内部統制の構成要素(基本的要素)

1⃣ 統制環境
→有効な内部統制の基盤
小規模企業では、内部統制の有効性がオーナー経営者の姿勢に左右される場合が多い。そのため監査人は、統制環境の評価に特段の注意が必要となる。

・経営者の経営理念や基本的経営方針
・取締役会や監査役の有する機能
・社風や慣行など


2⃣ リスクの評価と対応(企業のリスク評価プロセス)
企業目的に影響を与えるすべての経営リスクを認識し、その性質を分類し、発生の頻度影響を評価する


3⃣ 統制活動
権限や職責の付与及び職務の分掌を含む。
日々生じる可能性のある不正又は誤謬の発生を困難ならしめる効果がある。


4⃣ 情報と伝達
財務報告目的の情報システム(関連する業務プロセスを含む。)と伝達
必要な情報が関係する組織や責任者に、適宜、適切に伝えられることを確保する。

◇財務報告に関連する情報システム
会計システムを含む、企業の取引や会計事象を開始、記録、処理及び報告し、並びに資産、負債及び純資産を適正に計上するためにデザインして構築するための手続と記録から構成されている。


5⃣ モニタリング(監視活動)
各機能の状況が常時監視され、評価され、是正されることを可能とする。

(3)経営者及び監査役等の責任
監査役等には、財務報告プロセスを監視する責任がある

報告基準 三


6⃣ ITへの対応


これらの諸要素が経営管理の仕組みに組み込まれて一体となって機能することで内部統制の目的が達成される。

★統制環境は何を反映しているか?
企業のガバナンスや経営機能を反映している。

★統制環境が与える影響
組織の気風を決定し、組織内の全ての者の統制に対する意識に影響を与える。

★統制環境と他の内部統制の構成要素との関係
統制環境は他の内部統制の構成要素の基礎として位置づけられ、影響を及ぼす。→財務諸表監査の社会的信頼性を高める上で最重要である。

統制環境は、経営者の誠実性等の種々の要因により影響を受ける。

経営者とのディスカッションは、統制環境を理解する上で重要な手段であり、内部統制の有効性を適切に評価する上で必要となる。

内部統制とは、経営者が経営管理全般を対象として構築するものであり、内部統制組織とそれに影響を与える内部経営環境から構成される。
適正な財務諸表の作成に関連する会計システムについては、内部統制に含まれる。
内部統制の整備と運用については、二重責任の原則から経営者が責任を負う。

内部統制組織の整備及び運用の状況に影響を与える内部経営環境としては、取締役会、監査役会の監視機能が挙げられ、経営者が犯す不正である粉飾決算に対しても一定の機能が見込まれる。

監査役等による経営者に対するモニタリングの機能が内部統制の構成要素としての(    )を構成する。監査役等はその職務遂行を通じて内部統制の有効性を高めることが期待されている。

(3)経営者及び監査役等の責任
経営者には、…財務諸表に重要な虚偽の表示がないように内部統制を整備及び運用する責任がある

報告基準三

(4)監査人の責任
財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではない

報告基準三

■監査基準の改訂2002
★内部統制の概念について
リスク・アプローチを採用する場合、アプローチを構成する各リスクの評価が肝要となるが、なかでも統制リスクの評価は監査の成否の鍵となる。
監査人としては、企業に内部統制が整備されていない場合には、意見形成の合理的な基礎を得ることが著しく困難なものとなる。
企業としても、効果的かつ効率的な監査を受けるためには内部統制の充実を図ることが欠かせないことになる。
十分かつ適切に内部統制が運用されている企業については、利用し得る範囲において内部監査との連携等も考慮して、一層の効果的かつ効率的な監査が行われることが期待される。監査人としても、内部統制の重要な欠陥を発見した場合には、経営者等にその改善を促すことが望ましい。

内部統制とは、企業の財務報告の信頼性を確保し、事業経営の有効性と効率性を高め、かつ事業経営に関わる法規の遵守を促すことを目的として企業内部に設けられ、運用される仕組みと理解される。

内部統制は、
(1)経営者の経営理念や基本的経営方針、取締役会や監査役の有する機能、社風や慣行などからなる統制環境
(2)企業目的に影響を与えるすべての経営リスクを認識し、その性質を分類し、発生の頻度や影響を評価するリスク評価の機能
(3)権限や職責の付与及び職務の分掌を含む諸種の統制活動
(4)必要な情報が関係する組織や関係者に、適宜、適切に伝えられることを確保する情報・伝達の機能
(5)これらの機能の状況が常時監視され、評価され、是正されることを可能とする監視活動
という5つの要素から構成され、これらの諸要素が経営管理の仕組みに組み込まれて一体となって機能することで目的が達成される。

それぞれの企業において、具体的にどのような内部統制の仕組みを構築し、どのように運用するかということについては、各国の法制や社会慣行あるいは個々の企業の置かれた環境事業の特性等を踏まえ、経営者自らが、ここに示した内部統制の機能役割効果的に達成し得るよう工夫していくべきものである。

なお、監査人による統制リスクの評価対象は、基本的に、企業の財務報告の信頼性を確保する目的に係る内部統制であるが、そのための具体的な仕組み及び運用の状況は企業によって異なるため、監査人が内部統制を評価するに当たっては5つの要素に留意しなければならない。

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