内部統制の固有の限界

以下のような可能性が存在する。

・経営者など内部統制の責任者自身が、不当な目的のために内部統制を無視ないし無効ならしめることがある。(内部統制が整備改善されれば財務諸表の適正性が担保されるとしても、内部統制を整備・運用するのは経営者であり、無視することができる立場にもある。)

・内部統制担当者等の共謀によって有効に機能しなくなる場合がある。

・内部統制担当者の判断の誤りや不注意による、内部統制からの逸脱がおきる。

・内部統制設定当初に想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合がある。

・内部統制は組織の経営判断において、費用と便益を比較衡量した上で整備・運用される。

したがって、内部統制は企業目的の達成にあたり、絶対的ではなく合理的な保証を提供する。

■内部統制の限界と統制リスクの関係
内部統制には固有の限界があるため、経営者はいかに適切な内部統制を整備し改善したとしても、財務諸表の重要な虚偽表示を完全に防止することはできず、統制リスクはゼロにならない。

経営者が既存の内部統制の限界を踏まえて、経営上の判断により別段の手続を行うことは、内部統制を無視することにはあたらない。

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