さくらももこ展・水沢めぐみ先生トークショーレポ

5月某日、フォロワーで友人の車掌さんより、静岡市美術館で開催予定の「さくらももこ展」にて水沢めぐみ先生のトークショーがあるとの情報が入った。水沢めぐみ先生と言えば「姫ちゃんのリボン」という素晴らしい漫画をりぼんで描かれた憧れの人である。何を隠そう、私が初めて買ったコミックスは姫ちゃんの3巻である。完全にジャケ買いであった。幼き頃の私は漫画は1巻から買うものという考えがなく、話がわからなかったので即1、2巻を買いに走るという印象深い思い出が蘇った。何なら「ちびまる子ちゃん」の単行本も5巻から買い始めていた。
それはさておき、そんな水沢めぐみ先生のトークショーなんて絶対に行きたいに決まってる。即申し込みをして結果が来るのをワクワクドキドキしながら待った。そして6月某日。「当選しました」のメール。キターーーーーーーーーーーー!!!本当に叫んだ。嬉しくて嬉しくて実母にまで知らせてしまった。会えるんだ、水沢先生に!そういえば教えてくれた車掌さんはどうだったかな?
「…外れました」ガーン!!なんか当たる気がしてたのに…。聞けば定員60名のところに520名の応募があったらしく、えらい狭き門だったということを教えてもらった。元は車掌さんに教えてもらった情報だったのに…。こういうこともあり、せめてレポはしっかり書かなければという使命感に燃えて当日を迎えた。

行ってきました!
ワクワクが止まらなくて吐きそうだった

静岡県と言えば富士山やお茶があるが、東海3県にも関東にも入れてもらえず、アニメの不毛地帯で「キテレツしかやってなかったんでしょ」などと言われ、横に長すぎて新幹線に乗る他県の乗客からは「まだ静岡から抜けられない」とため息をつかれることもあり静岡って一体…。となりそうなところ、「ちびまる子ちゃん」があると言えるのは県民としては誇らしいものだった。コミックスに出てくる「学生服のやまだ」のCMがわかるのも静岡県民だけだ。私は幼き頃、清水の隣の静岡市(まだ区分けされる前なので)に住んでいたこともあり、巴川の話が出た時はものすごく身近に感じて嬉しかったものだ。いつも通学路で通るこの巴川の近く…。濁っててちょっと臭いから早く通り抜けたいと思いながら通った思い出の川である。(私の住んでいるところ、年代はそうだった)
展は子供の頃読んだ漫画やさくらももこ先生の活動についてを振り返ることができる素晴らしい内容だった。すでにノスタルジックな気持ちがMAXハイテンションである。
そんな中迎えたトークショー!会場に入り、スタッフの方に「メモを取ってもいいですか?」と確認したら「もちろんです。ありがとうございます」となぜかこちらが礼を言われ、感謝しながら準備万端!!以下レポとなるが記憶が違っているかもしれないので私の記憶を辿ったものだということを念頭に置いて読み進めていただけたらと思う。

トークショーでは水沢先生の他に元りぼん編集部で、さくらももこ先生や水沢めぐみ先生、柊あおい先生などを担当していた後藤さんがいらっしゃっていた。喋りが軽快で楽しそうな方という印象だった。水沢先生は似顔絵のまんまの穏やかでほんわかした雰囲気の方だった。この時点で私の胸はもう感動でいっぱいである。隣の人も鳥肌立ってきた…と呟いていた。
①さくらももこ展についての感想
水沢先生は、ももこの描く青が好きで、私はももこブルーと呼んでいて、原画で見ると本当に良いなと思います、とか、ちっちゃい豆粒みたいな絵が本当に可愛くて大好きと仰っていた。後藤さんも水沢さんが可愛い可愛い言いながら見ていたので、ちっちゃいイラストを集めたミニイラスト集が欲しいから二人で自費出版したいくらいです。とのことだったので普通に司会の方に集英社の方で出してくださいとツッコまれていた。


②二人の出会いについて
集英社のパーティかなんかで会って住んでるところが近かったので家に遊びに行くということになったらしい。20代前半の女性が夜通し好きな日本酒を枡で飲んでいたと。水沢先生の方が2つ年上でデビューも先だったが特に先輩扱いではなく最初からめぐみちゃんと呼んで、人見知りなめぐタンの懐にスッと入ってきたそうだ。
また、水沢先生はよくさくら先生に原稿を手伝ってもらっていたが、唯一水沢先生がペン入れを手伝ったことがある部分を教えてくれた。まる子が自転車の練習をする回の、関口くんが持っている自転車ではなかったかとのこと。後藤さんがすかさず「この自転車だけパースが整ってて上手いですもんね」と言うと水沢先生も「ももこのタッチを真似しようと頑張ったんですけど上手く描けちゃって難しかったです」と言うので場内は笑いに包まれた。
また、後藤さんがさくらさんも水沢さんも真面目で〆切を守るので苦労しなかったが、漫画家同士は横のネットワークがあるせいで、「いつまでって言われてる?」などを教え合い、〆切のデッドラインを知ってるのが悪い繋がりでしたと言って会場を沸かせた。

③おどるポンポコリンについて
水沢先生の言葉をまとめると(意訳)
まだこの歌が世に出る前、「すごくいいのができたから見て!」と歌詞をももこが見せてくれたんです。ももこは可愛いイメージだったので可愛い感じの歌詞がくると思っていたから、見せてもらった時はギョッとして、意味わかんないしピーヒャラって何!?と思ったけど、あまりに自信あるようだったので「…す、すごいね」としか言えず、のちに大ヒットをしてレコ大を取った時は本当にすごいと思いました。
また、ちびまる子ちゃんの話を描くよりも前のこと、ももこが書いたエッセイを見せてくれたことがあってすごく面白かったので本にしなよ!と言ったことがあった。ももこはいいのができると見せたがるところがあります。


④後藤さんの実家の温泉に行った話

物販にあると言われて早々に買った

次はこの本に載ってる話をしてくれた。後藤さんは「さくらさんとの仕事以外の記憶は99%宴会」ということで、この時も「ウェーイ!!」って感じでノリノリの後藤さんの様子の写真をスライドで見せてくれた。また、仲居さんに扮しためぐタンが可愛すぎた。
後からくる水沢先生のために、河原に咲いてる花を「めぐみちゃんっぽいのはどれかな」とさくら先生が摘んでプレゼントしてくれたのだけど、この時水沢先生は「何年かぶりに会ったけどももこは何も変わってなくて可愛くて涙が出そうになった」と仰っていた。
この二人は本当に仲が良くてお互いに大好きだったんだなというのが窺えて、こちらもジーンときてしまった。


④水沢先生のお宝
特別に持ってきてくれたお宝を見せてくれた。
スケッチブックに描かれた、まる子と「耳をすませば」の雫の絵だった。柊あおい先生も含めた3人でスケブ交換をした時の絵とのこと。これには後藤さんも驚いていて、新人の頃はスケッチブック描いたりするけど…と言うとめぐタンが「でも昔はみんなでよくやってましたよ」と言っていた。やっぱり絵描ける人達ってスケブやるんだなー!と妙に納得というか親しみを感じた瞬間だった。1枚に描かれた二つの絵と、ローマ字で書かれた「みずさわめぐみ」の字がさくらももこの字!って感じでホントに可愛かった。
もう一つのお宝が「ちびまる子ちゃん」第1巻を開いたところに「めぐタンへ」と書かれた字とまる子の絵。こっちも初期まる子の絵で可愛かったなあ。持ってきてくださった水沢先生、ありがとう…。

⑤前日に清水に行ったおはなし
お二人が寄ったのは、こくぞうさん(淡島神社)、紙芝居のおっちゃんがいた「白髭神社」、入江小学校(外から見る二人…)など。竹翁堂のみつだんごが好きだったから買おうと思ったら「午前中で売り切れちゃったのよ」と喋り方がももこっぽい店員さんだったと水沢先生。静岡…というか清水の人ってみんなももこっぽいのかなあと思ったそう(笑)


⑥さくらももこの魅力について
水沢先生:色々な顔を見せてくれるところ。ふざけんぼうだけど真面目。小学生男子みたいなのにメルヘンな女の子の時もある。でも芯は純粋でそれらの要素が周りを囲んでるような。可愛くて楽しい唯一無二の存在。
後藤さん:その通りで。記憶は宴会のことばっかりだけど(笑)さくらさんはふと見せる違う顔に惹きつけられる。ふざけ散らしててもふとした言葉がほろりとする。

⑦質問タイム
事前に寄せられた質問から3つを答えてくれた。

「水沢先生が似てると思うのは?」
ふざけるまる子と真面目で心配性なたまちゃんとのミックス。昨日も後藤さんに二次会行きましょうウェーイ!って言われた時に、「行っちゃえ行っちゃえ!(まる子)」と「明日トークショーあるからダメだよ(たまちゃん)」が戦ってたまちゃんが勝ったのでやめました。とお話ししてくれた。(可愛い)

「さくら先生が好きな水沢先生のキャラは?」
「空色のメロディ」の後に出産でりぼんを離れていた時があり、戻ってきた時にももこが「めぐみちゃんの描く女の子は本当に可愛い。りぼんの中で一番可愛いよ!」と言ってくれて、りぼんの中で一番なんてそんなそんなと思ったけど、そう言ってくれた。というエピソードでした。(可愛い)

「静岡県民のイメージは?」
さっきも出てきたけど、気候のせいか、皆ももこみたいに明るくって人懐っこいのかなと。ももこが東京の言葉にならないので喋ってくれるのが嬉しかった。「〜したっけ?」とか「〜しただよお」とかって喋るのは静岡弁ですか?(うんうんと頷くしかない私や周りの人たち。喋ってる言葉が同じなの何か嬉しいね!)

「静岡で何を食べましたか?」
かつお食べて、しらすの缶詰買いました。ちびまる子ちゃんランドも行きました。おでんも食べたかった。ももこがすっごい巨大なやつでくしさしておでん作ってた。とのこと。(しぞーかおでんだね!物販で天神屋とのコラボのまる子1巻のデザインのもの売ってたよ!私も天神屋のおでんよく食べてた)

「さくら先生がお気に入りだった差し入れは?」
水沢先生の家の近くの、こけし屋のシュークリーム一択でした。気にいるとそれをずっと食べるみたいなところがある。今は改装中で買えないんですけど。とのこと。


こんな感じで夢のような時間はあっという間に過ぎていった。さよならで最後に水沢先生の姿が見えなくなったと思ったら手だけ見せてバイバイしていたのが可愛かった。
はーーーー!楽しかった。
さくらももこ先生が亡くなったと聞いた時は本当に信じられなかった。早すぎた。あれから約5年。お二人が楽しそうに思い出を語ってくださったけれど、こんなに仲良しだった人たちにとって、こうやって語れるまでの想いや悲しみ、寂しさはいかばかりだっただろうかと思って切なくもなった。なんだけど、展の中で「遺作展もできます」のシーンがあって笑ってしまった。これは確か、賀来兄をさくらプロダクションに入れるためにさくらプロダクションに入っても大丈夫だよと説得してるシーンの絵じゃなかったかな。ちがったらごめんね。展示の中にこれを入れるのが本当にイカしてる!って思っちゃった。きっとさくらももこ先生も空で笑ってくれてるんじゃないかな。

とってもとっても楽しい時間でした。当たり前のように静岡で開催してくれてありがとうございました!

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