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3 丸のみした家 後編

 家の周りや周囲環境・方角などを検討した結果、簡単な図面を書いてご主人に説明しました。
「こんなんで湿気は抜けるんか? いくらぐらいかかる?」
と話しに乗ってこられたので、お見積書を書き込んで総額をお出しました。
「こんなんでいいのか」
と聞かれたので、
「この家の湿気とカビの原因は換気設備増設で解消できます。本日夕方までに工事を完成させて、その効果が出ているか明朝再度確認に参ります。
 問題なければある一定期間時間を空け、室内にこもった湿気がなくなった後に壁クロスなどの内装改修は●●社長のところにでも依頼されたら、きちんとやってくださいます。
 わたくし共は遠方で何度も来れませんので、原因解明と改善のご提案~施工までを責任をもって行います。」
とご説明すると、ご主人は驚いた顔をなさっていましたが快諾され、即時ご契約となりました。

 その場で着手金半金をネットバンキングでご入金くださったので、即工事着手。4時間ほどで完了して18時には近くの温泉宿でのんびりさせていただきました。

 翌朝10時に再訪すると、ちょうど入院なさっていた奥様が退院されタクシーで帰宅されたところで、お家の前でばったり出会いました。
 玄関前ではありますがご挨拶をさせていただき、奥様から
「昨日の夕方主人が病院にきてくれて、お話を聞きました。最初は疑心暗鬼だったみたいですが、説明も丁寧で納得できたから工事を依頼したら、即着手金払わないと仕事しないと言われた と笑ってました。 余程自信があるんだと思ったから払ったら、あれよあれよという間に工事が終わった。
 さっき「今から◆◆ホテルで温泉入って一泊します!」って、わざわざ宿泊先まで教えて帰って行ったぞ。もし今夜も寝苦しかったら連絡して呼びつけてやる!! って息巻いてましたけど、連絡ありましたか?」
と少し心配そうに聞かれましたので
「いいえ、温泉を堪能して久しぶりに骨休めさせていただきましたよ。」
とお返事しました。

 奥様とご一緒にお宅にお邪魔すると、昨日とは全く別人のようににこやかなご主人が出てこられました。
「昨夜、どうせ一人だから晩飯を外で食べて帰ったんやけど、家に入ったらいつものじめじめしていた感じがなくて、夜も寝室でよう寝られたよ!」
と、開口一番おっしゃいました。
 それは何より、とご挨拶して室内や昨日の工事個所を確認して廻り、あのごうごうごうという音も聞こえなくなっているを確認しました。

 奥様がご準備くださったお茶を頂きつつ、完成金の残り半金をネットバンキングでご入金いただいた後で、もう一度【湿気をため込まず上手に室内の換気を行う改善施工】をご説明しました。
 お二人は病気のご両親や、ちっとも寄り付かなくなった息子さんのことを色々案じておられましたが、気休めとして「よい方向にまわっていくと思いますが、こういった点を注意しておうちのメンテナンスをなさってください。」とアドバイスをしてお暇しました。

 この案件でお客様にあえてお話ししなかったことがあります。
 ごうごうごうという音、この家の闇の部分などを、次回あとがきとして書き添えます。
 申し訳ございませんが、【あとがき】は有料とさせていただきます。 

  尚、プロフィールにも記載の通りわたくし西の豆狸のお話は全て無断転載禁止です。
 怪談士なるYouTubeで怪談を語る方々が無断でここにあるお話を語るのも禁止です。
 もしそのようなことがあれば、しかるべき対応をいたします。


 マナーを守って、軽い読み物として私の友人ふくめ こちらでお暇つぶししていただければと願います。 
 


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