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ついに始まった、自衛隊の「島嶼戦争」の野戦治療=戦時治療態勢づくり

徳之島での野戦病院発訓練を報じる朝日新聞

記事のように、本日、朝日新聞は、自衛隊の南西諸島での「島嶼戦争」に関する野戦病院づくりを報じている。

しかし、この朝日の報じる「戦時治療」の目的は、戦闘で多大な犠牲が生じる島々の住民は対象ではなく、専ら自衛隊員の治療、つまり「戦力回復」であることがすっぽり抜け落ちている。

この自衛隊の南西シフト態勢ー「島嶼戦争」での野戦病院態勢については、私はたびたびSNSや著書で紹介してきたが、それを改めてまとめてみよう。

2020-11-2朝日新聞

上の図は、情報公開文書で出されたその戦時治療・野戦病院態勢と、拠点となる入間新自衛隊病院(埼玉県)の状況だ。ここには、最前線の野戦病院「連隊収容所等」での治療と、後方の「師団収容所等野外病院」での治療、そして重症患者の沖縄本島ー本土での本格治療についての全体が図示されている。

これが最近の自衛隊で「統合衛生」と言われるものであり、この国内拠点病院造りが埼玉県入間市の空自基地横に作られつつある。

言うまでもなく、ここには、「島嶼戦争」での膨大な犠牲、死傷に晒される住民、島民は全く考慮されていない。つまり、これは自衛官の「戦力回復」のための「戦時治療」態勢であり、軽症ー重症者をより早く治療回復し、戦場に再復帰させるかがカギになる、というものだ。

統合構想態勢イメージbetten07

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そして、重症者の中でも、複雑な、難易度の高い「戦傷者」を治療するための拠点病院として、今、入間基地横に自衛隊病院が造られつつある。ちなみに、一般の自衛官を治療する自衛隊病院は、同じ埼玉県の所沢市の防衛医大病院が担っており、隣の市に自衛隊専用の病院を造る意味はないことが分かるだろう。

「島嶼戦争」の名のもとに、住民・島民を再び戦火に巻き込む南西シフト態勢=南西諸島へのミサイル基地建設を阻もう!

今、南西諸島へのミサイル部隊の基地造りーミサイル部隊配備が急ピッチで進行している。宮古島では、昨年の警備部隊配備に続き、今年対艦・対空ミサイル部隊が配備され、そのためのミサイル弾薬庫建設も進んでいる。石垣島では、今年度から、市有地を買収し、本格的ミサイル基地の造成工事が進んでいる。奄美大島では既に対艦・対空ミサイル部隊配備が完了し、となりの馬毛島ー種子島でも、南西シフト態勢下の兵站・機動展開拠点として、島の要塞化が進んでいる。

再び、沖縄ー南西諸島住民は、戦火にさらされようとしている。これは南西諸島だけではない。日米軍隊は、この南西シフト態勢を九州ー本土全域に拡大しようとしており、米軍の対艦・対空ミサイル部隊配備、中距離弾道ミサイル配備態勢とともに、全国が戦場にさらされることになる。

南西諸島への日米のミサイル部隊配備を今ここで阻まないかぎり、本土も戦場になることは疑いない!

参考資料 2018年6月15日 SNS投稿
●2021年開設予定の、空自入間基地の隣接地(東町側留保地)に造られる新自衛隊病院は、日米の「島嶼防衛戦争」用の野戦病院だ!
(なお、この自衛隊病院では、この戦争で犠牲になる市民・島民の治療は予定されていない!!)
●自衛隊の南西シフト態勢は、遂に、戦傷者治療態勢づくりへと移行している。
●もはや「本土」の民衆にとっても、自衛隊の先島ー南西諸島配備=「島嶼防衛戦」という戦争態勢は、身近な現実のものとなった!
下記資料は、改竄・隠蔽された、統合幕僚監部の「日米の『動的防衛協力』について」のもとになった文書の一つ。本日、情報公開請求で開示された。
*「防衛力の実効性向上のための構造改革推進に向けたロードマップ~動的防衛力の構築に向けた全省的取組~(2011年8月、防衛力の実効性向上のための構造改革推進委員会)」(以下は同文書から一部引用)
「3-2 統合衛生
新大綱における自衛隊の体制整備に当たっての重視事項の中で、衛生について「統合の観点から効果的かつ効率的な体制を整備する」とされている。また、新中期防においても、「多様な任務への対応を強化するため統合後送体制等を整備するとともに、海外派遣部隊等に対する医療支援機能を強化する」こととされている。このため、統合幕僚監部における衛生機能の保持要領と島嶼部における事態対処での治療・後送態勢について統合衛生の課題と捉え検討を実施している。」
「② 課 題
統合幕僚監部における衛生機能の保持要領について具体化するとともに、地理的に本土から離隔した島嶼部における事態対処に際し、衛生の運用構想を明示する能力を高めることは喫緊の課題である。
◆ 衛生面から統合幕僚長を適切に補佐できる態勢・体制の在り方
◆ 統合運用下における、各自衛隊等の衛生機能の運用に関わる横断的調整機能の在り方
◆ 南西事態対処における治療・後送態勢」
「② 島嶼部における治療・後送
島嶼部における事態対処での傷病者の治療・後送については、端末地も含めた具体的な後送要領及び後送に必要となる治療態勢の在り方について検討していく方針である。」
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以下参考資料
*防衛省「自衛隊病院等在り方検討委員会」報告書
「この際、集約された病院を有機的に「連携」させるため、統合後送態勢を構築する。患者後送においては、最終後送病院への広域搬送において自衛隊の輸送力を最大限に活用し得るよう、各自衛隊病院等を、飛行場及び港湾への搬送の容易性を考慮して輸送上の要所に整備する。さらに、関東地区の飛行場近傍に病院を整備することによって、広域搬送途上にある患者の容態を安定させ最終後送病院等への搬送の安全性を高める。」
http://www.mod.go.jp/.../board/arikata-byouin/pdf/honbun.pdf
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*「防衛省から示された平成27年3月時点の東町側留保地の利用内容」(入間市)
http://www.city.iruma.saitama.jp/.../azumachogawa.html

*『要塞化する琉球弧―怖るべきミサイル戦争の実験場!』(小西 誠著)

*動画・軍事ジャーナリスト・小西 誠が暴く南西シフト態勢

*part1、与那国島・石垣島編
https://youtu.be/2RqdmGT-lr4

*part2、宮古島編
https://youtu.be/KzVQZZq06Lo

*part3、奄美大島・馬毛島(種子島)編
https://youtu.be/IjONW-VsnrI

*part4、沖縄本島編
https://youtu.be/0tFM_UHIhHI

*part5 水陸機動団・陸自の南西諸島動員態勢編
https://youtu.be/9y7anqhoIXE

part6 アメリカのアジア戦略と日米軍の「島嶼戦争」
https://youtu.be/03lPJJn0QzE

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メディアが報じない、自衛隊の実態を徹底的にバクロ

現在、日米軍隊による南西諸島全域へのミサイル基地建設造りが急ピッチで進んでいるが、これを報道するメディアがほとんどない。この全容を現地取材…

私は現地取材を重視し、この間、与那国島から石垣島・宮古島・沖縄島・奄美大島・種子島ー南西諸島の島々を駆け巡っています。この現地取材にぜひご協力をお願いします!