一般基準 2 監査人の独立性

監査人は、監査を行うに当たって、常に公正不偏の態度を保持し、独立の立場を損なう利害や独立の立場に疑いを招く外観を有してはならない。

一般基準2

監査人は、職業的専門家としての正当な注意を払い、懐疑心を保持して監査を行わなければならない。

一般基準3

(4)監査人の責任
監査人の責任は独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにあること

報告基準三

監査人の独立性は、精神的独立性と外観的独立性から構成される。

◆精神的独立性
職業的専門家としての判断を危うくする影響を受けることなく、結論を表明できる精神状態を保ち、誠実に行動し、公正性と職業的懐疑心を堅持できること。

◆外観的独立性(外形的独立性)
事情に精通し、合理的な判断を行うことができる第三者が、全ての具体的な事実と状況を勘案し、会計事務所等又は監査業務チームの構成員の精神的独立性が堅持されていないと判断する状況にはないこと。

外観的独立性が保持されていない場合
→たとえ精神的独立性が保持されていたとしても、それが保持されていないかのような社会的疑念を招く虞がある。

金融商品取引法の「特別の利害関係がない」とは、外観的独立性を意味する。

成功報酬に基づく保証業務を引き受けることは、監査人の公正不偏の態度に影響を及ぼす可能性がある。

監査人は、事実の認定処理の判断及び意見の表明を行うに当たって、常に公正不偏の態度を保持しなければならない。

旧一般基準二

■論点整理
◆監査人の独立性
一般基準においては、監査人は独立不羈の立場からの公正不偏の姿勢を保持すべきことを謳い、そのために求められる外形的な独立性の内容については、これを定めている法令や日本公認会計士協会の規則において、より一層明確にされるべきものと考えられる。

■監査基準の改訂2002
監査人は、監査の実施に当たって、精神的に公正不偏の態度を保持することが求められ、独立性の保持を最も重視しなければならない。
そのため、公正不偏な態度に影響を及ぼす可能性という観点から、独立の立場を損なう特定の利害関係を有することはもとより、このような関係を有しているとの疑いを招く外観を呈することがあってはならないことを明確にした。


公正不偏の態度
は、被監査会社のみならず、特定の株主債権者からの圧力や影響を排除しようとする監査人の姿勢である。(2014Ⅱ)


◆精神的独立性と外観的独立性の関係
外形的独立性は精神的独立性を確保するとともに、独立性に対する外部からの疑義を排除するための必須の要件として位置付けられる。

外観的独立性が害されている場合、精神的独立性が害される危険が高まり、精神的独立性が害されているのではないかという社会の疑念が生じる。外観的独立性を確保することにより、精神的独立性を害する要因を事前に排除し、精神的独立性の保持に対する社会の疑念を払拭できる。

監査人にとっては、独立の立場を損なう利害や独立の立場に疑いを招く外観を有さないことが公正不偏の態度を保持することの基盤となる。
利害関係者にとっては、監査人が独立の立場を損なう利害や独立の立場に疑いを招く外観を有さないかどうかが、監査人が公正不偏の態度を保持しているかどうかの判断材料となる。

公正不偏性外観的独立性からなる監査人の独立性は、財務諸表監査の最も重要な存立基盤の一つであり、監査人はその保持に努めなければならない。

成功報酬による監査契約の締結は、職業倫理上禁じられている。監査人が自己利益のために公正不偏の態度を損ねる虞があり、公正不偏の態度の保持に対する社会的信頼も損なわれる虞があるためである。

財務諸表監査が社会的な信頼を得て投資者を保護するために重要なことは、監査人が独立性を維持し、監査業務における正当な注意を行使することである。これは、監査に際して、監査人が公正不偏の態度を保持し、自らの信念に基づいて監査を実施することを意味している。
財務諸表監査が社会的制度として維持されるためには、社会から支持されることも必要である。この支持を得るためには、監査人が被監査会社から身分的独立性経済的独立性を保持することが必要とされる。
それと同時に他方では、財務諸表監査の水準を一定以上に保つために、監査人の資質精神的独立性監査人の責任の自覚も問題となる。
監査人の資質は、監査人としての適切な人格、専門的能力及び実務経験を有することを求めるものである。
監査人の精神的独立性は、事実の認定、処理の判断及び意見の表明を行うに当たって、常に公正不偏の態度を保持することを要請するものである。
監査人としての責任の自覚は、監査人が監査業務において誠実さと使命感を持ち、信頼し得る結果が出るように、  ことを意味している。
(2000短答)

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