていった

学校が変わっても口から簡単な言葉を話していた私でしたが、今暮らしている施設に入所してからは、いつの間にか首振りだけで返答をするようになってしまいました。なぜなら、自分がいる施設独特の話し方に戸惑ってしまったからです。どのように戸惑ったのかというと、私の中でのニュアンスと施設職員が話すニュアンスが違い、質問をされているのか、決めつけられているのかが分からなくなっていきました。

詳しくは、コチラをお読みください。

「一方的に言われている」と思っていたけど、自分も同じことをしてしまってることに気が付いた

相手から聞かれているのか、強く言われてるのかが曖昧だったため、声を使わないで返事をするようになって17年が経った現在、ふと思ったのです。「返事を返さないことも一方的だよな...」と。それからは、出来るだけ首振りだけではなく声を出して意思表示をしようと思い、朝方ではないのどが潤っている時間帯は、なるべく首振りに頼らないで返事をするようになりました!

相手に言葉を返すときに自分の言い方に耳を澄ましたら、私が好きな言い方だった。それで、もっと声を使って話そうと思った

再び、声を使って返事をするようになり、あるとき自分の話し方に注目をしました。すると、私が好きなおっとりとした言い方だったのです。それまでは、自らの言葉にあまり耳を傾けていなかったために分かりませんでしたが、ふんわりとした話し方に気が付いた時はビックリしましたが、嬉しくもありました!

みんなのようには話をすることが出来ないけれど、1人の人間として声を出していきたい!

同じ病室の友達や、センターにいる看護士さんと学校の先生などと、自分の口からも喋っていた頃。高校に入学して雰囲気は変わったけれども、文字盤に頼らず声を出して授業を受けていた3年間。施設独特の言い方に戸惑い、首振りだけで返事を済ませていた33歳まで。そして、「自分以外の入居者の中には発声することが難しい方もいるのに、相手からの言われ方に戸惑って声を出さないで返事をするのは失礼だよな」と思い、再び、声を出すことにした現在。

その時そのときに自分との葛藤があって間違った考えをし、今まで歳を重ねてきました。けれども、私が思う声は、1人ひとりが違うように、その人しか出せないと思います。ですので、「たとえ聞こえづらくても声を出していこう!」と決めました!


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