実施基準 二 7 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況

監査人は、監査計画の策定に当たって、財務指標の悪化の傾向、財政破綻の可能性その他継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況の有無を確かめなければならない。

実施基準二7

■監査基準の改訂2002
★監査上の判断の枠組み
継続企業の前提に関わる監査基準のあり方としては、監査人の責任はあくまでも二重責任の原則に裏付けられたものとしている。
経営者は、財務諸表の作成に当たって継続企業の前提が成立しているかどうかを判断し、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況について、適切な開示を行わなければならない。
したがって、継続企業の前提に重要な疑義が認められる場合においても、/監査人の責任は、企業の事業継続能力そのものを認定し、企業の存続を保証することにはなく、/適切な開示が行われているか否かの判断、すなわち、会計処理や開示の適正性に関する意見表明の枠組みの中で対応することにある。

企業の事業継続能力に関わる情報の財務諸表における適切な開示を促すことが継続企業の前提に関わる監査基準の考え方である。

★継続企業の前提に関わる開示
公認会計士監査においては、相当程度具体的であってその影響が重要であると認められるような、重要な疑義を抱かせる事象又は状況についてのみ対処することとした。
継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況としては、企業の破綻の要因を一義的に定義することは困難であることから、財務指標の悪化の傾向、財政破綻の可能性等概括的な表現を用いている。
●財務指標の悪化の傾向

●財政破綻の可能性

●考慮すべき事象や状況


このような事象や状況が存在する場合には、

について、財務諸表に注記を義務づけていくことが必要である。


上記のような事象や状況につながる虞のある重要な事項については、有価証券報告書や営業報告書等において適切に開示されることが求められる。

継続企業の前提に重要な疑義が生じるリスクは、財務諸表全体レベルの重要な虚偽表示のリスクとして識別される。(論文2011)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?