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【イベントレポート】Sustainable Fashion Night ー「持続可能」なファッションに取り組む企業の挑戦と未来 ー 初のオンラインイベントを実施しました!

こんにちは!
先日、三越伊勢丹さま、シタテルさまと【Sustainable Fashion Night ー「持続可能」なファッションに取り組む企業の挑戦と未来 ー】をオンラインにて共同開催しました。
今回のnoteではその様子をお届けします。

トークセッションでは、「サステナブル」なファッションに取り組む企業の挑戦と未来とは?というテーマのもと
ファッション業界の現状について説明した後に三社の取り組みについてご紹介し、各社の視点を交えて「サステナビリティ×ファッション」についてお話しました。

今回のイベントはマクアケオフィスからオンラインライブ配信。
参加者がその場ではなくカメラ越しにいる緊張感がありつつも、和やかな雰囲気でトークセッションがスタートしました。

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スピーカーご紹介

まずスピーカーのご紹介です。Makuakeを実施中のワンピースを着用してご登壇いただいたのは三越伊勢丹発のブランドarm in armからバイヤーの本田さん、デジタルマーケティング担当の原さん。

arm in armは2019年3月末、お客さまのリアルな意見をオンライン・オフラインを通じてお聞きしながら商品開発を行うブランドとしてスタートし、Makuakeで2020年2月から9件のプロジェクトを連続で実施しています。今回は購買前の更に前段階である”企画”からリアルな意見を吸い上げ。それを基に意見を言える場を設け、参加者を募りました。その場で意見を深掘りし、商品の形まで話し合いました。
「オンライン・オフラインを通じ購買前により深いコミュニケーションをとることで、
必要なものを必要な人に必要な分だけ生産すること。」をテーマに、消費者の意見を取り入れた商品開発を展開しています。

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▲arm in arm バイヤー本田さん(写真中央)

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▲arm in arm デジタルマーケティング担当
原さん(写真中央)

※Makuake実施中のプロジェクトはこちら


続いてシタテル株式会社 若尾さん。

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サステナブルファッションを意識した黒の古着のスカートで登壇いただきました。

シタテル株式会社とマクアケは2018年から業務連携関係にあり、ファッションジャンルの事業者さまに対して衣服生産に関するサポートを行っており、
今回のarm in armさまのプロジェクトもsitateruで生産を行います。

※シタテル株式会社との業務連携のリリースはこちら

ファッション業界の現状

その後、マクアケ共同創業者で取締役の坊垣より、イベントのテーマ「サステナブルファッション」に至るまでの国内外のトレンドの流れや、昨今特に繊維産業をめぐってサステナブルが叫ばれている現状について説明をさせていただきました。

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ファッションの歴史を見てみると、欧米のトレンドが約10年遅れて日本で取り入れられている流れがあり、日本では1990年代からSPAと呼ばれる製造小売業が台頭し低価格で高品質なものが市場に出るようになりました。
そして製造速度を上げてトレンドを取り入れることが可能になりファストファッションが流行します。
その後、オンライン化が進んだこともあり大量生産された衣服は短期間で消費され、売れ残りは不良在庫として廃棄されています。

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坊垣:そういった中で「サステナビリティ(持続可能性)」という言葉が広まり、我々も耳にしたり意識するようにはなっているものの、その活動がどういった課題を解決するためのものかを知らない、理解できていない現状があります。

それらの課題は細かく見ると、商品の企画から消費者の手にわたるまでの工程に分けられていて、それぞれの課題に対して各社が向き合っています。

三越伊勢丹発のブランド arm in arm

そしてarm in armさまの説明へ。

本田さん:三越伊勢丹では、「あとちょっとだけ、こうして欲しい」というような既製品に対するお悩み・不満の声を多くいただいていたのですが、取り入れられていなかったのが課題でした。arm in armはそういった声をあげてくれた方と一緒によりよい商品作りに生かしていく活動をしています。

坊垣:ユーザーの声はどうやって拾っているんですか?

本田さん:商品企画より前の段階からユーザーの声を取り上げるということをしています。具体的にはオンラインではInstagramのアカウントで質問を投げかけたり、オフラインでは座談会を開き、洋服へのお悩み・不満をとにかく出してもらってそれに対する解決方法を我々からご提案させていただいています。

商品企画のステップに「消費者参加型」をまさに取り入れているのがわかります。
そして企業自体の取り組みの話題にも発展。

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原さん:三越伊勢丹ホールディングスとしてはサステナブルに向けた重点取組みとして2つ掲げています。1つめは「人・地域をつなぐ」というところで各地の事業者さまなどと取り組んでいます。その一つが「STUDENT DENIM REMAKE」というもので廃棄されるデニムを学生さんとともにリサイクルする取り組みです。二つ目が海外でもアップサイクルなどが注目されている中で一部店舗で古くなった衣料の回収や引き取りのキャンペーンも行っています。

坊垣:かなり社内でもサステナブルに向けた意識改革は進んでいるんですか?

原さん:実は社内ではかなり前から「グローバルクリーンキャンペーン」の動きがあるなど(現在は終了)、「持続可能にやっていこう」と取り組んでいく意識はありました。小売という立場で、そういった意識をもたれているお取引先さまとの取り組みにクローズアップしてきたというのもあります。

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三越伊勢丹ホールディングスでは「サステナビリティ推進委員会」という組織もあるなど、全社的にいろいろな店舗で取り組みが行われているそうです。

坊垣:百貨店全体での空気感はどうでしょうか?

原さん:結構各社が取り組みだしていますね。関係のあるラグジュアリーブランドさまがそれぞれサステナブルに取り組んでいるので、百貨店も意識せざるをえない状況かなと思います。選んでもらうユーザーさんの意識が最近はすごく変わってきているので、ここから一層加速していく空気感ですね。

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本田さん:まずはインターネットでよく検索されているワードから需要予測を行った例です。小柄な方がロングスカートを検索していることと、ママとの関連性も高かったため、一緒に商品開発を行いました。

その他、約1万人のフォロワーを抱えるインスタグラムでは、色味などをリアルにヒアリングし、丈などもアンケート結果を反映して修正しているとのこと。また、視聴者からも反響があったのはデジタル(3D)サンプルの利用です。オンラインのパターンデータを利用することで実際に縫製をせずに色違いなど完成イメージをつくることができ、生地の無駄な廃棄をなくすことにもつながっています。

本田さん:オンラインで販売することだけでなく、作るところからもできるところには(インターネットを)随所に活用していきます。

まさに現代のものづくりですね。

sitateru のサステナブルなビジネスモデル

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若尾さん:アパレル産業はいろんなプレーヤーが乱立していて、かつどこにもデータベース化されていない状況。sitateruはサプライチェーンをネットワーク化することで「無駄なものを作らない」ことや閑散期と繁忙期などの「需要と供給のアンバランス」がある中でものづくりを最適化することを行っています。
デザイナーのご紹介も行いますし、パターンだけが必要というように作りたいものを作りたい時に、必要な分だけつくれるようサポートするプラットフォームです。

つくるもの自体だけでなく生産工程自体がサステナブルな事例が多く、最近では素材に関してもサステナビリティを求められるケースも増えていて、生地業者との取次をする事例などもあるとのこと。

坊垣:日本でも生産の現場で意識改革が進んでいるということでしょうか?

若尾さん:日本はもともと海外とくらべて長く続く企業が多く、伝統産業などもありますがその活動自体を発信していく、(生産の)基準を明確に設けて実施していく流れへシフトしていく傾向にありますね。

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坊垣:日本には質素倹約というのが昔からライフスタイルとしてありますし、職人さんの中にはずっとそういう感覚が残っていて、欧米文化に変わっていく感覚の中でも、実は日本人がもともと持っていたものという感じもありますね。
消費者の意識改革に関してはいかがでしょうか?

本田さん:お客様は少し前まで「サステナブル」と言っても言葉を知っている程度の反応でしたが、直近ではarm in armの取り組みや背景について説明すると、納得してくれることが増えましたね。数年前だと違ったと思いますが、知識も増えたのか、積極的に取り組んでくれる人が増えましたね。

作り手と同時に消費者の感覚も変えていく必要性が感じられました。

Makuakeの「応援購入」について


消費者の意識について、Makuakeの取り組みは坊垣よりご説明。

坊垣:Makuakeでは最近、「応援購入」と呼んで応援の気持ちを乗せた消費・購買活動として消費者感覚を変えていければと思っています。今までのすぐに手に入るから買う・流行っているから買うという流れから、作り手の思いや作っている途中経過を知ったうえで購入してもらうことを実現しています。度合いはあれど、応援の気持ちやこだわりを買っているという思考のユーザーが増えてきていて、まさにファッションジャンルでは応援コメントにもプロジェクトの生産工程などに共感の声が多く集まっています。

原さん:arm in armのプロジェクトでもサポーターの応援コメントに、「共感した」などの感想が寄せられていますね。

今後のサステナブルな取り組みについて

坊垣:arm in armさんはまさに生産の工程から消費まで幅広く携わっていますが、今後サステナブルを意識した取り組みは考えていらっしゃいますか?

本田さん:現状では100%サステナブルな素材を使えているわけではないですね。ただ、お客様は、オーガニックコットンのTシャツだけではなく、それでいてお洒落なものを求めている。サステナブルな視点とユーザーの声をかけあわせた商品は反応が良いのでそういう商品開発はしていきたいですね。

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坊垣:消費者がワクワクするものと、素材のかけ合わせは良さそうですね。
sitateruさんに関しては、サステナブルな状況を加味したビジネスモデルですが、今後日本国内で変化すべきだなと思う点はありますか?

若尾さん:待ってでも欲しいというような消費者の意識課題ですね。あと企業としては、予算から考えられた数字的なものづくり。前年比の売り上げに対して、予算通りに生産量を決めるのではなく、ファンが多いモデルに注力するなどの別の指標もあって良いと思います。そしてsitateruとしてはその考えにフィットした柔軟な生産体制で後押ししていきたいです。

坊垣:何が売れるかわからないという課題がある故に前例を意識してしまう、という点では商品企画段階のマーケティングで解決できるところはありますか?

原さん:百貨店は購入後の顧客との関係性構築は得意ですが、予測にいかせていないのが課題でした。そこでarm in armとしては商品企画前の関係性構築にチャレンジしています。洋服が捨てられる原因は買い手の「ちょっとの我慢」。本当に欲しいものがわかれば必要な分だけ作っていくことで解決できると考えています。

Q&A

議論が白熱していましたが、終了のお時間が近づき、質疑応答へ。

質問:工場がファクトリーブランドとして、自社事業に取り組む流れも加速していくと思っています。作り手(工場)さんの課題についても同じく伺えると嬉しいです。

回答いただいたのは原さん。
「自社で生産することはできてもデザインやブランディングが今後の課題になっていくのでは、と思っています。そういう場合にMakuakeさんやsitateruなど、新しいテクノロジーを使いつつでやっていくのが良いかなと思います。今は自社商品を作る動きも多くなっています。工場への注文が減っているので、自分たちで何か作ろうとして、おもしろい事業をしているとブランドからも声がかかりやすくなるので。」

坊垣:コラボ商品などで工場の認知度アップや自社商品作成の流れも出てきていますよね。この流れはサステナブルな動きの加速になるのでは?と考えています。直接ユーザーとコミュニケーションが取れるようになると、ストーリーを知ったうえで買う消費者が増え、中間業者も減って無駄がなくなり、社会課題に向き合っていない企業は淘汰されるようになる。消費者の意識改革が行われて、それぞれが考えをもって行動することが重要になってきますね。

最後に

今回のイベントでは、「持続可能」なファッションに取り組む企業の挑戦と未来というテーマのもと、生産工程にも着目し、「作り手」と「買い手」としてどうあるべきかを議論しました。

今後もマクアケは「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」というビジョンの実現に向けて、ファッション業界がより活性化するようサポートしてまいります。