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すみっコぐらしの映画はなぜあんなにも心をゆさぶるのだろうか

丸っこくてちょっとどんくさくて、けなげで。すみっコぐらしが好きで、売ってるとなんとなく手に取ってしまう。

一人で観に行くほどでもないかな、と思っていたところ、観たいと思っていたという友達を見つけたので、一緒に観に行った。

「大人も泣けるらしいから、覚悟して観たほうがいいね」

そんなことを友達と話しながらいざ鑑賞。案の定、号泣。

隣の子連れのおじさんも泣いていた。

しかし、この感情の出所がいまいちわからない。ネットの他者の感想を読んでも、なぜここまで大人の心をゆさぶっているのか、なるほど、と思える解には出会えなかった。

そこで、私が個人的に泣けた場面をもとに、その理由を探ってみる。(以下ネタバレあり)





①ひよこが現実を知ったとき

ひよこが自分は絵本の外の世界には行けない、と悟ったときが最初の号泣ポイントだった。個人的には「これからひよこもすみっコの一員になって、グッズとか大量に出てくる流れか~」と予測したのだが、結局絵本の住人であるひよこは、絵本の中でひとりぼっちで過ごすことから逃れられなかった。

みんなが救われる展開にならないところに、現実の厳しさを突き付けられたようで、ひよこに同情して泣いた。

②ひよこが大好きなすみっコ達の意思を尊重したとき

ひよこは自分のエゴで絵本の中に迷い込んできたすみっコ達に「行かないで」とは、決して言わなかった。

仲間である彼らの「元の世界に戻る」という意思を、最後まで後押ししていた。そのけなげさに、涙した。

③すみっコ達が、ひよこの友達を描いてあげたとき

ひよこが真っ白なページにただ一匹ラクガキされた絵だったことを知って、すみっコ達は自分たちにそっくりなひよこを描いて、仲間を作ってあげた。

そのひよこ達がエンディングで楽しそうに遊ぶ姿に「良かったねぇ!!!!!!!ひよこ!!!!!!!!!」と、完全に親心で泣いてしまうのである。

④原田知世のエンディング曲

冬が題材の曲で、冷え切ったからだを温めてくれるみんながいるおうち、を想起させるような曲だった。

すみっコ達は、友達のような家族のような関係で、互いに寄り添って生きている。いつもそばにいるよ、とひよこに語りかけるような気持ちが伝わってくる、あたたかい曲だった。


と、いろんな理由を並べてみたが、私自身もあんまり納得いく理由が挙げられなかった。名前の付けられない感情も、たくさんあるということかな。

この物語で涙する大人がたくさんいると知って、まだまだ日本人捨てたもんじゃないな、と思った。

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