枕なしで寝ると楽になることがあるのはなぜ?|整形外科医山田朱織

こんな質問いただくことがあります。枕を使用しないで寝た方が体調がいいとか朝起きた時に首が楽だ、なんていうお話です。
私はそのようなお話に対して次の説明をいつもしています。
いろいろな枕を試したんだけれども結局どれもこれも合わないからだめだということで諦めてしまう。そして、とうとう枕何にもなしで寝てしまうことのほうが楽だったというケース。
これはですね枕が何もないと布団の上、ベッドの上で実は首は安定するんです。
このようにふかふかの枕で寝たときどうなるか見てみましょう。寝返りをしてみてください。
首から頭を見ててくださいね。一旦沈み込んでまた持ち上がる。沈み込んでまた持ち上がる。
つまり、寝返りを打つ度に合っていない枕を使うと首と頭がぐらぐらぐらぐら揺れてしまうんです。医学的にはこれを不安定と呼びます。
首が不安定になると首の中に入っている。神経が圧迫されて痛みや不快な症状につながりひいては不眠、眠りがぐっすり取れないことになります。
それに比べると枕をもうやめてしまって、寝てみてください。上向きです。 この方が実は首が安定するんです。
決してピタッと首の症状が治るわけではなくても、グラグラした柔らかい枕に比べれば布団だけになった方がよっぽど安定するわけです。
では寝返りをしてみましょう。首の動きとしてはあまりぐらついてないのがわかります。
でも問題は横向きです。横を向いた時に枕がないと肩幅の分だけ頭が下がってしまって首の姿勢が悪くなります。これ首辛くないですか?
モデル:辛いです。
上になった首筋が突っ張る。下になった首筋が圧迫される。このようなことが起こってしまうんです。
ですので柔らかい枕、凹凸の枕、こういったものを使って首がグラグラ不安定になって、枕を使うのを止めてしまうとこのような不具合が起こる。
ですから適切な高さで、横向きも適合しつつ寝返りでも首がぐらつかないようにする。
このためには枕3大条件適切な「高さ」「硬さ」そして「表面がフラット」 この3つの条件を満たす枕を使っていただければ、
私は枕なしの方がいいなんていうことはありえないということお分かりいただけましたでしょうか。
ぜひ今晩から自分の体に合った枕を使ってみてください。枕なしは有り得ません。肩幅がある人間にはあり得ないと思ってください。

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