8月noteチャレンジ「この夏おすすめの一冊」
京都在住エッセイスト・ライターの江角悠子さん主催のオンラインサロン「京都くらしの編集室」で7月から始まった「noteチャレンジ」は、毎月テーマを決めて、メンバーがそれぞれnoteを更新するという企画です。
今月のテーマは
・この夏おすすめの一冊
・オンラインサロンと私
今回は「この夏おすすめの一冊」について書いていきます。
千年を超えて人々を魅了する『源氏物語』
「光る君へ」にちなみ、いろいろな媒体やゆかりの地で、紫式部や『源氏物語』が紹介されていますね。私もぜひ読んでいただきたい一冊をご紹介します。
小泉𠮷宏さんの『大摑(おおづかみ)源氏物語 まろ、ん?』です。
『源氏物語』といえば、54帖もの大長編大河ドラマ。あまりにも長いため、現代語訳でも読み通したことがある方は少ないのでは。
私もそう。なかなか手に取ってみようとは思えなくて…。ただ、光源氏のプレイボーイぶりしか知らなかったので、一体どんな話なのか気にはなっていました。
そんな時に見つけたのが、1帖8コマ漫画で54帖もの話を一冊にまとめた『大摑源氏物語 まろ、ん?』です。
「車争い」など有名な場面が原典に忠実に描かれているので、物語の流れを理解することができ、タイトル通り、これ1冊で本当に『源氏物語』を読んだ気になれます。
さらっと読めるので、今年の『源氏物語』ブームにまだまだ間に合うし、受験を控えている方にもおすすめ。
光源氏のプレイボーイぶり以外も知ってほしい!
表紙に描かれた栗。これが、美男子・光源氏なのです(『まろ、ん?』=マロン)。作者が製菓会社の商品開発に携わっていた時に、ボツになったキャラクターだそう。
本の中では光源氏のことを「まろ」と呼んでいるので、私も「まろ」と呼ぼうと思います。
比類なき美貌をもつ恋の狩人が栗だからか、「まろ」のプレイボーイぶりをそんなに嫌悪感を抱かずに読むことができました。それでもまぁ、なかなかでしたが。
ちなみに女性はちゃんと人として描かれていますが、男性の顔が栗、どんぐり、豆というのもツボ。
即購入したものの、「まろ」のイラストやタイトルに、ちょっとふざけているのかなと思っていました(すみません)
ですが、内容はかなりしっかりしていて、物語の背景、文化、系図、説明付きの和歌など盛りだくさん。
「まろ」の苦悩(私は恋愛の苦悩の話には最後まで寄り添えなかった…)や老いなど知らなかった物語にふれ、『源氏物語』の世界を理解することができました。プレイボーイなだけじゃなかったのね、「まろ」。少し好きになれたわ。
オールカラーなので、こだわったという平安時代の衣装の美しさも堪能できます。
難しいと思われがちな『源氏物語』の世界に簡単に入り込むことができる珠玉の一冊で、この夏、大摑みしませんか?
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