領空侵犯おじさんツポレフTu-95
俺様の名前はTu-95、通称Bear。
領空侵犯の天才だ。
皇帝陛下のクソデカ水爆でも投下してみせらぁ!
でもトイレがないのは勘弁な!!
空自さん、コイツです!!
アメリカに核を落としたくてたまらない航空省が新型戦略爆撃機に要求したのは積載重量11000kg、航続距離8000kmという無理ゲー気味な数字だった。燃料消費が激しい1950年代当時のジェットエンジンでは航続距離が稼げないし、レシプロエンジンではでかい機体を飛ばすほどのパワーが期待できない…なのでターボプロップエンジンで二重反転プロペラを回すというロシア人とは思えない繊細なものづくりでツポレフが頑張ったやつ。出来上がってみれば航続距離は15000km、最高速度は950km/hというキチガイじみた性能にまとまってしまった。
世界最大、クソデカ水爆ツァーリ・ボンバの投下試験にも参加、「入らないですよそんな大きいの!」といったら粛清されるので魔改造して積んだし飛んだし投下するお役目は果たすなど、わりと冷戦史で重要なところにちょいちょい顔を出してくるやーつ。そしてプロペラ機としてこいつ以上の性能を備えた実用機はついぞ生まれてこなかったという点でも実はすごい奴。
やがて時代が巡航速度マッハ20で飛ばせる弾道ミサイルを打ち合う時代に突入すると、核爆弾配達という最初期の任務からは外れてしまう。悲しいなあ…すっかり旧式になってしまったTu-95だけど、お役御免とはならなかった。与えられた第二の人生は…その長い航続距離を活かして、領空スレスレを「入ってねえよ!入ったとしてもちょっとだよ!!」などとちょっかいをかけ、スクランブル出動してきた西側の戦闘機と同伴飛行を楽しむなどの迷惑行為である。
「また来たのかよ…」と思いながらも一応写真は残さなくてはいけないのでこういう2ショは西側各国に山ほど撮影されている。
ところで航続距離15000kmってちょっとイメージしにくいですよね。というわけで2016年1月の記録を。
ムカつくほど長いんですがこれは。
ちなみにこの時に限らず、日本一周は何度かキメてる。
まだまだ現役なので今この瞬間にも飛んできてるかもしれないぞ!!