君に贈る火星の #ショートショートnote杯
火星、火星人、蛸。
となるわなあ、普通。
タダヒロは均に言った。
蛸と過去は獰猛だ。
均は言う。
暇になると二人は海岸に行って、堤防に座った。
絵にかいたような青春の一頁だ。暇で色気がない、という点では幸福すぎない種類の青春ではあった。だが、この過疎の漁村では、高校生自体が稀有の存在なのだ。
今日は俺の誕生日や。
タダヒロは均につぶやく。
つぶやいた先は目の前の海の空気に、であったのかもしれない。「つぶやき」と類別したが、その言葉にはどうしても「なんか呉れ」というニュアンスが、ジワリとにじみ出た。
まあ、そうした凭れ、甘え、こそ、青春の中での一番の華なのかもしれない。
たこ焼き、おごったるわ。
均が、言った。
連想ゲームか。
幸せなかけあいだ。タダヒロは思う。過ぎ行く青春を感じるのは、ある意味年老いる、ということの第一歩かもしれない。
「火星」。そんな一つの言葉が、こうして二人の思いが交差するきっかけと、なったのであった。(完)
お志本当に嬉しく思います。インプットに努めよきアウトプットが出来るように努力致します。