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「苦手から始める作文教室」を読んで
何から書いていいかわからないけど、書きたい。いざ書こうとすると何も書くものがない。
と、手が止まることが多くありました。
そんなときにふと書店で見つけた本、ちくまQブックスシリーズの津村記久子さん著の「苦手から始める作文教室」。
びっくりする冒頭文に、いきなり心をワシ掴まれます。
文章を書くことを仕事にしている身分で言うのもなんなのですが、わたしは文章を書くこと、つまり作文が年々苦手になってきています。書くことはないし、書きたいとも思わないし、だいいち書けるわけがない、と思うようになってきているのです。書き方も毎回わからないと思います。言いたいこともべつにないのです。
「エッ!??」
小説家がこんなことを思っているなんて。
いや、堂々といってのけるのがすごい。
書くことに苦手意識がある自分とまるで同線上にいるかのような話です。
謙遜されているだけですが、冒頭部分からこんなことを言われたら思わず「どういうこと??」と先を読みたくなりますよね。
あーこれも文章術の上手い手法なのかも??
「プロの私だって、文章に苦手意識のある読者と一緒だよ〜」とぐっと引き寄せ、ゆっくりかみしめるようなテンポで文章を書く道筋をたててくれます。
なにか文章を綴りたいのに書けないしんどさを感じている人におすすめします。
以下は私なりにインプットした内容の読書メモです。
何を書いたらいいの?
友だちに話したいことを書いてみる
作文は自由に書いていいといわれたら、自由だからなんでもいい。
友情とか努力とかもっともらしい内容でなくていい。
友だちに話したいと思うことでいい。また「友だちに聞いてもらうほどのことでもないかなー」と迷うような話でもいい。
文章を書く意味ってあるの?
誰にも読まれなくてもいい。未来の自分が読む。
自分の過去の文章を読み返して「こんなこと考えてたのか」と思い出したり、共感したり、過去の自分がこう思っていたなら、もう少し大事に考えてみようと思える。
考えていることを文章にまとめると自分がすっきりする
「ふと心に浮かんだこと」「考えていること」をしまっておく空スペースがなく忘れてしまう。何回も浮かんでは消えを繰り返し、もやもやした形なのでつかみどころがないので、トイレに行きたい気持ちのように落ち着かない。
まずは他人に見せないつもりで、何度も頭によぎることを文章にまとめてみるとすっきりする。
どう書いたらいいの?
書けそうなことを書いてみる。
好きをとことん考える。
自分があんまり関心のないもの、考えていないものについてはだいたい書けません。
伝わる文章ってどんなもの?
実感が書かれているもの。
書き手自身の感じたままのことが書かれている感じでうそがない状態。多少ぶかっこうな文でも「この人は本当に感じたているんだなぁ」と思えたらその文章はだいたいおもしろい。
代わり映えのしない日常でネタを見つける方法
なんのかわり映えのない日常に書くことを思いつかないことも多いですよね。
解決法はメモを取る習慣をつけること。
何も書くことがないと思わず、ふと心にひっかかったことはなんでもネタにできるようどんなにつまらない小さなことでもメモに書き留めます。
<心を支えるメモの取り方>
書くことは選ばず、「書く価値があるか」という気持ちも捨て、思いついたことドラマやアニメ、CMの感想でも友だちが言ったことでも生活情報でもなんでも書く。
自分の考えたことを書き留める行動は、自分という人間を内側から支えることにつながります。それは自立という状態にもつながっています。いつもいつも誰かにそばにいてもらって話をきいてもらったり、話を整理してもらったり、話をほめてもらったり、話をほめてもらえないからといって怒ったり悲しんだりすることをせずにいられる状態でもあります。
あとがき
この「苦手から始める作文教室」は作文だけでなく、手帳の記録、イラスト日記、絵、ARTにも通じるなぁと思って読んでいました。
何も特別なことの起こらない日常でも、書くこと、描くことがないと思わず、ふと心が動いたことはなんでもネタにできるようメモ習慣をつけ、どんどん文章にして書いてみようと思えました。
とても良い本です。
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